金市場ニュース

金価格ディリーニュース(2023年8月30日)経済指標の悪化で金価格が急伸し、日本円と人民元建てで史上最高値を更新

ロンドン時間水曜日の昼、金価格は急落する米ドルに対して急騰し、トロイオンスあたり1946ドルを超えて4週間ぶりの高値をつけ、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を「より長く」維持すると宣言した矢先に、世界最大の経済が冷え込み始めているという新たなデータを受け、先週の5ヶ月ぶりの安値から3%以上反発しています。
 
金相場はすでに一夜にして、世界第2位の中国と第3位の日本という経済大国の人々にとっては史上最高値を更新しており、国内の金地金価格は上海黄金交易所ではグラムあたり462人民元、東京ではグラムあたり9129円を超えています。
 
日本円、人民元、米ドル建て金価格 出典元 ブリオンボールト
 
米国の4-6月期GDP成長率は、経済分析局が当初予想した年率2.4%から 2.1%に下方修正され、第1四半期の2.0%と同水準となっていました。
 
ネラ・リチャードソン主席エコノミストによると、今月の米全国雇用者数もオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社の コンセンサス予想を下回り、ADPの7月推計から半減以上となっていましたが、「景気回復に伴う2年間の例外的な増加の後、パンデミック前の雇用創出ペースと一致した」とのこと。
 
「個人消費が縮小すれば、 景気後退はほぼ避けられなくなり、その結果、債券利回りの低下、利下げ、実質金利の低下、そして金にとってプラスとなるドル安が起こるだろう。」とドイツの精錬会社のHeraeusのためにSFA(Oxford)のコンサルタント社が分析していました。
 
CMEデリバティブ取引所の FedWatchツールによると、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に再び利上げに踏み切るという賭けは、先月の今頃から半減して10分の1になっていました。
 
しかし、FRBによる最初の利下げ予想はほとんど変化しておらず、市場は依然として来年5月の、今日のFRBファンドの上限である5.50%からの利下げの確率を60%ほどとしています。
 
ロイター通信が火曜日に報じたところによると、中国の国有銀行は既存の住宅ローンの金利を引き下げ、すでにこの夏人民銀行は新たな住宅ローンの費用を引き下げることを命じ、銀行部門の利益率をさらに低下させています。
 
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、「中国の大きすぎて破綻しそうな不動産大手は、不動産危機の ほんの一端に過ぎない」と述べています。なぜなら、恒大集団や碧桂園に代表される負債を抱えた不動産開発会社が、従業員や小規模な請負業者の給料を未払いのまま放置しているため、「サプライヤーは破綻寸前まで引きずられている」一方、「不動産を事前に購入した何百万人もの住宅購入者は、好転を待つしか手段がなく、業界関係者は、中国政府が行動を起こす責任がある。」と伝えています。
 
中国が日本型の 「失われた10年」に直面しているように、「日本は数十年にわたるデフレとの戦いの "転換点 "が近い」と Fortune誌のコラムでは伝えています。それは、円の為替レートが急落する中で、第2四半期に日本の GDPが年率6%増となっていることからです。
 
HeraeusのSFAは、「中国の住宅市場にひび割れが生じ始めていることから、特に工業セクターにおいて、よりインパクトのある景気刺激策への期待が高まっている」とし、「こうした期待が、太陽光発電パネルや電気・電子機器などに不可欠な銀を含む工業用金属価格を支えている」と述べています。
 
銀相場は、米GDPとADP全国雇用者数の発表後、一時トロイオンスあたり25ドルに達し、週初めから2.5%の上昇となった。
 
ドイツの8月のインフレ率は、年率6.4%とアナリスト予想を下回り、 7月から0.1ポイント鈍化し、5月の15ヶ月ぶりの低水準を上回っていました。
 
ユーロ建て金価格は、火曜日の4週間ぶりの高値1788ユーロを0.5%下回り、ポンド建て英国金価格は、昨日の6週間ぶりの高値1537ポンドを0.4%下回っています。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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