金価格ディリーニュース(2023年7月10日)実質金利が2009年来の高さへ上昇し、中国のデフレ懸念が強まる中で、金価格は堅固に推移 月曜日, 7/10/2023 19:17 世界第2位の経済大国である中国の消費者物価が低水準でデフレリスクが高まり世界的に株価が下落する中、金価格は、インフレを考慮した実質金利とも見られている米10年物物価連動国債の利回りが12年ぶりの高水準となったにも関わらず、狭い取引レンジの中で推移していました。 中国の消費者物価指数は6月、前年同月比で横ばいで、2021年2月以来初めてインフレ率が0%になったと中国の公式データ機関NBSが本日発表していました。 一方、巨大産業部門を持つ中国の生産者物価指数は前年同月比5.4%下落し、2015年12月以来最も速い下落率となっていました。 今週水曜日と木曜日に発表される6月のデータでは、米国のインフレ率が急減速するとアナリストはすでに予想していたにもかかわらず、先週の米FRBによる最新の政策金利引き上げの「タカ派的」議事録に続き、米労働市場からのデータはまちまちだったものの堅調だったため、主要国債価格は下落を続け、借入コストは上昇していました。 政府および多くの金融・商業機関の借入コストの指標となる米国債10年物利回りは、年率4.0%を上回り、昨年秋に初めて達成された10年来の高水準を維持していました。 これは、昨年秋に初めて達した10年ぶりの高水準で、インフレを考慮した10年物物価連動国債(TIPS)利回りは、金曜日の14年ぶりの高水準からさらに2ベーシスポイント上昇し、年率1.81%で取引され、世界金融危機の真っ只中にあった2009年7月以来の高水準となっていました。 近年、アナリストたちは、インフレ調整後の債券利回りに対する金の負の相関関係がますます強くなり、実質金利が低下すると上昇し、上昇すると金価格は下落する傾向があるとしていた。 そこで、完全な負の関係であればマイナス1.00となるが、本日の金と10年物物価連動国債利回りの相関は、22日間ベースでマイナス0.31まで上昇し、米国の債務上限問題が米国の地方銀行破綻による銀行懸念後に発生して金価格が2000ドル以上で取引された5月中旬以来、最も弱い負の関係となっていました。 それ以来金価格が3.9%下げる中、米10年物物価連動国債利回りは35%上昇しており、通常よりはるかに弱い相関関係を示していました。 「目先の動きだけでなく、実質金利が上昇すれば、金には 下落圧力がかかると思われます。」とロンドン貴金属市場協会のマーケットメーカーのHSBCは最新のレポートで述べ、「FRBが引き締めサイクルを延長していることも考慮すると、金価格は今年も守勢に回る可能性が高いが、下値ではサポートされるだろう。」と続けていました。 ドル建て金相場は、本日0.1%安のトロイオンスあたり1924ドルとなった一方、スポット市場の地金卸売りは、英国ポンド建てでは0.2%高の1502ポンド、ユーロ建てでは0.1%値上がりの1757ユーロとなっていました。 スイスの地金精製・金融グループMKSパンプのストラテジストのニッキー・シールズ氏は、「米ドルの上昇、地政学的リスクとマクロ懸念の後退、そして実質金利の上昇にもかかわらず、金はまだ持ちこたえている。」と述べていました。 米国ドルの他の主要通貨に対する価値を測るドルインデックスは、月曜日に0.1%高と、金曜日の2週ぶりの低さから上昇していました。金曜日に米政府が発表した6月の雇用統計では、賃金の伸びが加速したものの、先週水曜日に民間ADPが発表した雇用者数の伸びを確認することはできませんでした。 ドルインデックスは、2022年に7.9%の上昇を記録した後に、今年に入ってから1.1%下落しています。 「FRBは、市場が利下げを織り込まないように、秋の利上げを維持するだろう。これは金融引き締めを実現する一つの方法だ。」とTD SecuritiesのストラテジストのGennadly Goldberg氏は述べていました。 MKSパンプのシールズ氏は「FRBの(利上げ)休止が下半期に確認されるまで横ばいの価格が続くと見ている。そして、年末から2024年にかけて米ドルが下げる中で金価格は上昇トレンドに入ルト予想している。」とし、2023年の年間平均金価格をトロイオンスあたり1930ドルと予想し、1月からの予想を50ドル引き上げていました。 地政学的な面でのニュースとしては、イエレン米財務長官が週末に10時間にわたって行った中国政府高官との会談について、「直接的で、実質的かつ生産的」であり、世界最大の2つの経済大国の関係を「より確かな足取り」にする一歩となったと述べていました。 本日銀価格は金相場とともに堅調に推移し、トロイオンスあたり23ドルを上回る水準で取引されていました。