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金価格ディリーニュース(2023年6月5日)金価格は米雇用統計後の下げから米ISM非製造業データの悪化で上昇

本日金相場は、5月の米ISM非製造業景教指数が予想を大きく下回ったことを受け、為替市場でドルが直近の上昇削ったため、月曜日の午後、ロンドンでトロイオンスあたり20ドル急騰しました。
 
先週、米国の非農業部門雇用者数が予想を上回り、米国の債務上限が合意された後、本日発表されたISM非製造業購買担当者調査では、新規受注の伸びが先月大きく鈍化し、同部門の雇用は12月以来となる減少を示していました。
 
先週土曜日から、米中央銀行の6月中ばの政策金利のミーティングを前に、連邦準備制度理事会(FRB)の関係者がコメントを控えるブラックアウト期間であることから、金地金の卸売価格は、ロンドンPMのベンチマークオークション時にで急騰し、1950ドル以上へと上昇し固定し、ロンドン時間午後には一時1961ドルまで上昇していました。
 
一方、ドルインデックスは、米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標ですが、金曜日の非農業部門雇用者数とJoltsの雇用統計が好調だったことから、2ヶ月で最大の一日あたりの上昇を記録した後、本日ロンドン午前中にの上昇した0.4%を、昼過ぎに発表されたデータ後に削ることとなりました。
 
この1ヶ月間、ドルインデックスとドル建て金価格の日次相関は-0.90に達し、米国の地方銀行のシリコンバレー銀行が破綻し、スイスの巨大企業UBSが競合銀行クレディ・スイスを強制買収する直前の2月末以来の強い負の関係になっていました。
 
この1ヶ月間の相関は、金とドルが毎日同じように動けば+1.00、全く逆の動きをすれば-1.00となります。過去10年間、この相関は通常-0.58となっています。
 
ドルインデックスと金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、日本地金地金流通協会の最新レポートの中で、「市場では、(金曜日の)雇用統計は、6月の利上げに関する考え方を変えるほど強いものではなかったというのが一般的な見方だ」と述べています。
 
金利トレーダーは現在、6月13と14日に開催されるFRBの会合で25ベーシスポイントの利上げが行われる確率を、わずか1週間前の64%から27%へと下げていました。
 
「しかし、今後の指標次第では、次の7月の会合で利上げが再開される可能性も否定できない。」と亀井氏は続け、「6月の予測の変更は、先週末の金市場の売り圧力を止めることはできなかった。」と述べていました。
 
英国ポンド建て金価格は本日、11週間ぶりの安値となった金曜日の終盤の下げを戻し、0.8%高の1576ポンドとなっていました。
 
ユーロ建て金価格の動きはより穏やかで、トロイオンスあたり1827ユーロと過去2週間のレンジの中間まで戻っていました。
 
貴金属の第一の消費市場である中国本土への金地金の入口である上海金取引所の金価格は、月曜日に1%以上下落し1グラムあたり446円となりましたが、ロンドン相場に対してプレミアムを示し続け、人民元が対ドルで6ヶ月ぶりの安値まで急落したにもかかわらず、トロイオンスあたり7ドルと、新規輸入のインセンティブを提供していました。
 
一方、トルコリラは、月曜日に対ドルで1%以上下落し、エルドアン大統領の再選以来始まった下落が続き、トルコリラの金価格は、金の世界第5の消費国にとって史上最高値を更新していました。
 
このリラの最新の下落は、エルドアン大統領が、2009年から2018年の間の過去の政権在任中に金融市場の信頼を獲得したと見られるメフメト・シムセク氏をトルコ財務大臣に任命したにもかかわらず、起こったものです。
 
原油価格は、世界的なスイングプロデューサーであるサウジアラビアが、今春の1年半ぶりの安値から価格を押し上げるために、1日100万バレルの減産を行うと述べた後、ベンチマークであるブレントは1バレルあたり78ドルと2週間ぶりの高さへ達した後に多少後退していました。
 
銀は、弱いISMデータを受けて金とともに上昇し、30セント高のトロイオンスあたり23.68ドルとなった後、金曜夕方の終値からほぼ横ばいとなっていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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