金価格ディリーニュース(2022年7月11日)FRB利上げ観測でドル急騰で金ETFは縮小、コメックの強気ポジションは3年ぶりの低さへ
米ドルが為替市場で20年ぶりの高値を維持し、投機筋がコメックス金取引の強気ポジションを3年ぶりの低水準に減少させる中、金相場はロンドン昼過ぎまで数ヶ月ぶりの安値の水準で狭いレンジで取引されていました。
金ETFの投資家も、5月と6月に月間で残高を減少させた後に、先週はさらに保有量を減らしていました。
アナリストが40年ぶりの高水準となる8.8%を予想している水曜日発表の米国のインフレ統計を前に、米国連邦準備理事会が今月大幅利上げに踏み切るという観測が広がり、ドルインデックス(米国の通貨価値を主要通貨に対して示す指標)が再び上昇し、、 過去11週で9週週間の下げを記録していた米ドル建ての現物金価格は、月曜日にトロイオンスあたり1736ドルと前週終値から0.4%下げて推移していました。
ドル高により、金地金の専門市場の取引価格は英国ポンド建てにおいて0.3%上昇し1453ポンド、ユーロ建てにおいて0.4%上昇し1718ユーロとなっていました。
金の専門市場におけるマーケットメーカーであるHSBCのチーフ貴金属アナリストであるジェームズ・スティール氏は、「金利が上昇するという経済情勢は、依然として 金の下落を促しており、それは近い将来から中期的に起こり続けるだろう」と述べていました。
TD証券のアナリストは、「金を選好するGold Bugと呼ばれる人々は、ドミノのように倒れ、CTA(商品取引顧問)のトレンドフォロワーがこの状況に引き込まれる中で、売り基調が市場参加者に広がっている」と付け加えていました。
先週末発表された最新のデータでは、ヘッジファンドとその他のレバレッジをかけた投機家が、先週火曜日までに、ロシアのウクライナ再侵略の最初のショックで金価格がトロイオンスあたり2069ドルと過去最高値に近づいた3月初旬のピークから、47%も強気ポジションを減らし、弱気ポジションを128%増加させていたことが明らかとなっていました。
そのために、資金運用業者のネットロングポジションは過去4ヶ月で85%減少し、2019年5月中旬以降で最も低い水準となっていました。
ワールドゴールドカウンシルが発表した最新のレポートによると、6月の金ETFの残高は28トン減少し、5月の53トン減少に続き、2ヶ月連続の減少を記録していました。
すでに7月に入って、世界最大の金の上場投資信託(ETF)商品であるSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は30トン近くを残高を減少させ、一方、第2規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は2.7トン残高を減らしています。
CMEのFedWatchによると、7月の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを予想するトレーダーは、93%が0.75%ポイントの追加利上げがあるとし、7%が1%ポイントの引き上げがあると見ています。
元「ハト派」で、今年議決権を持つアトランタ連銀総裁のラファエル・ボスティック氏は先週金曜日に、 7月27日の次の金融政策会合でさらに4分の3ポイントの金利上昇を「完全に」支持すると述べていました。
欧州の株式市場は、ロシアのガスをドイツに送る最大のパイプラインであるノルドストリーム1が年次メンテナンスのために約2週間停止し、ウクライナ戦争の影響で復旧遅延の懸念からも、汎欧州株価指数のストックス欧州600指数が3日連続の上昇を止めて下落していました。
アジア市場は、上海で新型コロナウィルスの患者が増加し、オミクロンの新しい派生種が発見されたことを懸念して下落し、ニューヨーク先物は、テスラのCEOのイーロン・マスク氏がソーシャルメディアのプラットフォームのツィッターに対する440億ドルの買収計画を取り止めると述べた後、同株価が市場開始前に低迷したことを受けて下落を示唆していました。
国債価格は上昇し、ベンチマークとなる米10年債利回りは4ベーシスポイント低下の3.05%となっていましたが、前週以来2年債利回りを下回る水準となっていました。
いわゆるこのイールドカーブの逆転は、経済が弱体化し、景気後退の可能性があることを示す警告サインと一般的に言われています。