金価格ディリーニュース(2022年11月21日)金価格への傾向は、金ETFから資金が流出し、コメックスのショートカバーが終わる中で、未だ強気市場では無い 2022年11月21日 月曜日 18:15 金相場は、世界の株式市場と共に下落し、ドル相場は中国の投資制限の懸念から上昇し、貴金属専門家は、コメックスの金の派生商品の直近のショートカバーと金ETFの最大銘柄と第2銘柄であるGLDとIAUからの更なる資金流出が対比していることを指摘しています。 ドルインデックスが月曜日の昼に0.8%上昇し、1週間以上ぶりの高値となる中で、ロンドンで決済される金地金のスポット価格は0.5%下落しトロイオンス1742ドルと、先週の1.2%の下落に加え、先週火曜日の1ヶ月ぶりの高値1786ドルからも大きく下落していました。 しかしながら、11月の金相場はドル建てで6.0%上昇し、年初来からの下げ幅は3.8%に縮小されていました。 中国では、土曜日に約半年ぶりにCovid-19による死者が出るなどと、感染が拡大し続けているために、南部広州の最大地区を封鎖し、 首都北京全域の学校を閉鎖していました。 一方、ユーロ建ての金価格は0.3%上昇して1700ユーロとなり、今月はこれまで2.6%上昇し、2022年はこれまで6.0%上昇していました。また、 ポンド建ての金価格は0.2%上昇して1476ポンドとなり、11月は3.4%の上昇、2022年年初からは10%の上昇を維持していました。 「FOMCのタカ派によるドル高が価格の重しとなっているが、金の最大の短期的脅威は、先週の1800ドル付近の抵抗突破の失敗までの間に、2019年6月以来最も速いペースで金先物を買っていたファンドからのロングポジションの清算にある 。」と、派生商品プラットフォームのサクソバンクのストラテジーチームは本日のレポートで述べていました。 「1620ドルからの急騰はショートカバーによるところが大きい 。」と 日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事は同意した上で、「まだ完全な強気相場ではないとの見方が強まっている。」と本日のレポートで述べていました。 米コメックス先物・オプション取引所の投機筋は先週、金価格に対するポジションをネットショートからネットロングへ変換させ、前前週の2018年11月以来最も大規模な水準の120トン相当のネットショートから、126トン超のネットロングポジションへと急増させていました。 これは、米国の規制当局であるCFTCが週末に発表した先週火曜日の時点のデータによりますが、2022年の平均のネットロングは182トンをまだ下回っており、2021年の平均からは35%減となっていました。 コメックスの反発とは対照的に、SPDRゴールド・シェア(NYSEArca: GLD)とiShareゴールドETF(NYSEArca: IAU)は共に先週は週間で残高を減少させ、金を裏付けするETF商品から資金が流出していました。 週次ベースでは、GLDは残高を0.6%減少させ、今年は年初からは7%減と資金流出となっています。ちなみに2021年は、2020年にコロナ禍で31%増と残高を急増させていたことからも、残高を17%減少させていました。 第2規模のiShareゴールドETF(NYSEArca:IAU)も先週0.6%残高を減少させ、年初からは8%減と2021年の6.5%減に続いていました。ちなみに、2020年はGLD同様に46%増と大幅に規模を増加させていました。 「経済が私の予想通りに進めば、2022年と2023年の投票権を持たないメンバーであるアトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁は、土曜日に 75から100ベーシスポイントの追加引き締めが正当化されると思う 。」と述べていました。 しかし、現在上限4%のFRBの主要金利を上限5%としても、「これは合理的な時間軸で インフレを抑制するのに十分である。」とも述べていました。 それに対し、来月の12月会合での75ベーシスポイントの引き上げは、「 まだ選択肢にある」と、先週金曜日のCNBCとのインタビューで、FOMCの投票メンバーでボストン連銀総裁のスーザン・コリンズ氏は語っていました。 先のコメントは、今夏の40年来の高水準に近いインフレに直面し、先週 多くのFRB高官がさらなる利上げの必要性を強調したことを受けての発言でした。