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金の世界需要が今年第3四半期に10%減

金の業界のマーケティング団体ワールド・ゴールド・カウンシルが本日発表した最新の金需給レポートによると、世界の金需要が、第3四半期に992.8トンと、前年同四半期比10%減となったことが明らかとなった。

分野別では、投資目的の需要は145.6トンと前年比同四半期44%増となったものの、宝飾品の需要が493.1トンと21%減となり、中央銀行の需要も81.7トンと51%減になったことからも、全体としては10%減と下げることとなった。

それぞれの分野別に見ると、投資目的の需要を牽引したのは金の上場投資信託(ETF)で、145.6トンとなった。これは、昨年同四半期は-63.4トンと残高を減少させていたことからも、市場のセンチメントの違いを際立てることとなった。

ちなみに、金の上場投資信託(ETF)の残高は全体で2,335.6トンと2013年4月以来の高い水準となっている。

また、その中でも第3四半期顕著だったのは、欧州の資金の流入で、下記のチャートでも見れるように、前半期に全体の33%であった欧州の資金が、第3四半期には78%へと増加している。

宝飾品においては、第3四半期に493.1トンと前年同四半期比21%減と、2014年第2四半期以来の下げ幅で、第3四半期としては2011年以来の低い水準となった。これは、2大消費国のインドと中国が、共に需要を大きく減少させていたことが要因。

インドの宝飾品需要は、第3四半期に154.7トンと28%減となっており、中国は141.5トンと22%減となった。この主な要因は今年の金価格の上昇で、この四半期は28%年初から上昇していた。

それに加え、インドにおいては下記の要因が上げられている。

  • 金価格の上昇に加え、ルピー安からくる高い金価格とそのボラティリティー
  • 過去2年間の天候不順による収入減から、地方における需要の低迷
  • 政府の規制強化

インド政府の規制としては、金の宝飾品製造への新たな1%の課税、一定額以上の宝飾品購入時の登録、宝飾品への刻印の徹底など。

中国の宝飾品需要の低下については、価格要因であるものの、人民元安による更なる価格の上昇から消費者の買いが鈍ったとのこと。また、宝飾業界がより高いマージンを乗せることができる18カラットへ24カラットからシフトしていることも金需要を減少させているとのこと。

しかし、そのような環境の中でも、インドのディヴァリー(ヒンドゥー教の新年)や結婚シーズン、欧米のクリスマスシーズンや中国の旧正月は需要を促すものとなるだろうとしながらも、インドにおいては政府の規制が引き続き市場を抑制しており、中国の金の宝飾品への傾向に変化が見られていること、欧米の消費者の需要は抑えられており、中東は政情不安などからも将来的に増加が見込むのは難しいとも分析している。

中央銀行の需要は81.7トンと前年同四半期比51%となったものの、23四半期連続のネットでの購入となった。この購入減も価格に起因すると分析されている。

工業用の需要は、82.4トンと前年同四半期比1%減とほぼ同水準となった。

供給においては、第3四半期は1,172トンと前年同四半期から4%増となった。これは、金相場が上昇したことによってリサイクルが340.9トンと30%増になったことから、金産出量が846.8トンと1%減ったものの、総量としては増加となったことから。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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