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英貴金属調査会社:2017年に銀の供給過多を予想するが7%の銀価格上昇を予想

6月1日に英国の著名貴金属調査会社メタルズフォーカス(Metals Focus)が、2016年の銀の需給と2017年の銀市場の見通しをまとめた最新レポート「Silver Focus」を発表した。

このレポートでは、2017年の産出量は15年ぶりに減少し前年比2%減となる見通しだが、需要も前年比3%減少することが予想されており、需給バランスとしては供給超過が拡大するとしている。

しかし、機関投資家の需要が増加することを予想していることからも、2017年後半の銀価格は上昇することをメタルズフォーカスは予想している。

レポートのローンチパーティでプレゼンテーションを行なったメタルズフォーカスのリサーチ及びコンサルタント部門のマネージャのNeil Meader氏は、「米国の金利の上昇の気配がないことが支えとなり、貴金属の価格は上昇するだろう」と述べた。

それに加え「株価の調整とユーロ圏の経済が改善していることからも米国ドルの対主要通貨との上値が重い事、そして数々の地政学リスク等が銀価格のサポートとなる。」と続けた。

そのために、銀の需要が減少し、供給超過が拡大したとしても、2017年に年間平均銀価格は7%上昇しトロイオンスあたり18.30ドルへ達する可能性があるとメタルズフォーカスは予想している。これは、銀上場投資信託(ETF)への資金の流入や機関投資家の需要が要因とのこと。

Meader氏は、もし銀価格が2年連続で上昇した場合、機関投資家からの銀への投資が「雪だるま式」に増加し「モメンタムトレード」を惹きつけて上昇する可能性があるとしている。それは、例え供給超過の状態であったとしてもだ。

銀の産出量は、メタルズフォーカスのリサーチデータによると、2015年から2016年はほぼ変化がなく、2010年からの年間3%増の傾向は終えていた。これは、主に金の副産物としての供給が減少していたことからとMeader氏は解説していた。

そのため、2017年の産出量が15年ぶりに2%と少ないながら減少することを予想しているが、2018年は再び増加するとしている。

それに対し需要は、世界の2大銀消費国の中国と米国での需要が減少したことから、2016年に前年比6%減となっていたが、2017年は3%減と下げるもののその下げ幅は減少する予想。

インドにおける現物需要は2016年に、史上最高値を記録した前年比58%減と大幅に減少している。

米国の銀の需要減は、米造幣局鋳造のイーグル銀貨の販売量が20%減となったことなどからも見ることができる。これは、個人投資家が英国EU離脱の是非を問う国民投票で離脱を選択した際に銀価格が21ドルを超えた際に、利益確定を行なったことなどが要因としている。

メタルズフォーカスは、銀の需要が構造的に変化していることにも言及している。それは、造幣局で鋳造される公式な銀貨からRoundsと呼ばれるより容易に購入できる価格の安い銀製硬貨のものが好まれているとのこと。

なお、トムソン・ロイターGFMSがまとめたWorld Silver Survey 2017によると、世界の銀の需要は、2016年に11%減少していた。このレポートはワシントンを拠点とするSilver Instituteのためにまとめられたもの。そして、この減少要因は宝飾品、銀食器や投資商品への需要が減少したことからとのこと。

銀の需要の大部分は工業用需要であるが、これは2016年に5年来の高い水準の8%増となっていた。しかし、2008年の史上最高値には至らなかった。これは、2011年の高値の影響で、電子機器や太陽発電や他の技術需要が継続的に他の貴金属に取り変わっていることから。

トムソン・ロイターGFMSは、メタルズフォーカスとは異なり、銀の7年連続の供給不足をレポートしており、2017年に需要が3%減少することを予想している。これは、米国とインドの需要減と、2016年に76.6トロイオンスと史上最高に達した光起電力からの需要の減少を要因としている。

メタルズフォーカスの2017年の強気な銀価格への見通しは、今年のロンドン貴金属市場協会(LBMA)の参加者による価格予想とほぼ同水準となっている。

この参加者のアナリストやトレーダーは、平均して今年年初から7.1%の価格上昇を予想し、金を5.3%上昇としている。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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