欧米の投資家が牽引し2016年前半期の金需要が記録的水準へ
金の市場開発団体であるワールド・ゴールド・カウンシルが本日発表した世界の金の需給をまとめたレポートによると、今年前半期の金の需要が2335トンと、上半期としては記録的な高水準になったことが明らかとなった。
この前半期の需要は、過去最高を記録していた2009年上半期を16%上回っている。
第2四半期の金の需要は1050トンと前四半期比で15%増となった。これは、継続的な政治的、地政学的懸念から、リスクを分散させて安全資産へ投資する需要が高まり、金の投資需要が448トンと前年同四半期比141%増と高水準に達したことが牽引した。
特に金の上場投資信託(ETF)は、第2四半期の237トンを含めて上半期に580トンとなった。この上半期のネット増加量は下記のグラフでも分かるように、過去最高でもある。
また、地金と金貨の需要も第2四半期に米国の25トン(101%増)を含む多くの市場で増加し、上半期は前年上半期比4%増の485トンとなった。
投資需要の増加は、ドル建て金価格を上半期25%上昇させ、この上げ幅は1980年以来の高水準となった。これにより、価格に敏感な中国やインドの消費者の金購入減少を補った。世界2大金消費国の中国とインドは、第2四半期にそれぞれ15%減の144トンと20%減の98トンとなっている。
インドの消費減少の要因は、地方の収入減や政府による関税引き上げであり、中国は景気の停滞と貴金属の品質を示すホールマーク(刻印)の規制変更などが要因。
中央銀行の需要は、第2四半期に前年ど同四半期比40%減少し77トンとなり、上半期の需要は185トンとなった。この需要量は、四半期においては、2011年第2四半期以来の低い水準となった。
供給においては、2016年第2四半期は、前年同四半期比10%増の1145トンで、その増加要因は、金価格の上昇を利用した消費者によるリサイクルで、前年同四半期比23%増、上半期においては10%増の687トンとなった。金の産出量は、前年同半期とほぼ変わらず787トンとなったが、金鉱会社によるヘッジ量は30トン増となった。