金市場ニュース

個人投資家の金投資傾向は価格上昇で下げ、弱気市場の低さへ

欧米の個人投資家の金現物への興味が、グーグルの「金を購入」の検索数、新規顧客数、金購入者数と共に、弱気市場となっていた2015年末以来の水準まで4月に下げていました。

ブリオンボールトのプラットフォームでは、2005年にサービスが開始されて以来、71,500人のユーザーによって利用され、20億ドル(2,210億円)相当の顧客の金・銀・プラチナ資産を、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨーク、トロント、シンガポールの、専門保管場所で貯蔵しています。

4月はドル建て金価格が0.8%上昇していたことからも、新たに金投資を始めた顧客数と月間で購入が売却を上回ったネットの購入者数は、3月から13.5%減少していました。

このネットの購入者数は、2016年1月に6年ぶりの低い水準に金価格が下げた後に上昇を始めて以来の低い数値でもあります。

また、新規顧客数も3ヶ月連続で減少しており、2015年12月以来の低い水準で、過去12か月の平均と比較すると28.5%減となっていました。

さらに、インターネットの検索においても、Googleトレンドのデータによると、世界各国の「金を購入」という検索は、先月の2015年10月以来の低い水準から多少増加しているものの、引き続き興味の低さを表す数値となっていました。ちなみに、先月の数値は世界金融危機以来の低い数値でもあります。

米国の大統領がツィートでハイテク株を攻撃し、中国との貿易戦争を悪化させ、シリアへの攻撃をロシアが反対をする中で先導しても、個人投資家の金現物投資への興味は、弱気市場であった頃の水準まで下げていました。

金投資は、現在トランプ大統領の動きに影響を受けています。そして、これはインフレ上昇の兆候からの懸念も打ち消しているようです。

世界の株式市場が上昇することで、安全資産を購入する緊急性は下げているものの、金価格の上昇傾向は堅固なものがあり、過去にこのように新規個人投資家の興味と取引量が下げていた際には、その後金価格は25%上昇していたことも覚えておくべきでしょう。

4月には個人投資家の金現物投資への興味が薄れている中、ドル建て金価格が上昇していました。そこで先月のネットの金購入者数が減少していたのとは対照的に、月間の売却量が購入量を上回っていたネットの金売却者数は前月から11.4%増加しており、1月以来の高い水準でもありました。

そのために、金投資家インデックスは、3月の53.7から52.5まで下げ、昨年8月以来の低い水準となっていました。この数値は、金価格が記録的な高さへ上昇した2011年9月に71.7と最高値を記録し、2014年と2015年の冬に50.5の最低値を記録しています。

金投資家インデックスが50である場合は、その月の金のネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。

そのようなことから、先月は保有する金地金の総量が変化した顧客数は、3月から5.9%減と3か月連続で減少していました。そして、この金の総量が変化した顧客数と金を保有している全顧客数との割合も8.9%下げており、これは2015年12月以来の低水準となります。

そして、2018年4月もまた、金投資家インデックスが米国ドル建て金価格と逆の動きをしており、これにより過去18ヶ月中に16回、正反対の動きをしたことになります。

銀においても金同様に、ドル建て価格が0.8%上昇する中、銀購入者数は前月から21.9%下げ、昨年10月以来の低さとなり、売却者数は前月から6%上昇していました。

このために、銀投資家インデックスは、3月の53.4から51.9へと今年1月以来の低い値となっていました。

しかし、重量にすると、銀の需要は引き続き高く、ブリオンボールト顧客は12トン増加させて、713.8トンと史上最高値を記録していました。

それに対し、金においては顧客の保有総量は3月の史上最高値から98キロ減少し、38.7トンとなっていました。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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