個人投資家の金取引量が過去8ヶ月で最高水準へ
金投資家インデックスにおいて、購入者数は売却者数を上回りました。しかし、金相場が下げる中、重量においては売却量が上回ることになりました。
先月のブリオンボールトの顧客の金取引量は、今年3月以来の高い水準となりました。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが先月の個人投資家の金投資傾向を解説をしています。
世界でも最大のオンライン金・銀現物市場を運営するブリオンボールトの顧客の売買データは、金現物の投資をオンラインで行う、数多くの個人投資家の金投資傾向を表しています。
そして、2014年11月のデータを見る限り、新たに金投資を始めた顧客と金を積み増した顧客の総数は、金を売却した顧客数を上回りました。この傾向は既に57ヶ月継続しています。しかし、重量を見ると、4月以来始めて売却量が購入量を上回っています。
11月に金相場が下げる中で、顧客同士が取引できるブリオンボールトのオンライン市場においては、より多くの人々が金融システムの保険として、安値で金を積み増す傾向が強まり、3月以来の高い取引量が記録されました。
そのため、個人投資家の月間のネット購入者と売却者のバランスを表す金投資家インデックスは、先月52.1と、10月の51.9から上昇しました。
この数値が50である場合は、その月に金の保有量を増やした顧客数が、金の保有量を減らした顧客数と全く一致したことを意味します。金投資家インデックスは、2011年9月に71.7と最高値を記録し、今年6月には51.2と、2010年2月の48.8に次ぐ低い水準となっていました。
しかし、顧客の保有する金の総量は、9月と10月に記録していた過去最高水準の33.2トンから、7ヶ月ぶりに0.2トン減少することとなりました。それは、数少ないながらも大規模な顧客が保有量を減らしたことから、多くの金を積みました顧客の保有量を上回ったためです。
売却量が増加したのは、金投資意欲が上がったことよりも、ある意味で驚くべきことではないかもしれません。それは、金相場は11月に、原油価格の急落と米株価が最高値を更新していたことからも、新たな低い水準へと下げていたためです。
しかし、金の派生商品市場から投機的資金が流出する中、金の現物取引においては、安値で金のポジションを増やす機会を作り上げたのでした。
ユーロ圏の貯蓄者は特に、金融市場全体の楽観的な視点を持ち合わせていません。それは、欧州中央銀行が新たな量的緩和を導入することが間近であることから、2013年4月以来の高い水準で、より多くのユーロ圏の顧客が11月にブリオンボールトで金を購入していたのです。そして、11月に金相場が急落したことからも、新たな個人投資家による取引が急増したのでした。
もし、金融システムの保険として金購入を考慮しているのであれば、保有されている他の投資の長期に渡る信用リスクや流動性リスクを考慮した場合、昨今の価格は、2011年~2012年の金融危機以降のピーク時に比べて、注目せざるを得ない割安な価格を提供していると言わざるを得ないでしょう。