中国の金地金と金貨の需要は引き続き堅固に推移
景気低迷、株安、不動産不況に直面し、中国の一般消費者は、7月から9月にかけて76トン以上の金地金とコインを購入したことが、ブリオンボールトが最新の中国黄金協会(CGA)のデータを分析し明らかとなった。そして、その重量はCGAの2022年10月に発表された昨年第3四半期のデータから4.1%減少していた。
しかし、評価額ベースでは、2022年第3四半期と比較すると、人民元ベースで14.7%増、米ドルベースで8.5%増となり、2021年新年以降で最も高い四半期金投資額を記録していた。
これは、2013年第2四半期と2016年第4四半期のような、世界的な金価格の急落が中国の記録的な金需要に見舞われた時期を除けば、ワールド・ゴールド・カウンシルが公表している専門アナリストのMetals Focusによってまとめられたデータによれば、少なくとも2010年以降で、金需要が高まる新年以外において、最も高い金地金と金貨の需要となる。
今週発表されたCGAのデータによると、世界最大の金消費国である中国の宝飾品の需要は、今年7月から9月にかけて、重量ベースでは年間8.7%減少したものの、中国の国内金価格が史上最高値を更新したことにより、金地金と金貨の評価額ベースでは増加していた。
上海の日々の金価格は、9月にトロイオンスあたり2000ドルを超え、ロンドンの金相場と比較すると過去最高のトロイオンスあたり120ドルのプレミアムを記録していた。ちなみに、パンデミックで特殊な動きをしていた2020年を除く過去5年間のプレミアムの平均は9ドル。
人民元は今日、1ドル=7.3元より少し人民元安水準で推移し、先月につけた16年ぶりの安値よりわずかに強含んでいる。
CNNによれば、アメリカの投資銀行モルガン・スタンレーが「前例がない」と呼ぶ、海外ファンドによる中国株からの逃避が、CSI300指数を5年ぶりの安値に引き下げ、当局による新たなの1兆元(1370億ドル)の景気刺激策は、人民元安に拍車をかけただけだとのこと。
中国政府は今週、新たな国債発行を承認し、地方政府にも2024年の国債発行を前倒しすることを認めている。
中国の国営投資ファンドのひとつである中央匯金(Central Huijin)は今週、中国株を保有する上場投資信託(ETF)を購入しており、国内株式市場の下落を食い止めるために今後も買い続けると述べている。
ロイターの記事によれば、北京の内部関係者は「経済再生のために大きな改革よりも財政力を利用することを選択し、新たな財政刺激策を打ち出す準備を進めている。......債務と国家支出に大きく依存する、使い古された政策に基づいている。」とのこと。
ブルームバーグ・ニュースによると、経営不振に陥っている中国の不動産デベロッパー、カントリー・ガーデンは、今後11ヶ月で約150億ドルの返済義務を負っており、昨日初めてドル建て債券の債務不履行に陥っている。
中国中銀の人民銀行は、今月初旬に金準備を11か月連続で増加させ、9月に26トン購入したことを公表しており、金準備は第三四半期末の段階で年初から181トン増の2192トンとなり、公表されている中央銀行の金準備量においては、世界第7位となっている。
しかし、多くのアナリストは、中国の国家的な金地金保有量は報告されている合計よりも大きいと考えており、中国の目に見える民間部門の需要と金鉱の生産量および金地金の輸入量を比較すれば、おそらく2倍の規模になるとされている。