中国による香港からの金の輸入が前年比6倍
香港政府の統計によると、中国による香港からの金輸入が5月に75.6トンと、前年比6倍となったことが明らかとなった。
これにより、今年5月までの中国による香港からの金輸入は313トンとなる。ちなみに、昨年の年間金輸入量は380トンであり、2009年は45トンであったことからも、その急増ぶりが顕著となっている。
なお、過去最大の中国の香港からの月間金輸入量は、昨年11月の102.5トン(102,525kg)で、今年4月の101.7トン(101,768kg)がそれに次いでいる。
中国政府は金の輸出統計を公表していないため、香港政府によって発表される貿易統計が、中国の需要を示唆する重要な指標となっている。
中国中央銀行人民銀行が2009年に公表した金準備量は1054トンで、それ以来公表をしていない。また、人民銀行は同年、「国内産出金やスクラップを集め、2003年から2008年までに454トンを積み増した。」と発表している。
過去には、オーストラリアが世界最大の産出国であったが、近年は中国が世界最大の金産出国となっており、昨年の推定産出量は370トンとされている。
この産出量と香港からの輸入の総量の伸びは、金市場の自由化と共に、投資需要が伸びたという説がある中、人民銀行が金準備量を積み増しているのではという説もある。
中国の金自由化は、2001年の世界貿易機構加盟後、その計画が始まり、2002年に上海黄金交易所が開設され、2005年から4大商業銀行を中心に地金の取引が始まり、2010年12月には、中国工商銀行は、純金積立という商品を販売し、数ヶ月の間に100万口座が開設され、10トン以上の金が買い付けられたことが、スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏によってレポートされているなど、近年進んでいる。
この背景としては、伝統的に金資産を保有することを好む国民性であった上に、年々高まるインフレヘッジの目的で個人投資家が金を求めているというもの。また、中国政府当局も、不動産投機やインフレに直結する食材や石油よりも、金投資を奨励するというスタンスがあげられる。
それに対し、人民銀行が金準備を積み増しているという説は、ロシアやメキシコなどの新興国のように、外貨準備高に占める米国ドルの比率を引き下げる目的からというもの。中国が公表している金準備高1054トンは、3.2兆ドルという外貨準備の2%弱であり、米国の77.1%、ドイツの74%、イタリアの73.8%を大きく下回る。
そのため、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、日経新聞のインタビューで、中国人民銀行が金準備を増強しているのではないかと推測している。また、ワールド・ゴールド・カウンシルのマネージング・ダィレクターのMarcus Grubb氏も、今年2月のフィナンシャル・タイムズのインタビューで、ワールド・ゴールド・カウンシルがまとめた金需要のレポートの数値と中国の金輸入総量の差の理由ついて「中央銀行の金購入だ。」コメントしている。
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