マフィアが絡むイタリアの金事情
債務危機などで、困窮したイタリア市民が保有金を売却する中、当局による取締りが十分に行われていない貴金属買取業界にマフィアが進出し、利益を得ていることが、フランス通信社(AFP)で伝えられている。
昨今イタリアの貴金属買取店がイタリアの町中に溢れ、ここで買い取られた多くの貴金属は、密輸も含みスイスへと輸出されている。そのため、税関で没収された金の量は、50%増であるとのこと。
「貴金属買取業は、マフィアなどの犯罪組織が進出している業界だ。」と不正資金洗浄規制機関(AIRA)の所長であるRanieri Razzante氏は述べている。
昨年のイタリアからスイスへの公式な金の売却量は120トンと、2010年の73トン、2009年の64トンを大きく上回っている。そのため、国境近くに設けられた鋳造所は、この需要をこなす為に休むことなく稼動しているとのこと。そして、この多くは貴金属買取業者が持ち込むもので、これによる利益の多くは犯罪組織のものとなっている。
イタリア国内の貴金属買取業の規制を行うことを提案している金の業界団体(ANOPO)によると、貴金属買取業において取引されている額は、140億ユーロ(176億ドル)であるとのこと。しかし、貴金属買取業界は、スクラップ業界とみなされることから、売り上げ税から免除されるという、法律的な抜け穴がある。
そのため、イタリア国内に推定2万8千店ある貴金属買取業者のうち、イタリア銀行(中央銀行)に届出をしている業者は、数百店舗ほどのみであり、専門業界によると、ここで買い取られた80%の金はスイスへと輸出されている。
イタリアは、世界でも最も高い金宝飾品の保有率を持つ。それは、伝統的に金の宝飾品を贈り物とする習慣があるためであると共に、金地金の所有は10年前まで法的に許可されていなかったためである。
「宝飾品は、イタリアの人々にとっては金投資への唯一の方法であったために、イタリアの人々は多くの金宝飾品を保有している。」と、ロンドンに拠点を置くオンライン金取引会社のアナリストであるアレッサンドラ・ピローニは述べている。そして、「イタリアの人々は、この債務危機下に、保有する金を売却せざるを得なくなっている。この状況は昨年夏にイタリアの債務危機が悪化したことが、一つのターニングポイントであった。」と続けている。
2002年にトロイオンスあたり300ドルであった金価格は、2012年には約1600ドルまで急騰していることが、金売却のブームのきっかけともなっている。
「犯罪組織は、50%以上の貴金属買取業者に関わっている。そして、偽りの表看板を置き、ナポリのような都市の裏通りで、密かに鋳造工場を営んでいる。」とRazzante氏はコメントしている。
今年3月イタリアの内務相のAnna Maria Cancellieriは、「この業界は、ブラックマーケットを作り上げたため、常に高利貸しや不正資金洗浄に絡む犯罪組織同様に、モニターしなければならない状況となっている。」と述べている。
この業界の規制を進める為に、国会議員のDonella Mattesini氏は、イタリア民主党から、貴金属買取業者への規制に関する法律を先月提出した。
「この業界を規制する法律を急ぎ必要としている。そして、裏通りで営まれている鋳造所や買取店を規制し、金業界全体を正すべき時なのです。」とArezzo市の副市長でもあるMattesini氏は述べている。
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