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プラチナ市場が記録的な投資需要で供給不足へ

プラチナ投資はかつてこの規模がジョンソン・マッセイにレポートされたことはありませんでした。

プラチナ需要は、記録的な現物需要の高まりで、2019年に3年ぶりに供給不足となったことが、貴金属化合物などの化学品の製造・販売を行うジョンソン・マッセイ社の最新のレポートで明らかとなりました。

プラチナ価格に連動している、プラチナ現物を裏付けとした投資信託の残高は、昨年30.7トンまで増加しました。

そして、投資目的のプラチナ地金とコインの需要もまた35.2トンと2013年のピークを30%上回る規模となっていました。

また、プラチナ投資需要も前年比18.2%増と、32年ぶりの高さへと押し上げていました。

プラチナの工業用途では宝飾品用途同様に、排ガス浄化触媒、電子機器、石油精製などのそれぞれの分野で全て減少していました。

しかし、市場全体では2017年と2018年に在庫が増加し続けた後に、昨年需要が供給を6.4トン上回りっていました。この量は世界の産出量の3.4%となります。

ジョンソン・マッセイのデータからは、プラチナ価格とプラチナ市場の需給バランスには明らかな関係を見出すことはできません。

 

PGM Market Report 2020によると、この現象は新たなプラチナ価格に連動する上場投信(ETF)によるものではなく、欧州と南アフリカにおけるプラチナへのセンチメントの大きな変化による投資需要の高まりによるものとのことです。

「投資商品としてのプラチナの魅力は、その供給量に限りのあること、金と比較して価格が最も低い水準であること、そして姉妹貴金属と言われるパラジウムと比較すると史上最低値を記録していることから、この代替品として使われる可能性などが背景にあるようです。」とプラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルは述べています。

また、プラチナ価格が上昇することに賭ける取引が、Nymexの派生商品市場でヘッジファンドや他の資金運用業者が記録的なロングポジションを2020年初めから増加させていることからも、見ることができます。

この変化は、その需要の40%がディーズル車の排ガス浄化触媒であるプラチナの価格がドル建ての年間平均価格で8年連続で下げて、2011年のピークのトロイオンスあたり1725ドルから50%下げる中で起きています。

それに対し姉妹貴金属のパラジウムは、80%をガソリン車の排ガス浄化触媒として使われますが、その価格はこの間に110%上昇し、2019年の平均価格はトロイオンスあたり1539ドルから、今週火曜日には2500ドルを超えて史上最高値を付けています。

「パラジウム価格は急激な上げを見せていますが、プラチナ価格は低い水準にとどまっています。そのために、投資家の中には、プラチナが安すぎるとし、将来的にガソリン車の排ガス浄化触媒のパラジウムの代替品となるとみている人々もいるようです。」とジョンソン・マッセイの市場リサーチチームはコメントしています。

プラチナが継続してパラジウムの価格を大きく下回っている中で、「プラチナがパラジウムの代替品になる」という説は必ずしも正しくないと、貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusは最新のレポートで述べています。

ガソリン車のための「代替品は近い将来に現れないでしょう。しかし、プラチナの割合がプラチナやロジウムより高まるというような、ディーゼル車の中での変化は近い将来あると考えます。」と続けています。

実際に2019年には、世界の自動車需要が減少し、その中のディーゼル車の需要が大きく下げる中で、排ガス浄化触媒としてのプラチナ需要は2%のみの減少となっていたと、ジョンソン・マッセイは述べています。

「しかしながら、宝飾品などの他の分野のプラチナの需要は、より深刻な問題を抱えています。それは、最大消費国の中国において金がトレンドであり、その色やスタイルで好まれていると、昨年10月に深セン市で行われたロンドン貴金属市場協会の2019年年次会議でLong Jia Jewellery Industry Co. Ltdの最高財務責任者であるRicky Lianはコメントしていました。

現在感染が広がる新型コロナウィルスによる多くの会社や工場の閉鎖以前に、昨年経済はその停滞傾向が見られており、中国消費者の宝飾品需要を減少させていました。それは、近年プラチナが金価格を上回る水準を取り戻すことができなかったことも重要な点であることを、Lian氏は説明していました。

「しかし、供給の見通しや排ガス浄化触媒としての需要の高まりの可能性は、プラチナが2020年に投資家のさらなる興味を引く要因となるかもしれません。特に、もし経済先行きの不透明感が金価格を押し上げた場合、そして金価格とプラチナ価格の差が現在のように大きく開いていた場合などは、バーゲンハンター的需要を高めるかもしれません。」とジョンソン・マッセイの新たなレポートは述べています。

過去30年間に及んで、世界のプラチナ需要は年間の供給量を平均的に2.1トン上回っていました。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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