ニュースレター(16/12/2011)1594ドル
週間市場ウォッチ
本日金価格は、ロンドンPM FIXがトロイオンスあたり1594ドルと、先週末から6.7%下げています。
過去10年間の強気市場において、今回のように金が急落することは何度か起きています。下げ幅が一週間に10%を超えたのは、最近では、2008年10月17日の週で、ロンドンPM Fix価格において、トロイオンスあたり900.50ドルから784.50ドルへと13%急落しています。また、それ以前には、2006年5月19日の週に、トロイオンスあたり、651.50ドルへと10%下げています。
スタンダードバンク東京支店長池水氏のブルースレポートによると、先のようなパニック的な売りで10%近く下げた後は、常に相場は上昇し、10日後の上昇率は平均1.4%であるとのことです。
それでは、今週の主要イベント及び市場の動きは下記のようになります。
週明け12日、金価格は、トロイオンスあたり1714ドルから50ドル以上大きく下げることとなりました。
まず、アジアの時間に、大口の売りがでたことで、更なる売りを誘った模様ですが、これは、先週金曜日に欧州首脳会議の合意内容が、即効性のないものであることなど、市場に失望感が広がったこともあるようです。その後ロンドン時間に、米格付け会社ムーディーズが、来年第一四半期に、EU27カ国全体の格付けを見直すと発表したことが、売りを進めることとなりました。
また、ニューヨーク時間に発表された半導体会社インテルの業績見直し下方修正が発表され、欧州株式市場同様ニューヨーク市場も急落し、金も換金売りに押されることなりました。
13日も引き続き、ユーロ圏情勢への懸念から金価格は下げることとなりました。これは、ドイツのメルケル首相が、「欧州安定メカニズム(ESM)」を利用した融資能力拡大を引き続き否定したことが伝えられたことなどからです。これにより、ユーロが対ドル下げ、金も売られることとなりました。
同日行われたFOMCにおいては、金利は0.00~0.25%に据え置くなど、現行の政策を継続することが確認されたものの、期待されたQE3を示唆する内容がなかったために、金はさらに売り込まれることとなりました。
14日は、スポット価格でトロイオンスあたり1640ドルから1569ドルまで再び大きく下げることとなりました。これは、ユーロ圏の財政問題に対応する先週の欧州首脳会合の合意内容が十分ではないという市場の判断ということですが、イタリア5年国債入札の利回りが6.47%と過去最高となったことが口火となった模様です。
この後、流通市場で取引が行われているイタリア10年国債が、危険なレベルとみなされる7%を再び超え、ユーロが売り込まれ、株式と共に金も下げることとなりました。
15日は、前日のパニック的な売りが収まり、神経質ながらも1565ドルから1592ドルのレンジの推移となりました。
昨日の安心材料は、スペイン国債の入札が利回りは前日のイタリアのものより下げ、堅調に行われたという点、米国経済指標である、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数とフィラデルフィア連銀景況指数が、それぞれ9.53と10.3と前月0.61と3.6から大きく改善した点、また同国12/9までの週の新規失業保険申請件数も、36.6万件と前回の38.1万件を下回るなど多少の雇用状況の改善が見られた点。対して懸念材料は、中国12月HSBC製造業PMIやユーロ圏PMIが前月比上回ったものの、景気後退を意味する50以下である点などです。
本日16日も昨日同様に、神経質ながら1578ドルから1599ドルの狭いレンジで動くこととなりました。
市場のニュースとしては、米国格付け会社フィッチが、欧米大手銀行であるバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマンサックス・グループ、シティーグループ、バークレーズ、クレディ・スイス・グループ、ドイツ銀行、BNPパリバを格下げしました。これで、主要米国格付け会社3社の格付け見直しが出揃ったことになります。
ちなみに、ムーディーズは9月に、S&Pは先月、欧米大手銀行の格付けを引き下げています。
来週の欧米の市場は、来週末のクリスマスを前にクリスマス休暇に入る人々も多く、通常は商いの薄い市場となりますので、本日のように方向性が出にくい市場となる可能性があります。
BullionVaultニュース
今週は、ユーロ圏財政問題の悪化を受けて、大きく金価格が下げることとなりました。そのような中、弊社においては、多くの資金が入っており、最も価格が下落した14日は、取引量においては、近年の記録的レベルに近いものとなりました。
アジアの実需もトロイオンスあたり1600ドルを割ると、値ごろ感がでるようですが、弊社顧客においてもその傾向があるようです。
今週このように市場が動く中、弊社リサーチ主任は多くコメントを求められていましたが、14日水曜日には、ウォール・ストリート・ジャーナルで、同日の金価格の急落に関して述べた、下記のコメントが取り上げられました。
「まず、これは流動性の欠如の表れとも考えられます。つまりは、他の投資資産の状況(損失を埋めるためのキャッシュ化)などからと考慮すると、我々が想像する以上に、現状は緊迫していることを示しているともいえるでしょう。」
このコメントおよび記事(英語)は、購読者である場合、下記のリンクでご覧いただけます。
https://www.wsj.com/articles/BT-CO-20111214-711688
それでは、今週の弊社市場分析ページに掲載された記事をご紹介いたします。
- スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏の「2012年の金相場予想」
- ブリオンボールトリサーチ部門より「ルピー安からインドの金需要が減少」と「中国への香港からの金輸出が過去最高を記録」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は下記のリンクでご覧いただけます。
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