ニュースレター(9月18日)1141.50ドル FRB政策金利据え置きで、金相場が上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1141.50ドルと前週同価格から3%上昇しています。また、LBMA銀価格は、15.26ドルと前週同価格から4.5%上げています。
週明け月曜日と火曜日は、今週行われるFOMCを待つ中、狭いレンジでの動きとなりました。
水曜日は、同日発表された米国消費者物価指数が0.2%とFRBが目標としている2%を大きく下回ったことからも、FOMCでの利上げ観測が後退し、ショートカバーもあり、金相場はトロイオンスあたり1122ドルへと1%上昇し、銀相場は金相場を上回り、3.5%上昇しました。
これは、同日の上海株式が市場が閉まる1時間前に約5%上昇したことから、ベースメタルの上昇をサポートしたことが要因とも伝えられていました。
木曜日は、市場注目のFOMC後の発表がロンドン時間午後7時から行われ、政策金利が据え置かれたことが伝えられると、金相場はトロイオンスあたり14ドルほど上昇することとなりました。
また、FOMC後の声明では、「海外情勢を注視」という文言が新たに加わり、また政策金利の決定において、国際情勢に関するデータも考慮するとし、昨今の 懸念が広がる中国を含む新興国の経済状況を、米雇用関係データやインフレ率に加えて考慮することが明らかになりました。
本日金曜日は、昨日FOMCで政策金利が据え置かれたことから上昇した金相場は、欧米株価が下げ、ドルが主要通貨で弱含む中、その基調を受け継いで、9月 2日以来の最も高い水準の1140ドルまで上昇し、銀価格は過去1ヶ月で最も高い水準のトロイオンス15.42ドルを超えて多少戻しています。
その他の市場のニュース
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火曜日に、FOMCの発表を待つ中、コメックスの出来高が今年最低となったこと。 -
ロシアの中央銀行が、11億ドル相当の金を積みまし、その金準備を1318トンとしたこと。
ブリオンボールトニュース
今週ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが発表した、過去の米連邦準備制度理事会による利上げと金相場の動きの分析レポート「米連邦準備制度理事会の利上げと金相場の動きを考察」が、下記の経済サイトで取り上げられました。
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米主要経済サイトMarketWatch 「金先物が3週連続の下げを見せる」
ここでは、エイドリアンの「中国の経済停滞を示すデータが、米国の利上げ決定にプレッシャーを与えるだろう。しかし、もし利上げが行われた場合は、噂が事実と なり、金相場への脅威を取り除くだろう。そして、貴金属アナリストのコンセンサスは、もし利上げが行われた場合、金相場は直近の最低値を付けた後に上昇を 始めるというものだ。」というコメントが取り上げられ、ブリオンボールトリサーチの過去の米国の利上げ前3ヶ月と3ヶ月後と12ヶ月後の金相場のデーターをまとめた表を掲載しています。
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CNBC 「利上げが金にどのような意味を持つのか」
ここでは、1999年と2004年の利上げ前に、金相場がとても似た動きをしたことを示すリサーチデータを取り上げ、今回も利上げがあった場合、金相場の 動きが似ているとし、過去に利上げ後12ヶ月で10%上げ、1999年には利上げ後3ヶ月間で14%上昇したことにも注目しています。
しかし、経済環境が異なることから、このような歴史的データが必ずしも真実を語っているとは限らないともコメントしています。
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米主要経済サイトMarketWatch 「米連邦準備制度理事会の利上げの決定は、6つの市場にどのような影響を与えるのか」
株式、債券、新興国、ドル/円、原油市場を解説し、金市場の箇所ではブリオンボールトのリサーチ主任の分析データが取り上げられています。
今週の市場分析ページには、下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「米連邦準備制度理事会の利上げと金相場の動きを考察」
ロンドン便り
今週は、先週末発表された英国野党労働党の党首選の結果と影の内閣に関わる英国の報道について、お伝えしましょう。
まず、労働党首は、先日もお伝えした強硬左派のジェレミー・コービン氏が6割近い支持を受け圧勝しました。彼の強硬左派路線とは、鉄道再国有化や高所得者層への課税強化、核兵器廃絶などです。
1983年以来下院議員を務めていることから、ベテランの域であるものの、影の内閣においても閣僚経験は無く、党をまとめられるのかを不安視する声 も多くでています。実際、コービン氏の当選が決まると共に、影の内閣の内務大臣やビジネス大臣等の、主要閣僚6人が辞表を出すなど、スムーズな始まりでは ありませんでした。
そして、今週火曜日に行われたバトル・オブ・ブリテンの75周年を記念する式典で、党首として出席したコービン氏は、共和主義者であることから女王陛下を 称える国歌を歌わなかったことが労働党閣僚の中からも批判が出るなど、ほぼ全ての主要紙を含むメディアで写真と共に取り上げられていました。
さらに、党首に次ぐ要職である財務大臣に、影の閣僚の経験の無い、や はり強硬左派の元労働組合幹部、ジョン・マクダネル氏を指名したことは物議を醸していましたが、昨日は、英国公営放送のBBCの主要時事番組の Question Timeで、ジョン・マクダネル氏が過去に、北アイルランドの独立を目指すテロ組織のIRAを擁護するコメントを出したこと、サッチャー前首相を「暗殺す る」と(冗談で)述べたことがあることを謝罪するなど、彼の過去の言動にスポットライトがあたり、なかなか仕事始めとは至っていないようです。
二大政党制によって、長くバランスを保ってきている英国が、強硬左派の党首によって率いられる野党が、経験不足の閣僚が連ねることからも十分なチェック機 能を果たさなくなる懸念は残りますが、この党首選を機に28000人労働党員が増えたとのことからも、今まで政治に興味を持っていなかった多くの若い世代 の人々が政治に参加するきっかけにはなったようです。