ニュースレター(8月7日)1093.50ドル 米金利引き上げ観測で下げ、予想を下回る雇用統計で戻す
週間市場ウォッチ
先週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1093.50ドルと、前週同価格から0.45%下げています。
週明け月曜日金相場は、中国の製造業PMIが過去2年で最低水準であったことからも、原油と共にコモディティ全般下げる中、値を下げました。
翌火曜日金相場は、前日の反発もあり、ドルが反落し原油が上げる中、昨日の下げを取り戻したものの、ニューヨーク時間に下げることとなりました。
これは、アトランタ連銀ロックハート総裁のインタビュー記事の「米経済は(中略)引き上げに向け用意が整っているとし、景気指標が大幅に悪化しない限り9月の利上げを支持する考えは揺らがない」の発言が伝えられたからです。
水曜日は、前日の反発とADP全国雇用者数と米貿易収支が予想を下回るものであったことから一時上昇していましたが、米国ISM非製造業景況指数が、2005年8月以来の高水準となったことから、その上げ幅を削り下げることとなりました。
木曜日は、翌日発表の雇用統計を前に、レンジ内の取引であるものの、緩やかに上昇することとなりました。
これは、前日の良好な米ISM非製造業景況指数で下げた相場の反発調整の動きであり、同日発表の米国週次新規失業保険申請件数は、予想を3000件下回る27万件でしたが、相場には大きな影響は与えなかった模様です。
本日金曜日発表の市場注目の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が215,000人と予想の222,000人を下回り、前回修正値の231,000人を下回りました。そして、 失業率は5.3%と予想と前回と同じで、平均時給も前月比0.2%と同レベル、労働参加率も62.6%と前回と変わりませんでした。
この発表を受けて、非農業部門雇用者が予想を下回ったものの、20万人を超える安定したものであったために、ロンドン時間午前中に上昇していた金相場は、 その上げ幅一時失いましたが、必ずしもこの数値が、イエレンFRB議長が望む利上げを決める「決定的な証拠」とは言い難く、その後戻して先週金曜日の終値 とほぼ同水準となっています。
その他の市場のニュース
- 金ETF最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が、7月に39トン減少し、2013年12月以来の最大の減少率となったこと。
- 中国の製造業PMIが、6月に47.8と前月49.4から、過去2年間で最低水準へと下げたこと。
- 上海黄金交易所(SGE、中国商品取引所)の「国際板」による金取引量が、4日に昨年9月の取引開始以来2度目の0となったことが明らかになったこと。
- 金相場の下げが、今年前半期の金産出に影響を与え、4月には前年度比9%減となったことがレポートされていたこと。
ブリオンボールトニュース
先週金曜日に毎日新聞で、先週のニュースレターでもご紹介した弊社媒介代理店ブリオンジャパンのPRイベントと、今月口座を開設されたお客様の中から抽選で1000名の方へ純金1グラムを提供するキャンペーンについても、取り上げられました。
ウォールストリートジャーナルの「お父さんとお母さんは現物金を買い始めている」という記事で、米国造幣局が7月に、2013年4月以来の記録的な量の 金貨を販売したことを取り上げると共に、ブリオンボールト社での金購入者数も増加し、新規顧客が急増したことがレポートされました。
ロンドン便り
今週のロンドン便りでは、昨日の日本での原爆投下70年に際し、英国でもこのニュースが広く報道されていましたので、それをご紹介しましょう。
ほぼ全ての主要紙においては、広島の元安川で行われた灯篭流しの写真とともに、70回目の原爆忌が伝えられていました。その中でも、BBCでは、5日から6日に渡り特別番組を組み、生存者の証言なども含め詳しく報道していました。
そこでは、米国において「(原爆投下は)戦争を終わらせるために必要だった」という主な考え方があるのに対し、「恐るべき人的被害をほとんど顧みていな い」と疑問を呈し、この特集を伝えた特派員は、「(この考えは)米国の指導者により自分たちの行為の正当化のため戦後作られたもので、彼らがやったこ とはどう見ても身の毛がよだつ」と論評し、原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の標的は、港湾施設や工業地帯ではなく、市の中心だったと指摘して います。
そして、主要紙ガーディアンでは、この日を伝えるとともに、安部首相が今年夏まで成立させようとしている安全保障関係法案についても触れ、多くの日本国民が反対していることにも言及していました。
原子爆弾が始めて、そして最後に使われた広島と長崎の歴史は、この英国でも広く伝えられています。そして、原子爆弾の抑止力についても、原子力潜水艦を保有する英国では、その必要性等が常に議論されています。
このように、広島と長崎の原爆の歴史を知ることで、核兵器の抑止力を含めて将来的な核兵器廃絶の議論が英国でも進むことを望んで止みません。