金市場ニュース

ニュースレター(8月4日)1257.70ドル:良好な米雇用統計で金価格下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1257.7ドルと前週同価格から0.5%下落しています。

週明け月曜日金相場は、今週後半に米雇用統計を控えていることからも狭いレンジの取引となっていました。

先週金曜日は、ロンドン時間夕方に北朝鮮の弾道ミサイル発射が伝えられ、また、同日早朝には米国共和党が撤廃すると公約してきたオバマケア廃止案が否決され、プリーバス首席補佐官の辞任と政権内の混乱も伝えられ、金相場は1270ドルまで上昇していました。

なお、今月2%強下落を続けているドルインデックスは同日も下落し、一時93ドルを割っていました。

火曜日金相場は、ロンドン時間午後に上昇しトロイオンスあたり1270ドルを越えていました。

同日発表の米国ISM製造業景況指数は、前回と予想を下回りましたが、景気の拡大と縮小の基準となる50は11ヶ月連続で上回っていました。また、米個人支出は予想と同レベルの0.1%と前回0.2%を下回り、個人所得も0.0%と予想の0.4%と前回修正値の0.3%を下回ることとなり、金価格を押し上げた模様です。

水曜日金相場は、ドルインデックスが2年ぶりの低い水準へ弱含む中再び1271ドルを越えることとなりました。

同日は金曜日発表の米雇用統計の先行指標とも見られているADP全国雇用者数が17.8万人と、予想の18.5万人を下回っていました。

これは金を押し上げドルを下げる要因ではあったようですが、ユーロが対ドル2015年1月以来の高い水準で強含んでいること、トランプ政権の混乱による財政出動への期待剥落などもまた、ドルを押し下げ金をサポートしていた模様です。

木曜日ドル建て金相場は、米長期金利を含む世界の長期金利が下げる中狭いレンジながら、前日の終値から上昇していました。

これは、 同日の主要指標では、米ISM非製造業が予想と前回を下回り、2016年8月以来の低水準となってたことが要因となりました。


また同日発表された、イングランド銀行の政策金利発表では予想通り金利は据え置かれ、また2017年と18年の成長見通しを引き下げたことから、ポンド安と英国債の金利低下が進み、ポンド建て金相場は1.6%上昇することとなり、米長期金利も押し下げたとも伝えられています。

そして、同日モラー特別検察官がロシアゲートに絡み大陪審を招集したことが伝えられ、政治リスクが意識されたことも金をサポートした模様です。

本日金曜日は、市場注目の米雇用統計が発表され、その数値が良好でFRBによる利上げ観測が広がり、ドルが強含み金相場はトロイオンスあたり8ドル程を即座に失い、英国時間午後にトロイオンスあたり1260ドルを割って推移しています。

この雇用統計の数値は、非農業部門雇用者数は20.9万人と予想の18.3万人を上回り、前回数値は22.2万人から23.1万人へと上方修正され、失業率は4.3%と予想の4.3%と同レベルで、前回の4.4%から改善していました。

その他の市場のニュース


  • 先週末発表された、先週火曜日のコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、前週から160%増と週間の増加率においては2016年1月末以来の大きな規模となっていたこと。また、ショートポジションは35%減と、2014年8月以来の大きな減少率であったこと。

  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のポジションは、2週連続のネットショートから、ネットロングとなっていたこと。このショートポジションは先週の過去最大から18%減となり、ロングポジションは5.71%増となっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は先週木曜日27日から今週木曜日全く動きがなく、791.8トンと昨年3月以来の低い水準となっていたこと。

  • 米株式市場では、木曜日までにダウ工業株30種平均が8日続伸し、7日連続で過去最高値を更新していたこと。

ブリオンボールトニュース

今週も主要メディアでブリオンボールトが取り上げられました。

火曜日にブリオンボールトが発表した7月のブリオンボールトの顧客の金購入量が金価格の下落で急増し、金保有量が38.1トンと史上最高となったと紹介されました。この詳細は、弊社の7月の金投資家インデックスを解説した「賢い投資家は価格下落時に金を購入」でもご覧いただけます。

この記事では金価格が今年初頭から10%上昇しているにも関わらず、金のETFが第2四半期に76%下落」していることを取り上げ、ブリオンボールトのリサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントを紹介しました。

ここでエィドリアンは、「アジアや中央銀行の需要は、価格の下落もしくは横ばいの時に高まるとし、価格を押し上げるのは大規模な投資家で、このためには、世界株式市場の起こるであろうバブル崩壊がきっかけとなる。」とコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週の英国からのニュースとしては、エリザベス女王の夫のフィリップ殿下が今週、最後の単独の公務を行われ引退されたことをご紹介しましょう。

エリザベス女王は今年91歳で、フィリップ殿下は96歳となります。お二人は1947年に結婚され、エリザベス女王が即位した1952年以来65年間で、2万2千件以上の単独公務をこなされ、5500回程の演説を行われたとのこと。近年は高齢であることからも公務の数は減らしてきていたようですが、今年5月に夏以降に引退することを発表されていました。

最後の単独公務は、今週2日に行われたバッキンガム宮殿での海兵隊の衛兵式となりました。今後は、単独の公務はなくなるものの、エリザベス女王の公務に付き添うことはあるとのことです。

先週は、エリザベス女王の孫のウィリアム王子が、王室の公務に専念するために、2年間務めた救急ヘリコプターの操縦士の仕事を辞めたことが伝えられていましたが、エリザベス女王の負担軽減のために、チャールズ皇太子やウィリアム王子がより多くの公務を行うなど、王室の世代交代が今後進むであろうとメディアは伝えています。

今週引退されたフィリップ殿下は、率直な物言いから、多少外交の場面で物議を醸すこともあったようですが、若くして即位したエリザベス女王を支えてつづけていた姿から、またそのユーモアのセンスからも、多くの国民から親しまれています。

そこで、多くのメディアが今週特集していたフィリップ殿下のGaffe(そのつもりがないのに相手を不快にさせる社交上の失言)の幾つかをここでも少し紹介しましょう。


  • 4つの足があって椅子でなければ、そして飛行機でないが羽があって飛ぶことができるもので、潜水艦でなくて水の中を泳げるものであれば、中国人は食べるでしょう。

  • 2003年に民族衣装を着ているニカラグアの大統領に対してのコメント、「(着ている服がパジャマのようだと)あなたは寝る準備ができているようですね。」

  • (1992年にオーストラリアでコアラを撫でたいかと聞かれて)「大変な病気を移されるかもしれないので結構です。」

  • マドンナがジェームズ・ボンドの主題歌を歌うと聞いて「私達は耳栓が必要となりますか?」

いつも子供のような目の輝きを持ち続けていたフィリップ殿下を、英国の国民はもとより、メディアやコメディアンが愛した理由がお分かりになるのではないでしょうか。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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