ニュースレター(8月29日)1285.75ドル 金価格は地政学リスクの高まりと良好な米経済指標の中でのせめぎ合いとなる
週間市場ウォッチ
先週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1285.75ドルと、前週同価格から0.7%上げています。
先週月曜日は、狭いレンジでの取引となりましたが、翌火曜日は、日本時間昼頃、イギリス時間早朝に金価格が上昇しました。
これは、ショートポジションの買戻しが進んだことからですが、その背景には、ウクライナや中東情勢が緊迫化したこと、ドル高が一段落したこと、ECBの金融緩和の観測が、ドラギECB総裁のコメントで広がったことなどからです。しかし、その後同日発表された米国の経済指標である耐久財受注が好調であったことから、その上げも頭を抑えられることとなりました。
水曜日は、ウクライナ情勢を議論するEU(欧州連合)などを交えた5者会議のベラルーシでの会談を見守る中、狭いレンジでの取引となりました。この会談は6時間程度行われ、さらにプーチン、ポロシェンコ会談が2時間に及んだようですが折り合わず、決定したのは「停戦協議を再開する」ということで、価格を大きく動かすものとはなりませんでした。
木曜日は、ロシア軍兵士がウクライナへ侵攻したことが伝えられ、緊張が高まったために金価格は上昇しましたが、これをロシアは否定したことからも緩やかに戻す事となりました。
また、同日発表された米国第2四半期GDPが、予想の3.9%を4.2%と上回ったこと、週次新規失業保険申請件数も、29.8万件と30万の予想を下回ったことなども、価格を押し下げる要因となりました。
金曜日は、ウクライナ情勢に大きな変化がない中、ほぼ狭いレンジの取引でしたが、翌月曜日が米国レイバーデーを控える月末であることからも、若干ポジション整理が行われ、トロイオンスあたり5ドル程下げ、その後多少戻す事となりました。
他の市場のニュース
-
先週月曜日に、CMEが運営する金先物も取引されているGlobexが、技術的問題で、4時間遅れで日本時間11時に取引が再開されたこと。 -
ロシアの金準備が7月に10.6トン積み上げられたことが伝えられたこと。 -
中国の香港を通じての金の輸入が7月ネットで22.107トンと6月の40.543トンから大きく減少したことが伝えられてたこと。
ブリオンボールトニュース
ブリオンボールト・リサーチ部門が行った、金投資家への金価格を動かす要因を聞いたアンケートの結果が、ファイナンシャルタイムズで取り上げられました。このアンケートの結果では、第一の要因は中央銀行の金融政策(33%)、第二は地政学リスク(20%)、そして第三はインフレ(14%)となっています。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週のロンドンだよりも休暇中であるために、お休みさせていただきます。