ニュースレター(8月26日)1318.75ドル ジャクソンホールのイエレンFRB議長のタカ派的コメントを消化する中、金は上昇後下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1318.75ドルと、前週同価格から2%下げています。
月曜日金相場は、今週の金曜日のジャクソンホールのシンポジウムでのイエレンFRB議長の講演を市場は待つ中、前日のフィッシャーFRB副総裁の「完全雇用及び2%の物価上昇率に近づいている」というコメントもあり、金利引き上げ観測が広がり、ドルが強含む中、ロンドン時間午前中には下落していましたが、サポートラインの1330ドルを割ることがなかったことからも切り替えし、幾分戻すこととなりました。
なお、この間銀相場は6月末以来の低値へと下落することとなりました。
火曜日は、米経済指標がまちまちであったことからも、レンジ内の取引となりました。
この経済指標とは、製造業PMIが予想52.6のところを52.1、リッチモンド連銀製造業指数も予想+6が-11であったのに対し、新築住宅販売件数が、予想58万件のところを65.4万件と2008年ぶりの高水準となったことなどです。
水曜日は、ロンドン時間昼過ぎに大きな売り注文が入り、金曜日のジャクソンホールのイエレンFRB議長の講演の前にポジション整理なども進んだことから、金相場は大きく下げることとなりました。
そして、前週からFRB関係者のタカ派的コメントが伝えられる中、FRBの利上げを予想するコメックスのFedWatch Toolの9月金利引き上げの確率が、同日は前週の9%から21%まで上昇してきていました。
なお、火曜日に2008年ぶりの高水準となった新築住宅販売件数に対し、同日発表の中古住宅販売件数は予想551万件のところを539万件と下回ることとなりました。
木曜日金相場は緩やかに下落することとなりました。これは前日の下げ基調を受け継いで始まった相場が、同日発表された米国の主要経済指標の新規失業保険申請件数が予想を下回り、耐久財受注が2ヶ月連続で増加したことからも、ドルが強含み金を押し下げることとなったためでした。
また、ジャクソンホール・シンポジウム前に、本日ブルームバーグTVのインタビューで、カンザスシティー・ジョージ連銀総裁が、「金利を引き上げる適時は近い」などとタカ派的コメントを述べたことが伝わったことも下げ要因となりました。
本日金曜日の金相場は、市場注目のジャクソンホール・シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演が始まるとともに金相場はトロイオンスあたり1340ドルを超えてまず上昇することとなりました。
イエレンの講演では「緩やかな利上げは適切になると今も考える」、「米利上げの論拠、この数カ月で強まった」といったコメントが伝えられていましたが、直後の市場の反応は、議長の講演内容が予想以上にタカ派的ではなかったことで、ドルが弱含み、買い戻しが起きていたようでした。
しかし、ロンドン時間午後3時のLBMA金値決めが決まる直前にその上げを失い始め、現在はトロイオンスあたり1322ドルとほぼ本日の上げ幅を失う水準へと戻しています。
その他の市場のニュース
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銀のETFの残高が月曜日に史上最高の20,690トンとなったこと。そして、金のETFの残高が7月に55トン増となり、スイスからの英国への金の輸出も80トンと5か月続けて国別で最大となっていたことが火曜日に明らかとなったこと。
ブリオンボールトニュース
先週金曜日の日本経済新聞で、リオオリンピックのメダルが過去最大・最重量であることに触れ、メダルの貴金属構成比率などについて、ブリオンボールト・インフォグラフィックからの情報を取り上げました。
また、今週英国主要経済紙City AMが、今年に入り銀価格が30%上昇していることに言及し、この強さが今後も続くのかということを分析する記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントを取り上げています。
ここで、エィドリアンは「金と銀価格は、75%以上の場合同じ方向に動く。しかし、銀は金よりもボラティリティが高く、金の1%の動きに対し、銀は平均して1.75%の動きを見せる。」とコメントしています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国では、閉会式を終えて一段落したリオ・オリンピックではあるのですが、記録的なメダル獲得数67個で盛り上がったことからも、未だにオリンピック熱は冷めていません。
そこで今週は、火曜日に帰国した英国選手団のニュースをリオ・オリンピックの納めのニュースとしてお届けしましょう。
今週火曜日に、320人の英国選手が英国航空が特別に用意したチャーター機で帰国しました。このチャーター機は、ボーイング727でリオ・オリンピック特別仕様でその先端が金メダルの金色に彩られていました。
そして、このフライトには選手達が祝杯を上げるために77本のシャンペンと3コースメニューが用意されて、ファーストクラスのもてなしを英国航空のクルーから受けたとのことです。
ニュースでも伝えられていましたが、このフライトの中で撮影されたという写真は、リアルタイムでソーシャルメディアへ投稿されていて、床と鞍馬で金メダルを取ったマックス・ウィットロックが座席で鞍馬のポーズを取っている写真や、選手達が皆で英国国歌を歌っているビデオ、フィールドホッケーで金メダルを取った英国女子チームがシャンペンで乾杯をしている写真など、長い準備の末に勝ち取ったメダルや記録を、少し緊張から解かれて心から祝っている微笑ましいものばかりでした。
ちなみに、366人の英国選手団は、今回のリオオリンピックでなんと計130個のメダルを獲得し、選手団の35%がメダルを持ち帰ったことになるとのこと。そして、自転車のトラックレースに出た15人の選手は全てがメダルを獲得したとのことです。
次は2020年の東京オリンピックで日本選手の活躍に期待がかかりますが、閉会式での安倍総理のマリオ姿での登場は、ほぼ全ての英国主要メディアで伝えられ、2020年の東京オリンピックへの強い印象は残したようでした。
東京オリンピックは、エンブレム問題と新国立競技場の建設計画の白紙化などと、出鼻を挫かれましたが、これからの4年間で日本人が誇れ、世界のオリンピック・パラリンピックの歴史に残るものを作り上げられること祈り、応援しています。