ニュースレター(8月22日)1277.25ドル FOMC議事録発表後、イエレンFRB議長ジャクソンホール講演を控え、早期金利引き上げ観測が広がる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1277.25と前週同価格から1.4%下げています。
週明け月曜日は、地政学リスクが後退し、金価格は下落することとなりました。
その内容は、ウクライナ情勢においては、ロシアのラブロフ外相は18日に、ドイツ、フランス、ウクライナ外相とのベルリンでの会合後に記者会見し、ウクライナへの人道支援物資の搬入をめぐる全ての問題が解決したと語ったことが伝えられたことからで、イラク情勢においては、イラク軍と北部クルド自治政府のクルド人部隊(ペシュメルガ)がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」により制圧されていた北部モスル郊外のダムを奪還したことを明らかにたことからです。
翌火曜日は、狭いレンジでの取引ながらも、緩やかに金価格は下げることになりました。これは、米国住宅指標が良好であったことから、ドル高と株高が進んだことからです。この指標とは、7月の住宅着工件数と着工許可件数で、両数値が共に、予想と前回を上回ったことから、FRBによる金利の引き上げ前通し観測が広がることとなりました。
水曜日は、市場注目のFOMC議事録がニューヨーク時間外に発表され、予想以上にタカ派的コメントが見られたことから、金価格は押し下げられることとなりました。注目された部分は、「多くの参加者は、委員会の目標に向けた収束が予想より速いペースで起きた場合、金融政策による緩和措置を現在見込まれているよりも早期に引き揚げ始めることが適切になる可能性があると指摘した」と記されている部分などです。
木曜日は、同日発表された米国経済指標の、週次新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数、中古住宅販売件数が、全て経済の回復を示唆するものであったことから、前日のFOMCのタカ派的コメントによる早期金利引き上げの観測がさらに広がり、翌日のイエレンFRB議長のジャクソンホールにおける講演を待つ中、価格は過去1月の最低水準へとトロイオンスあたり20ドル近く下げることとなりました。
本日金曜日は、イエレンFRB議長の講演を待つ中、狭いレンジで推移し、議長の講演後は多少下げたものの、現在は戻しています。イエレンFRB議長の講演で注目されたコメントは「労働市場の改善、インフレが予想を上回るペースで進んだ場合、早期の金利引き上げが予定より早く、速いペースで行われる可能性はある」ということのようですが、「もし労働市場の改善が予想よりも進まなければ、金利は引き続き低く据え置かれる」とも述べていることから、これまでのスタンスは継続しているとも取れるものです。
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ブリオンボールトニュース
今週ファイナンシャルタイムズの「地政学リスクによって安全資金の金の将来が輝く」という記事で、弊社リサーチ主任のコメントが取り上げられています。
ここでは、弊社リサーチ部門が顧客へ行ったアンケートの結果、回答者の18%が地政学リスクが金投資の際の最も大きな要因と述べていることが紹介され、金が多くの投資家にとって保険の役割であるとし、通常保険は最も必要な時には、その保険購入額は高額となっていると解説しています。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週のロンドンだよりも休暇中であるために、お休みさせていただきます。