ニュースレター(7月25日)1294.75ドル 地政学リスクが継続する中、金価格は好調な経済データで下げたものの株安で戻す
私は先週休暇をいただいていましたので、簡略版の先週のニュースレターを本日掲載いたしました。
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1294.75ドルと前週同価格から1%弱下げています。
週明け月曜日21日は、ウクライナのマレーシア航空機墜落を巡る欧米とロシアの対立と、イスラエルのパレスチナ自治区のガザへの地上部隊の侵攻など、地政学リスクの高まりから、金価格は緩やかに上げることとなりました。
翌火曜日は、米国中古住宅販売件数が予想を上回り、前月比2.6%増の504万件となったことから、金価格は下落することとなりました。
水曜日は、地政学リスクが、ウクライナ及びイスラエルとハマスの抗争も大きな変化のない中、金価格はゆるやかに下げることとなりました。
木曜日金価格はトロイオンスあたり1300ドルを割ることとなりました。
この要因として考えられるのは、①今年前半期の中国の需要減少が伝えられたこと。それに加え、香港からの金輸入量が先月、過去17ヶ月で最も少なかったこ とも伝えられたこと。②ガザ、ウクライナ、イラクの地政学リスクは継続しているものの、市場に耐性ができ、リスクオフが進み、株価が上げていることから。 ③同日発表の米国新規失業保険申請件数が28.4万件と2006年以来の低い水準となったこと。
先に加えて先週ロイターが市場関係者に行った金価格の先行きで、2014年第3四半期に1270ドル、第4四半期に1255ドルと下げると予想したことも投資家心理に多少影響を与えた模様です。
金曜日は、前日の下げの反発と、VISAなどの決算結果が予想を下回りNY株価が下げたことから、ロンドン時間終了後にトロイオンスあたり1307ドルまで上昇しました。
他の市場のニュース
- クレディ・スイスがコモディティビジネスから撤退することが伝えられたこと。
- インドの金輸入規制が新政府によって緩和されると予想されていましたが、火曜日同国財務相が、経常収支改善のために継続することになるであろうとコメントしたことが伝えられたこと。
- 中国の金需要は、上半期に前年比19.4%減少したことが伝えられたこと。
- 米国において、金値決めメンバーの不正操作を申し立てている27の訴訟を1つの集団訴訟にまとめることが伝えられたこと。
ブリオンボールトニュース
休暇をいただいておりましたので、この間新たな記事は掲載されていません。
ロンドン便り
先週英国では、スコットランドのグラスゴーで、先週水曜日から開催されているコモンウェルスゲームズが広く取り上げられています。
これは、イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年毎に開催されるスポーツ競技大会で、オリンピック競技以外にも、イギリス連邦諸国で盛んに行われている、ネットボールやローンボウルズなども行われています。
この大会には、英連邦に所属する53ヵ国と地域の71チームが参加し、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドはそれぞれ別のチームとして競い合っています。
昨日は、男女のマラソン大会が行われ、男子はオーストラリアのShelley氏、女子はケニアのDaniel氏が金メダルを獲得しました。しかし、英国のメディアが大きく取り上げているのは、10位に入ったイギリス人のSteve Way氏のことです。
彼がなぜこのように取り上げられているかというと、彼が40歳と遅咲きのアスリートであること。そして、6年半前までは100キロを超える体重で、一日に1箱のたばこを吸っていた、英国の典型的な男性であったことからです。その彼が、体重を減らすためにランニングを始め、40歳となった今年初めて、このような正式な大会に招待され、昨日2時間15分16秒と、40歳以上のカテゴリーの大会新記録を更新したのでした。
彼は、学生時代は物理と数学を得意とし、スポーツとは関わりのない生活をしていたとのこと。そして、20代は、多くの英国男性がそうであるように、友人と頻繁に飲みに行って、夜遅くにカロリーの高い食事をとる生活を続けていたために、6年前の33歳の時に体重は100キロを超え、夜は喫煙のために咳が出て眠れない夜が多くなっていたとのことです。
そこで、一念発起して2006年にロンドン・マラソンにエントリーし、3週間のトレーニングのみでアマチュアランナーにとしては素晴らしいタイムである3時間ほどのタイムで完走したのでした。その翌年のロンドンマラソンでは、7ヶ月のトレーニングのみで2:35:26という記録を出し、ランニングが生活の一部となったとのことです。
現在は、週に200キロを超える距離を走るトレーニングをこなすために、ITの専門職からトレーニングに時間が割ける定時で働ける銀行へ、かなりの収入減を承知の上で移ったとのこと。そのため、彼は人生の目標ができて充実した生活を過ごせることとなったことに当然満足をしていますが、家族と友人達も喜んでくれているとのことです。
ちなみに、彼の得意種目は100キロのウルトラマラソンで、既に多くの大会で優勝をしています。
走ることが趣味でマラソンも2度ほど挑戦した私のような市民ランナーにとって、彼のストーリーは、もちろん稀に見る才能があってこそとは理解しながらも、夢と希望を与えてくれるものです。