金市場ニュース

ニュースレター(7月22日)1320.75ドル トルコのクーデター未遂後、ドル高株高で金相場は下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1320.75ドルと、前週同価格から0.5%下げています。

週明け月曜日は、週末のトルコのクーデターが失敗に終わり、トルコ株式が5%下げる中、英米の株価が上昇し、金相場は下落することになりました。

火曜日は、トルコのクーデター未遂事件の余波等で株式市場が多少低迷する中、金相場は狭いレンジで推移することとなりました。

このトルコの余波とは、エルドアン大統領が米国内に居住するイスラム教指導者ギュレン師の引き渡しを求め、隣国シリアで過激派組織「イスラム国」(IS) を掃討する米軍の作戦に使われているトルコ国内にあるインジルリク空軍基地の電力が切断されて3日目に入っていたこと。そして、エルドアン大統領が、同国で起きた クーデター未遂に関連して死刑復活の可能性に言及したことに対して、ドイツ政府がトルコが死刑制度を復活させるならば欧州連合(EU)には加盟できないと の認識を示したことなどです。

なお、同日発表されたドイツのZEW景況感調査の数値は、BREXIT後に2012年後半以来の低さへと悪化していました。

また同日欧州委員会はBREXITによって、ユーロ圏は2017年のGDPが最悪0.5%下がり、UKは2.6%下げると予想しています。

水曜日金相場は、欧米の株価が上げる中、ドル建てで1320ドルを割り、ユーロ建てでは1200ユーロを割るなど、3週間ぶりの低値を付けることとなりました。

なお同日は、トルコクーデタ未遂後S&Pがトルコを「BB」に格下げし、見通しをネガティブしたこと、そしてトルコリラが過去最安値を更新したことが伝えられ、トルコのエルドアン大統領が3ヵ月間の非常事態宣言を出したことも伝えられていました。

木曜日金相場は、ドルが弱含み、株式市場が下げる中、前日の下げを取り戻すこととなりました。

これは、日銀の黒田総裁が同日放送された英BBCラジオとのインタビューで、ヘリコプターマネーについて「必要も可能性もない」との見解を示したことが伝えられ、欧州中央銀行が金融政策を据えおいた事が要因であった模様です。また、金相場が一定下げると押し目買いの動きも見られていたようです。

本日金曜日は、ドル建て金相場は緩やかに昨日の上昇分を失っています。これは、ドルが強含んでいることからですが、先月の雇用統計を含め、昨今発表の米国の主要経済指標が経済の回復を示していることなどから、今年中のFRBによる金利引き上げが無いという市場予測が、少ないながら「有り」に動いていることなども要因であるようです。

なお、ポンド建て金相場は、ドル建てとは異なり、昨日の上昇分を超えて上げています。これは、本日発表された英国の購入担当者指数(PMI)が、金融危機以来の大きな下げを見せたことが伝えられ、ポンド安が進んでいるためです。

その他の市場のニュース

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアが、先週金曜日に936トンと1.9%減少していたこと。これは、週としては昨年12月以来の急激な減少であること。なお、銀のETFの最大銘柄のiShareは、その残高を2%増とし、過去5年間の最高水準の10,842トンとなっていたこと。

  • 英国の貿易データによると、今年3月から5月に、金がロンドンに集まってきていたことが明らかとなったこと。この3ヶ月間の高い水準のインフローは2009年の2月から4月以来で、3ヶ月連続でこのように輸入が輸出を上回っていたのは2012年末以来の水準とのこと。


  • 欧州司法裁判所が2013年のスロバキアの銀行の救済を認めたことが伝えられたこと。

ブリオンボールトニュース

今週も多くの主要メディアでブリオンボールトのデータおよびコメントが取り上げられています。

今週木曜日に、日銀の黒田総裁が「刺激策としてのヘリコプターマネーは必要としない」とBBCのインタビューで述べたことが伝えられ、株価が下げる中、金相場が上昇したことレポートする記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここでエィドリアンは、「現在金相場は株式市場に強く影響を受けている。そのため、株式市場が好調である昨今、金への興味は下がっている。」と述べています。

今週火曜日に金相場が緩やかに上げていたことをレポートする記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントを取り上げました。

ここでエィドリアンは、「今週の金相場が大きな動きをしていないことは、地政学的リスクが金融市場への懸念のようには地金の価格を動かさないことを証明し ている。」とし、「銀相場が7月初旬の勢いがないことにも触れ、今週木曜日の欧州中央銀行の金融政策発表がインフレ懸念を生み出す可能性はある」と述べて います。

英国の国民投票でEU離脱が決定した(BREXIT)後、一般の英国人が安全資産としての金を購入したという記事で、ブリオンボールトのデータが取り上げられました。

ここでは、約4百万ポンド(5億6千万円)の金と銀が、国民投票後の週末の25日と26日に取引されたこと、そしてこれは、過去12ヶ月の週末の取引量の7倍と言及されています。そして、国民投票後の6月と7月の第一週の英国の新規顧客は、過去12ヶ月と比較して170%となっていたことも取り上げられています。

ロンドン便り

今週英国では、テリーザ・メイ首相の日々の動向が広くメディアで伝えられています。

まず、今週水曜日には初の野党党首との党首討論があり、メイ首相がコービン労働党党首を上回るパフォーマンスをしたことが取り上げられていました。

このPMQs(Prime Minister's Questions)と呼ばれている党首討論は、毎週水曜日の正午から30分行われる論戦で、これに近い形式で1881年から行われている英国の伝統であり、この模様は国会中継放送で伝えられ、そのハイライト等はニュースで伝えられます。

英国の人々にとって、首相の資質としてディベート(論戦)を見事に操ることはかなり重要でもあり、今回は、テリーザ・メイ首相の初のPMQsということもあり、ほぼすべてのメディアでこの模様が伝えられ、ディベート力についてかなり良い評価がされていました。

そして、このPMQsの後にドイツを訪問し、メルケル首相とミーティングを行い、リスボン条約50条に沿って離脱通知を出すのは2016年中には無いと述べたことが伝えられています。これは、離脱通知を出した場合、2年以内にEU加盟国と離脱交渉を行わなければならないために、その準備に少なくとも6ヶ月が必要であるためという理由です。

以前から英国が離脱準備に時間を要することに理解を示していたメルケル首相の了解は得られたようですが、これを声高に認めていなかった昨日のフランスのオランド大統領とのミーティングが注目されていました。

昨日のオランド大統領とのミーティングは首相就任後の訪問でもあったことから、お互いの意見を交換したというところのようですが、オランド大統領はあくまでも早い時期の離脱通知が必要とのことのようです。しかし、フランスとの国境警備に関しては、国民投票後に新たな取り決めをすべきとオランド大統領は警告していましたが、今回のミーティングでこれまでの取り決めを継続することを同意したと伝えられています。

このようなことからも、ほぼすべての主要メディアで、メイ首相の就任後の手腕に肯定的なものが多く見られています。離脱通知までの6ヶ月の時間の猶予を得たメイ首相が、「通知前は公式にも非公式にも交渉に応じない」と明言しているメルケル首相や他のEU諸国とどのように交渉準備を進めていくのか、今後も注目したいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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