ニュースレター(7月15日)1327ドル リスクオンで株価が上げる中、金は7週連続の上昇には至らず
今週私は休暇をいただいていますので、簡略版のニュースレターをお送りいたします。
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1327ドルと、前週同価格から2%下げ、週終値ベースでは7週連続の上げとはなりませんでした。
週明け月曜日金相場は、日本を含む世界株価が上昇する中、ドル建てにおいて緩やかに下落することとなりました。これは、先週金曜日の米雇用統計が良好であったこともありま すが、英国の次期首相となる保守党党首が、アンドレア・レッドソム・エネルギー担当閣外相が立候補を取り下げたことから、テレサ・メイ内相となることが確定し、水曜から首相となることが発表されたことを市場が好感したことからの模様です。
なお、円建てにおいては、参院選の結果自民党が参院単独過半数には至らなかったものの、与党が参院単独過半数を得たことからも、更なる金融緩和の観測が広がり、円が対ドル弱含む中、2ヶ月ぶりの水準へと上昇することとなりました。
火曜日金相場は、リスクオンで世界株式が上昇する中、前日の下げ基調を受け継ぎ、ドル建てにおいてはトロイオンス当たり27ドル近く下げることとなりました。なお、この間日経株価はBREXIT以前の水準にほぼ上昇し、NYダウは一時過去最高値を上回ることとなりました。
水曜日は前日の下げを緩やかに戻すこととなりました。円建て金相場は、前日円が対ドル弱含む中、4ヶ月ぶりの高さへと上昇して多少下げたものの、同日もほぼその水準を保つこととなりました。
また、前日金相場が大きく下げる中、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は16トン減少と、昨年12月以来の大きな一日の減少量となりました。
なお、米国の金利引き上げを予想するCMEのFedWatchでは、今月27日の利上げの確率をゼロとしており、9月の利上げは8分の1の確率、そして、 来年3月までに金利が現在0.5%から1%へ上がっている確率は0.1%としています。しかし、米連銀自身の金利見通しは、2016年末までに 1.375%となっています。
木曜日金相場は、日本円建て以外の主要通貨で下落し、ドル建て金相場は一時トロイオンスあたり1322ドルと、月曜日の2ヶ月ぶりの最高値から4%下げることとなりました。
ポンド建て金相場は、イングランド銀行が同日の政策金利発表で市場予想に反して、更なる利下げ、資産購入プログラム枠拡大等の金融緩和を行わなかったこと から、ポンドが2週間ぶりの高さへと強含み、今月初めてトロイオンスあたり1000ポンドを割って下落することとなりました。
今月のイングランド銀行の利下げは、BREXIT以降確実とされてきていましたが、前日就任したメイ新首相の下組閣が進む中、財務相不在の中での金融政策変更は難しかったため政策を維持したのだろうと解説されています。そのため、8月の利下げが確実視されることとなりました。
なお、銀相場は金相場が下げる中、20.24ドルとしっかり値を保つこととなりました。
金曜日は、アジア時間に発表された中国経済指標が良好であったことから日経平均株価が上げ、世界株価が堅調な動きをする中、ドル建てにおいて、金と銀相場共に緩やかに下げることとなりました。
この良好な中国経済指標とは、4─6月国内総生産(GDP)、6月分の小売売上高、鉱工業生産で、それぞれ市場予想を上回る良い数字となりました。
なお、銀相場は下げて入るものの、7月の上げ率は8%と金の1%を大きく上回っています。
また、ETFの残高も銀の最大銘柄iShare Silver Trustが今週2%増で、過去5年間の最高値に近い10,842トンとなっているのに対し、金の最大銘柄のSPDRゴールドシェアは、7月初めの過去3年で最高値982トンから20トン減となっています。
その他の市場のニュース
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貴金属取引と保管ビジネスをICBCに今年の春売却したバークレイズ銀行がLBMA金価格のオークションから先月10日を最後に撤退したことが伝えられたこと。これにより、LBMA金価格のオークション参加企業は13社。 -
地金商の日本における最大手の田中貴金属がスイスの貴金属精錬大手のメタローグループを買収したことが発表されたこと。
ブリオンボールトニュース
今週も引き続き多くの主要メディアで弊社のデータとコメントが取り上げられることとなりました。
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ブルームバーグの「アベノミクスへの懸念から日本の金販売量が急増」の記事で、ブリオンボールトでの日本からの金購入者数が前年後半期から今年前半期に62%増となったことが取り上げられました。 -
「なぜ金相場が上昇しているのか?その5つの理由」という、英国主要日刊紙テレグラフの記事で、ブリオンボールトのデータとリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
ここでは、BREXIT、金利、ドル、ユーロ危機、中国の需要などを5つの理由とし、BREXITの中で、ブリオンボールトの金取引量が国民投票の結果が 発表された日に3000ポンド(約40.5億円)相当となったこと、そして、エィドリアンのコメント「BREXIT後価格が上昇する中、個人投資家は比較的落ち着いているが、新たな顧客、特に米国からが急増している。それは、おそらくBREXIT後のボラティリティが、11月の大統領選の結果による市場の 混乱の懸念を高めたからだろう。」を取り上げています。
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今週初めに銀相場が金同様に下げたことをレポートする英主要経済サイトのMarketWatchでブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
この記事でエィドリアンは、「主要中央銀行の更なる緩和観測の要因で、銀は金と比べて相場を高く保っている。金の急落は本来は銀も引き下げるはずだった。過去50年間のほぼ75%の取引日にこの2つの貴金属は同じ方向に動いている。」とコメントしています。
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CNBCのMoney Controlのサイトで、「金は2016年の話題となる」という番組で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュがインタビューを受け、BREXITや米大統領戦等の政治的リスクが金にモメンタムを与えていると述べています。
ロンドン便り
今週は休暇をいただいているので、ロンドン便りはお休みさせていただきます。