金市場ニュース

ニュースレター(7月11日) 1335ドル ポルトガル大手銀行の経営懸念で金価格上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1335ドルと前週同価格から1.2%上げています。

週明け月曜日は、アジア時間で金価格は下げたものの、ロンドンとニューヨーク時間で戻すこととなりました。

この下げの要因は、やはり前週発表された米国雇用統計の結果が非常に良いものであったことからFRBの量的緩和縮小ペースが進む、もしくは金利上昇時期が早まるなどと、金にとってはマイナスの懸念が広がったことからですが、戻した要因は、データが発表された時にも注目された、実際の労働参加率や賃金上昇率が停滞していることなどから、必ずしもFRBが動かないという観測が広がったことなどからです。

また、同日発表された米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、、金のショートポジションは過去3ヶ月で最も少なく、ロングポジションは2012年11月以来の高水準で、ネットロングポジションは過去4ヶ月で最大の220億ドルとなったことが伝えられ、投資家心理を支えた模様です。

翌火曜日は、前日と対照的にロンドン時間午前中に上げた価格が、まとまった売りでトロイオンスあたり10ドルほど下げ、その後緩やかに戻すこととなりました。

同日は、米国株価が利益確定の売りなどで下落したこと、また、金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアが、先週に引き続き増加を続け、800トンを越したことが伝えられたことも金価格の上昇をサポートした模様です。

水曜日は、米FOMCの前月の議事録発表を待つ中、金価格は緩やかに上昇することとなりました。

そして、この市場注目のFOMC議事録の発表はロンドン時間外に行われましたが、内容はハト派的な内容であったと解釈され、価格はさらに上昇することとなりました。ここで注目された内容とは、最近の金融市場の変動が小さいことについて投資家が「先行きの不透明感を十分に考慮していない」とする懸念も挙がったこと、また、インフレがより急速に上昇するとの見方も示されたことなどです。

木曜日は、前日の流れでアジア時間に価格が緩やかに上昇する中、ロンドン時間早朝にポルトガル第2の銀行、エスピリト・サント銀行の親会社が短期債務の返済を見送ったことで、ユーロ圏の脆弱性への懸念が再燃し、金価格はトロイオンスあたり10ドル強急騰することとなりました。その後、ポルトガル銀行(中央銀行)が同行の健全性についてあらためて説明し、市場が落ち着きを取り戻す中金価格は多少戻すこととなりました。

金曜日は、注目すべき主要経済指標の発表がない中、前日の上げ幅を維持し、狭いレンジでの取引となりました。

他の市場のニュース


  • 本日LBMAがCMEとトムソン・ロイターの提案が、8月14日で終了する現行の銀値決めに代わって採用されると伝えたこと。本日私も参加したLBMAのAGMでも銀値決めが議題として急遽加わり、説明がありました。この、詳細については来週別途ご報告します。

ブリオンボールトニュース

今週は、銀値決めの代替案と共に、改革案が話し合われている金値決めについてウィキページをまとめてみました。よろしければ、下記のリンクでご覧ください。

今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週も英国メディアでは、ワールドカップ準決勝、日本の宮里藍さんも参加している全英リコー女子オープンなどスポーツが多く取り上げられています。

個人的に興味を持って見ているのは、今年3度目(注)の英国開催となったツール・ド・フランスですが、残念ながら、昨年の覇者の英国人クリス・フルーム(チームスカイ)が、第5ステージで左手首を痛めたことから棄権することとなりました。既に、ステージ25回優勝を誇る、英国人のマーク・カヴェンディッシュ(オメガファーマ・クイックステップ)が、第1ステージでやはり怪我で棄権しているために、毎年素晴らしい結果を残している英国人のツール・ド・フランスのヒーロー達を今年は見ることができなくなりました。

そのような中、今週日曜日には、ツール・ド・フランスで7年連続優勝をしたものの、ドーピングでそのタイトルを剥奪された、ランス・アームストロングのドキュメンタリーがBBCで放映されていました。

1996年に癌が既に肺と脳にも転移し生存率が3%と言われながら化学療法などで克服し、現役に復帰してツール・ド・フランスで7連覇をしたことは、当時大きく報道されていました。そして、基金やNPOを立ち上げ、癌撲滅、癌患者支援の活動を精力的に行うなど、世界の人々にとってのヒーローといえる存在でしたが、2012年にドーピング違反をしていたという判定がくだされ、自転車競技からの永久追放を受け、また彼自身も昨年それを認めるという残念な結果となっていました。

多額のお金が動くトップスポーツで、しかも耐久競技であることからも、ドーピングを行う選手と反ドーピング機関がその技術力をせめぎ合っている部分もあるようですが、ツール・ド・フランスのファンとしては、この競技のヒーローがヒーローでい続けるてくれることを祈るばかりです。

注 先週のロンドン便りでは2度目と伝えましたが、2007年以前にも1974年に開催されていました。そのため、3度目の開催が正しかったようです。訂正してお詫びいたします。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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