金市場ニュース

ニュースレター(6月24日)1315.50ドル 英国のEU離脱の結果が金相場を急騰させる

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格PM価格は1315.50ドルと前週同価格から1.9%上昇しています。

週明け月曜日は、週末発表の英国のEU離脱を問う国民投票に関する世論調査で、残留派が勢いを取り戻したと伝えられたことから、離脱懸念が後退し、ポンド が3週間ぶりの高値を付け、株価が世界的に上昇する中、金相場は下げで始まったものの、ロンドン昼過ぎからその下げ幅を削り上昇することとなりました。

火曜日金相場は、英国のEU離脱の国民投票が木曜日と数日に迫る中、ブックメーカー各社の離脱派の確率が下げていることが伝えられ、離脱懸念が後退する中、ポンドが対ドル2016年の最高水準へ上昇し、金相場は下落することとなりました。

特にポンド建て金相場は先週木曜日の過去3年の最高値からトロイオンスあたり861ドルと一時8%下げることとなりました。

なお、同日のイエレンFRB議長の議会証言は、ほぼFOMC後の記者会見を踏襲し、FOMCは緩やかなペースで金利引き上げると再表明していました。

水曜日金相場は、翌日の英国離脱の是非を問う国民投票を明日に控え、市場はその結果を待つ中、狭いレンジでの取引となりました。

同日ブックメーカーの英国離脱の確率は先週の40%から24%へと下げ、ポンドは対ドル3%上昇し、対ユーロ2.6%上昇していることが伝えられ、 ファイ ナンシャルタイムズは、明日の結果次第でポンドが急落することに備え、人々がポンドをドルやユーロに両替するために列を作っていると伝えていました。

木曜日は、英国のEU離脱の是非を問う国民投票が行われる中、狭いレンジでの取引となりました。そして、午後10時に投票が締め切られ、夜中に開票が進む 中で、離脱派が予想を上回り健闘していることが伝えられると、緩やかに金価格は上昇することとなりました。

金曜日早朝には、英国のEUからの離脱が確実になったことが伝えられ、金相場は一時ドル建てで8.1%上げの1358ドル、ポンド建てではポンドが30年 来の低水準へ急落したことから22%上げの1000ポンドを超える水準へ急騰することとなりました。

投票結果は離脱51.9%、残留48.1%と、43年にわたるEU加盟国としての歴史に幕を閉じることになりました。その後、キャメロン首相は10月の党大会で辞任することを表明しています。

なお、この発表後、円は一時1ドル99円まで円高・ドル安が進み、約2年7ヶ月ぶりに1ドル100円を突破しました。また、現段階でポンドは対ドル7%下げ、対ユーロ5%下げています。

日経平均株価が7.9%安と暴落し、英FT100種平均株価指数は3.15%安、仏CAC40種指数が7%安、ドイツ株式主要30銘柄指数が6%安、米ダウ工業株30種平均も取引直後に2.3%安など、軒並み下げることとなりました。

その他の市場ニュース


  • 著名投資家のジョージ・ソロスが、英国離脱(BREXIT)の場合、1992年のポンド危機を勝る危機が起こり、ポンド が少なくとも15%、最悪20%以上下げると警告したこと。

ブリオンボールトニュース

今週は、英国のEU離脱の是非を問う国民投票に絡んで、多くの主要メディアでブリオンボールトとリサーチ主任のコメントが取り上げられました。

この記事では、ブリオンボールトの設立者で最高経営責任者のポール・タスティンとのインタビューの内容が取り上げられています。

ここでブリオンボールトにおいて、国民投票の前に金と銀の需要が顕著に増加しているとし、先週は前週比76%増の1820万ポンド(約28億円)相当の金銀の取引が行われたというデータを紹介しています。

ここでエィドリアンは、「このような危機において、金は貯蓄者や投資家にとっては保険の役割を果たす。金は、2008年の金融危機時のように、株式市場や 為替市場の下げに対し、確実性とセキュリティを与える。今回異なるのは、投資家はBREXITの可能性を知っていたことだ。そのため、多くの投資家は結果 を待たずに準備をしていた。」とコメントしています。

こでエィドリアンは、「この金価格の急騰は金融市場にパニックが走ったことを表している。これは、爆弾が落とされたようなものだ。特に昨日までは残留となることを皆が予想をしていた。」とコメントしています。

ここでエィドリアンは、金相場がポンド建てでこの速さで上昇したのは過去にないとコメントし、「これは、金融市場にパニックが広がったことを表している。そして、このような危機の際に金は保険の役割を果たす。」と続けています。

ここで、エィドリアンは、金価格が発表後に8.1%上昇したのは、「金融市場でパニックが起こっていたことを表している」とコメントしています。

この記事では、英国王立造幣局のオンラインの取引量が、先月32%増となり、それによる収益が150%増となったことを伝え、ブリオンボールトにおける取引量が6月に、過去1年間の平均の85%増となっていることも紹介しています。

ここで、ビットコインに対する金の優位性を問われ、エィドリアンは「古く昔から金は安全資産という価値を確立しており、世界の様々な文化が資産価値の保全の方法として利用し、その価値が消えたことが無いこ とが記録されている。現物資産であることから、金は破綻することもなければ、破壊されることもない。そして、世界で共通に理解することができる物権法に よって守られている。」とコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り(BREXITウォッチ)

「大変なことになりました。」

これが、本日の国民投票の結果後に、親しくしていただいている日本のメディアの方から受け取ったメールの書き出しでした。

先週のジョー・コックス下院議員の殺害事件以降、残留派の勢いが増していることが伝えられ、ブックメーカーの掛け率も、離脱派の割合が下げ続けていたので、ほとんどの英国の人々は、僅差で残留となると考えていました。

ところが、夜中を通して入ってくる開票結果は、予想以上の離脱派の健闘でした。

結果は、離脱派の勝利となり、その後早い段階でキャメロン首相が10月の党大会での辞任を表明し、野党労働党のジェレミー・コービン党首は、今回の 残留キャンペーンの責任を取るべきと数人の労働党議員から退陣を要求されています。そして、ユーロ残留を望んでいたスコットランドを代表する、スコットラ ンド自治政府首相のニコラ・スタージェンがすでに2度めのスコットランド独立の国民投票の可能性について触れるなど、今回の選挙結果がドミノ倒しのよう に、様々な影響をすでに出し始めています。

キャメロン首相は、今朝の辞任の記者会見で、新たな首相の下で離脱の手続きを10月以降開始することを提案していますが、本日すでに、欧州理事会議長 のドナルド・トゥスク氏、欧州委員会委員長のユンケル氏、欧州議会兆のシュルツ氏などが、できるだけ早い離脱手続きを要求したことも伝えられています。

英国の半数弱の人々が望まなかったとはいえ、EU離脱は、民主主義に則って英国の人々が下した結論です。歴史的にも始めて行われるEUからの離脱の 過程を経て、英国の人々が望んだ主権と民主主義を取り戻すまでの道のりが、更なる国内の分裂を進めるものでないことを祈ってやみません。

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ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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