金市場ニュース

ニュースレター(5月27日)1216.25ドル 早期利上げの観測が広がり8週間ぶりの最低値へ

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1216.25ドルと、前週同価格から3%下げ、8週間ぶりの低い水準で、終値ベースで8営業日連続の下げとなる模様です。

週明け月曜日の金相場は、先週のFOMC議事録発表後に6月利上げ観測が広がり下げた基調を受け継いだものの、先週同様にトロイオンスあたり1250ドルを割ると安値買いもあり、1250ドルへと戻すこととなりました。

なお、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、FOMC議事録が発表された後の先週金曜日にも1%増加し、869トンと2013年11月以来の高い水準となっていました。また、今週は金相場が下げる中、昨日の段階でこの残高はほぼこの水準を保っています。

火曜日の金相場は、ロンドン午前中に直近のサポートラインであった1243ドルを割り更に下げていましたが、午後に発表された米新築住宅販売件数が、2008年1月以来の高水準となったことから、ドルが強含み、更に下げ幅を広げることとなりました。

水曜日の金相場は、前日の下げ幅をさらに広げ、7週間ぶりの安値水準の1220ドルを割り、1217ドルを一時付けたものの、そこからは切り返すこととなりました。

先週のFOMCの議事録発表以降、6月の米利上げ観測が広がっていますが、同日もハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の「年内2、3回の利上げは可能」というコメントが伝えられていました。

木 曜日金相場は、原油価格が昨年11月以来の50ドルを越え、ドル高も一服したことから、昨日の過去7週間で最低水準から上昇していましたが、ロンドン午後 に発表された米耐久財受注が予想を上回り、昨年8月以来の高水準となり、米新規失業保険申請件数も4週ぶりの低い水準となったことからも、その上げ幅を失 うこ ととなりました。


また、パウエルFRB理事の「データ、リスクの展開次第で、追加利上げはかなり速やか(fairly soon)に行うのが適切かもしれない」という「かなり速やか」という言葉が注目され、金相場を押し下げるものとなりました。

本日金曜日の金相場は、昨日の下げ基調を受け継ぎ、ロンドン早朝にトロイオンスあたり1212ドルと過去8週間の最低値を付けることとなりました。

また、本日発表された米第1四半期GDPは、予想を下回ったものの、速報値からは上方修正され、金相場を押し下げるものとなりました。

なお本日は、イエレンFRB議長のハーバード大学でのスピーチがロンドン夕方に予定されていることからも、ここで更なる早期利上げを示唆するコメントが出る可能性もあり、市場はかなり慎重となっている模様です。

その他の市場ニュース


  • 中 央銀行の金準備で、先月ロシアが16.2トン、中国が10.9トン、カザフスタンが3.2トン増加させたことが明らかとなったこと。な お、財政危機が伝えられているベネズエラは、2月に34.2トン、3月に8.5トン売却したことが伝えられていましたが、4月のデータは明らかとなってい ないとのこと。

  • インフレの急騰で必要となる新たな紙幣を作る資金が無いことが伝えられていたベネズエラの今年第1四半期の金準備売却量は、2007年にスイスが金準備を売却した量以来の大規模なものであることが明らかとなったこと。

  • カナダの主要鉱山会社が、日本の著名電気機器会社が供給懸念からアプローチしたことからも、銀価格が将来的に9倍となる可能性があると述べたとブルームバーグが伝えたこと。

  • 貴 金属專門市場が基準に従ってきた現物取引の取り決めについてまとめられていた、イングランド銀行のNon-Investment Products (NIPs) Codeが、Precious Metals Codeへと移行されることが、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)によって伝えられたこと。

ブリオンボールトニュース

ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が四半期ごとに発行しているAlchemistの最新号で、弊社リサーチ主任エィドリアン・アッシュが寄稿した記事「カーテンの後ろにいる人物には注目すべきではない」が掲載されました。

こ の記事では、エイドリアンは1960年半ばに、「オズの魔法使い」が、当時の金融政策を風刺するものであると注目されたことを取り上げ、現在の日銀を含む 主要 中央銀行もまた、必ずしも絶対的な力を持たない「オズの魔法使い」のようでもあり、現在の金融政策をも風刺できるものでもないかと問いかけています。

本日英国主要日刊紙のテレグラフで「6ヶ月で107%のリターン:金のファンドが2016年のパフォーマンステーブルで圧倒」と、金に投資をしたファンドの今年前半期のリターンが倍増していることがレポートされ、ブリオンボールトのリサーチも取り上げられました。

こ の記事では、年初からポンド建てで20%上昇している金相場によって、英国投資家が選択できる3500を超えるファンドの中で、金を專門とするファンド が最も良いパフォーマンスを見せているとし、ブリオンボールトのリサーチのポートフォリオの10%を金に振り分けることで、過去40年間のポートフォリオ の損失を半減させることができるというものを紹介しています。

今週は、英国の地金商が、来月23日に行われる英国のEU離脱の是非を問う国民投票を前に、離脱賛成派と反対派向けの金貨を鋳造し、販売を開始したことが英国主要経済サイトのThis Is Moneyで「英国のEU離脱是非を問う国民投票のためにEU残留と離脱の金貨を鋳造」伝えられ、ブリオンボールトのリサーチ主任、エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

こ こで、エィドリアンは、「英国にとっては、BREXTの国民投票はリスクと見なされている。それは、こ の国民投票の議論が始まった年初以来、ポンド建て金価格が金融危機や英国で暴動が発生した2011年の際よりも速いペースの20%上昇している。これは、 結果がどうであれ、投資家はそれによるポンド安、株安、経済の損失を待ってはいないということだろう。」とコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今 週も英国では、EU離脱是非を問う国民投票へ向けての議論がトップストーリーとして日々伝えられていますが、本日は少し趣を変えて、今年90歳を迎えたエ リザベス女王を祝い、英国作家のA.A.ミルンの児童小説「クマのプーさん」の新しい物語が出版されたというニュースをお届けしましょう。

エリザベス女王は、今年4月21日で90歳となり、様々な行事が行われたことは、ここロンドン便りでもお伝えしましたが、「クマのプーさん」も1926年に始めて出版されて90周年とのこと。

先 日もお伝えしたように、英国ではエドワード7世(在位1901年~10年)が公式の誕生日を実際の11月から最も天候の良い5月か6月としたことから、歴 代の君主は実際の誕生日と公式の誕生日を持っています。そのため、エリザベス女王の公式の誕生日は6月の第2週の土曜日とされ、今年は11日となります。

そこで、この公式誕生日を前に、クマのプーさんの記念の物語が作られたとのことです。

この物語「クマのプーさんと女王の誕生日」では、クマのプーさんが、友人である少年クリストファー・ロビンと子豚のピグレット、ロバのイーヨーと共にバッキンガム宮殿を訪れるというものです。

そして、エリザベス女王にバッキンガム宮殿の外であったクマのプーさんが、誕生日の歌詞を朗読し、女王と共に登場するウィリアム王子の息子のジョージ王子へ赤い風船を渡すとのこと。

英国人に愛されてやまないクマのプーさんとエリザベス女王が物語で共演とは、お互いの90歳の誕生日を祝う素敵な演出ですね。

この物語は、ディズニーのサイトで無料でダウンロードすることができます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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