ニュースレター(5月21日)1205ドル 好調な米国建設関連指標でドルが上げ、金相場は押し下げられる
今週は、明日から私が日本へ出張となりますので、一日早くニュースレターをお届けします。また、来週のニュースレターは、日本から簡易版でお届けする予定です。なお、ロンドンには6月5日金曜日から戻ってまいりますので、その週のニュースレターは通常通りお届けする予定です。
それでは、5月30日にゴールドフェスティバルに参加される方々は、そこでお会いできるのを楽しみにしています。
週間市場ウォッチ
今週木曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1205ドルと、前週金曜日の同価格から1.3%下げています。
週明け月曜日、金相場は一時トロイオンスあたり1229ドルと3ヶ月ぶりの高値をつけた後、緩やかに押し下げられることとなりました。
これは、先週米国経済指標が不調であったことから上昇基調となった金相場の流れを受け継いで上げたものの、やはりこの水準では売りも進み、下げていたドルインデックスも戻したことから、金が押し下げられた模様です。
翌火曜日金相場は、ロンドン時間午後に発表された米国4月住宅着工件数と住宅建設許可数が、共に予想を上回る好調なもので、2007年後半以来の高い水準であったために、ドルが上げ、先週後半の上げを失うこととなりました。
また、同日金ETFの代表銘柄SPDRゴールドシェアの残高は10トン減少したことも明らかとなっています。
水曜日は、ロンドン時間夕方に発表されるFOMC議事録の発表を待つ中欧米株価が下げ、前日の反発で多少上げた後、FOMC議事録発表後に再び多少上げたものの、狭いレンジでの取引となりました。
FOMC議事録では、年内の利上げ可能性を維持したものの、6月の利上げの可能性は低いと判断される内容であり、多少ハト派的と捉えられた模様ですが、金相場への影響は最小限に留まったようです。
本日木曜日は、前日のFOMC議事録を市場が消化する中、欧米の株式市場が上げ、発表された米経済指標は経済活動の滞りを示すものであるものの、金相場は押し下げられることとなりました。
なお、明日はイエレンFRB議長が、英国時間18時(日本時間午前2時)から経済見通しについて講演することからも、市場は注目することとなります。
その他の市場のニュース
- 今週ロンドンでプラチナウィークが開催されたこと。
- ロシアの金準備が4月に10トン増加し、1247トンを超えたこと。
- 為替相場操作で、シティーグループやバークレイズ等の米欧の投資銀行が7000億円の罰金を科されたこと。
ブリオンボールトニュース
本日より、弊社の日本における媒介代理店のBullion Japan(ブリオンジャパン)が弊社サービスの提供を開始しました。そのため、日本での弊社窓口として、問い合わせ、日本からの送金の受付等を開始しました。そのプレスリリース「インターネットを通じて24時間取引が可能に世界初、円建ての個人向け金売買サービス『ブリオンボールド・サービス』」は、JB Pressなどのオンラインビジネスサイトで取り上げられています。
ところで、私は今週ロンドンで行われているプラチナウィークの中のイベントである、TOCOM Breakfast Receptionに水曜日に出席してきました。ここでは、TOCOMの昨今の取引状況の解説や、今月5月にローンチした、東京ゴールドスポット100の紹介もあり、順調に取引量を伸ばし、国外からの参加者も増加しているという説明がありました。
このレセプション会場は、ロンドンの金融街にある、その形がピクルスに似ているために、非公式には小さいきゅうりという意味の「ガーキン」と呼ばれる高層ビルの最上階で行われ、素晴らしいロンドンのパノラマの景色を楽しむことができました。その様子を撮影した写真を添付いたします。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国では、チャールズ皇太子のアイルランド訪問について、広く報道されています。
これは、英国王族として初めて、アイルランド共和軍(IRA)の政治組織であるシン・フェイン党の党首である、ジェリー・アダムズと面会をし、握手を交わしたことなどからです。
ご存知のようにアイルランド共和軍(IRA)は、現在は活動していないものの、北アイランドのカトリック過激派であり、北アイルランドの英国からの独立、そして全アイルランドを統一することを目指し、2005年に武装闘争の終結が宣言されるまでの40年の間、約35000人の犠牲者を出した北アイルランド独立闘争を行っていた武装組織です。
そして、チャールズ皇太子の大叔父である、マウント・バッテン卿は、1979年にこのIRAによって暗殺されています。
そのために、バッテン卿を敬愛していたチャールズ皇太子がシン・フェイン党の党首と公の場で握手をし、アダムズ党首の求めに応じて非公開の会談を行ったことは、アイルランド問題を考えた時に歴史に残る一つのステップであったと言えるでしょう。
その後水曜日には、チャールズ皇太子は、アイルランドのバッテン卿が暗殺された場も訪れました。
ここで、和解の重要性を説き、次のように述べています。
「最終的には、私達はその隣人との長き歴史を忘れるべきではありません。そして、私達がそれを知っていることで新たな関係に変え得ることができるのです。私達はその時、その困難な歴史の犠牲者では無くなるのです。」
これは、日本のアジアの隣人との関係の中でも言えることかもしれません。そして、最後にチャールズ皇太子のアイルランドでのスピーチの中のこの言葉も心に響きましたので、追記します。
「Healing is possible even heartaches continue.(心の痛みが続く中でも和解することは可能なのです。)」