金市場ニュース

ニュースレター(5月12日)1220.50ドル 不調な米経済指標でドル安が進み金相場上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1220.50ドルと、前週同価格から2.8%上げています。

週明け月曜日は、金相場は下落することとなりました。これは、ギリシャが翌日火曜日が支払期限であったIMFへの7億5000万ユーロの支払いを行ったことが伝えられたことがきっかけであったようです。

また、週末発表されたコメックス金先物・オプションのネットロングポジションが下げ、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が、昨年12月以来の大規模な1日あたりの減少となったことが明らかになったこと、欧米の国債利回りが上昇していることも、売却を進める要因となったようです。

翌火曜日は、ロンドン時間午前中にドルが弱含む中、トロイオンスあたり1200ドル近くまで上昇することとなりました。この要因は、大量の注文が入ったということ以外には見当たりませんでしたが、この間、ギリシャ政府はIMFへの支払いを終えたものの、ユーログループからの新たな金融支援の合意には至らなかったことから欧州債が売却され、世界的な債券安が進み国債利回りが上昇し、株価が下落することとなりました。

水曜日は、ロンドン昼過ぎに発表された米国小売売上高が0.0%と、予想0.2%と前回0.9%を下回ったことから、ドル安が進み、トロイオンスあたり1200ドルを越えて、1217ドルへと大きく上昇しました。

木曜日は、前日の上げ基調を受け継ぎ、更に上昇することとなりました。これは、同日発表された米国生産者物価指数が、前月比-0.4%、前年比-1.3%とマイナスになったために、FRBによる利上げが先延ばされる観測が広がり、200日移動平均線を上回ったことも、相場を押し上げることとなった模様です。

本日金曜日ロンドン午前中は、今週の上げの調整が入り、金相場は緩やかに下げていましたが、発表された米国鉱工業生産、ニューヨーク連銀製造業景気指数、ミシガン大消費者信頼感指数が、軒並み予想を下回ったことから、ドル安が進み、再び1220ドルを越え、LBMA金価格のPM価格は、過去13週間で最も高い水準となりました。

ちなみに、鉱工業生産は5ヶ月連続で下げ、ミシガン大消費者信頼感指数は過去6ヶ月で最も低い水準となっています。

その他の市場のニュース


  • 14日にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、量的緩和を予定通り続けると表明し、ドイツの債券利回りが下げ、2週間程続いたポジション調整主導の債券市場の売りが落ち着きを見せてきたこと。

ブリオンボールトニュース

投資サイトとして著名なモーニングスターで、金投資の方法が比較・解説され、ブリオンボールトが現物投資の一つとして取り上げられました。

金相場が3ヶ月来の水準へ上昇していることを解説する、米国経済サイトのMarketWatchの記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任、エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。


ここで、エィドリアンの、金相場がトロイオンスあたり35ドルを越えて上昇したことと、昨今の主要国債やその市場のボラティリティの高さは「どこかで何かが間違っていることを物語っている。しかし、それが一体何かなのは明白ではない。」というコメントを取り上げています。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週も英国では先週の総選挙の結果を受けて、保守党の組閣、辞任した野党党首の新たな党首候補等のニュースが、主要メディアではトップニュースで伝えられています。

ただ、このところは政治絡みのニュースが多かったので、少し趣を変えて、今週ノミネート者が発表された、英国の美術家に対して毎年贈らているターナー賞について、お届けしましょう。

ターナー賞は、英国国立美術館のテートが組織する賞で、毎年この時期に、イギリスの50歳以下の美術家の中から4人がノミネートされ、その作品は秋にテート美術館で展示され、通常12月初旬に受賞者が発表されます。

ターナー賞は、1984年に開始されましたが、一時中止された後に、ノミネート者の年齢制限なども設けられ、先進的な若い作家が受賞することとなり、注目を浴びることとなりました。特に2000年からは、コンセプチャル・アーティストなどの様々な媒体の作品が受賞しており、常に話題を呼んでいます。

過去に話題を大きく集めたターナー賞やノミネート作品としては、ダミアン・ハーストのホルマリン漬けのサメの作品、トレーシー・エミンのタバコや日用品が散乱しただらしない自分のベッドなどがあります。

今年のノミネート作品の中には、リバプールの低所得者層向け住宅の住む人がほとんどいなくなった荒れ果てた住宅地を、新たに人が住めるように改築を初めているプロジェクトも入っています。

1900年に建てられ、1981年にこの地で起きた暴動後に、人が住めないほどに荒廃した住宅の数々を、撤去して立て直す計画もあったようですが、少ないながらここで住んでいた人々のキャンペーン活動で、その地方自治体が、新たに人々が住め、集まる場所へと変えるプロジェクトを行うことを決定し、現在も30歳以下の16人の人々によってこのプロジェクトは進行中です。

その他のノミネート作品は、ボニー・カンプリンの絵画、ジャニス・カーベルのオペラのパフォーマンス、ニコル・ヴァーマースの彫刻となっていますが、それぞれが、ターナー賞らしい古くからの美術作品の枠を超えたものとなっています。

ターナー賞の受賞者が得る賞金は25,000ポンド(約450万円)と必ずしも高額では無いかもしれませんが、この賞の注目度は英国ではとても高いものがあり、今年のリバプールの住宅地受賞については、主要メディアがトップニュースの一つとして伝えていました。

美術作品の枠が広がる近年の傾向は、芸術の表現の幅が広がり素晴らしいと思いますが、この住宅地を作品としてどのように美術館で展示するのかは興味深いものがあります。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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