金市場ニュース

ニュースレター(4月29日)1285.65ドル 米国と日本の金融政策現状維持がドル安を進め、金が急騰

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1285.65ドルと、前週同価格から3.3%上昇しています。

週明け月曜日の金相場は、前週金曜日の反発もあり、ドルが弱含む中で、狭いレンジですが上昇することとなりました。

翌火曜日金相場は、翌日のFOMCを待つ中、ドルがロンドン昼過ぎに弱含み、上昇たものの、狭いレンジでの取引となりました。なお、この金の上げは、同日発表され た米国耐久財受注は、2ヶ月ぶりのプラス数値であったものの、予想1.8%を下回る0.8%となり、前回の-2.8%は、-3.1%へと下方修正されたこと等が要因であった模様です。

水曜日は市場注目のFOMC後の発表が行われ、予想通りFF金利誘導目標は0.25%~0.5%と据え置かれました。発表された声明文では、国外情勢が見通しに与えるリスクの言及を声明から削除し、FOMCの投票メンバー10人のうち9人が利上げ見送りに賛成したことが明らかになりました。なお、今回1人利上げを主張したカンザスシティー連銀のジョージ総裁は3月にも利上げを主張していました。

金相場は発表後トロイオンスあたり10ドル上下する神経質な動きをしたものの、大きな動きとはなりませんでした。

木曜日の市場注目の日銀政策金利発表では、金融政策が現状維持されたことから、円が強含みドル安となり、金相場が上昇することとなりました。これは、前夜のFOMCも現状維持となり、日銀の更なる緩和への市場の期待もあったことから、大きく反応した模様です。

また、その後発表された米国第1四半期GDPが、マイナスとなった14年第1四半期以来の低い伸び率となったことから、金相場は更に上昇することとなりました。

本日金曜日は、前日の上昇基調を受け継ぎ、ドル安が進む中更に大きく上昇しています。また、銀相場は過去13ヶ月で最高の水準へと上げています。

その他の市場ニュース

  • 英貴金属調査会社GFMSトムソン・ロイターの最新のレポートによると、第1四半期の金現物の需要は、中国とインドの宝飾品需要が下げたために、24%減であったことが明らかになったこと。

ブリオンボールトニュース

ワシントン・ポストの「FEDの金利政策発表前に、ドルが下げ、金が3日連続上昇」の記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここでエィドリアンは、「FEDの発表までに多くのポジションが動いているようだが、金利の引き上げが行われるとは誰も考えていない。しかし、どのような ことが話し合われたのかを知ることには興味を持っている。そのため、この決定を皆が注目している。」とコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、二人の著名野党労働党党員が、反ユダヤ主義的コメントで、ジェレミー・コービン労働党首によって党員資格が停止されたことが大きく伝えられています。

まず最初に、ブラッドフォード西区のNaz Shah(ナズ・シャー)労働党議員が、議員となる前にフェイスブックに「イスラエル(の人々)をアメリカ合衆国へ動かすべき」というコメントを投稿したことが明らかになり、Shah議員は反ユダヤ主義的コメントであると認めた上で「反ユダヤ主義は人種差別である。議員としてイスラム人、ユダヤ人やあらゆる人々との関係を築くために最大の努力をする」と謝罪したものの、コービン党首によって今週水曜日に党員資格を停止されました。

そして、昨日は元ロンドン市長のケン・リビングストン氏が、BBCラジオのインタビューでShah議員を擁護し、「イスラエルの国やパレスチナ人への虐待への批判はあっても、(労働党内で)反ユダヤ主義的コメントは聞いたことがない。」と述べた上で、「ヒットラーは、1932年に大統領選で勝利した際は、ユダヤ人はイスラエルへ帰還すべきというシオニズムをサポートしていた。これは、彼が気を違え、6百万人のユダヤ人を殺害する前のことだが。」と続けたことから、与党保守党はもとより労働党内でも批判が高まりました。

そのために、ジェレミー・コービン労働党首は、古くからの盟友のケン・リビングストン氏の党員資格を昨日停止したのでした。

ジェレミー・コービン党首自身は、パレスティナ連帯キャンペーンに長年関わっていることからも、反ユダヤ主義のコメントへの対応が後手後手に回ったと批判を受けています。

ロンドン市長選挙と英国統一地方選挙を5月5日に控え、今回のニュースは労働党にとっては痛手となることでしょう。またこのニュースは、労働党や英国社会の中の、長い歴史の中で姿を見せる反ユダヤ主義の深さを感じさせるものとなりました。

お知らせ

昨年は私もパネリストとして参加させていただいた、ゴールドフェスティバルが、今年は7月2日によみうり大手町ホールで開催されます。

その申し込み受付が先週から開始されました。いつも、申込受付から数週間で定員となる人気のイベントです。よろしければ、下記のリンクで早めにお申し込みください。

http://goldfes.jp/

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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