金市場ニュース

ニュースレター(4月14日)1183ドル 良好な経済指標とギリシャ懸念の後退から米株価が最高値を付け、年初からの上げ幅を失う

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1183ドルと、前週同価格から1.7%下げています。

週明け月曜日は、週末に中国が預金準備率を通常の0.5%ではなく、1.0%引き上げたことが好感され、アジア時間に上げで始まりました。しかし、株式市場が上げる中、ロンドン時間午前中には押し戻されることとなり、トロイオンス1200ドルを割って下げ幅を広げることとなりました。

また、ギリシャ情勢において、コンスタンシオECB副総裁の「ギリシャのユーロ離脱はない」というコメントが伝えられる中、懸念が多少退いたことも下げを進めた要因であったようです。

翌火曜日は、前日にギリシャ政府が地方政府の資金を中央銀行へ移すことを命じたことから、ギリシャの財政への懸念が高まり、ロンドン午前中に金相場は上げたものの、1200ドルを超えたところで押し戻され、結果的には1200ドルで終える比較的狭いレンジでの取引となりました。

水曜日は、24 日のユーロ圏財務相会合でEUからの新たな支援を得るための条件とされる新たな年金制度や労働市場の改革をギリシャが提出しないことが伝えられる中、ギリ シャ情勢への懸念から欧州株価が下げ、金相場も下落することとなりました。また、同日発表の米中古住宅販売件数が予想を上回り、過去18ヶ月で最高水準であったことも、金相場を押し下げる要因となりました。

なお、同日3時のLBMA金価格はトロイオンスあたり1189.25ドル と、4月1日以来の最低水準となりました。なお、このオークション時には大きな売り注文が出て短時間に10ドル下げています。

木曜日は、同日発表された経済指標が軒並み予想を下回るものであったために、ロンドン時間午後緩やかに上昇を続けることとなりました。

この経済指標とは、中国、ユーロ圏、米国のPMIと、米国新規失業保険申請件数、そして、米国新築住宅販売件数でした。前日発表の米中古住宅販売件数が予想を上回 ったことからも、新築住宅販売件数が予想を下回り、前月比-11.4%となったことに市場が反応した模様です。

本日金曜日は、前日ナスダック総合指数が終値ベースで15年ぶりに最高値を更新した流れを受けて上昇する中、同日発表された米国耐久財受注が、予想の0.6%を大きく4.0%であったために、前日の上げ幅を失い更に下落しています。

本日ラトビアで行われているギリシャユーロ圏財務相会合は、支援の条件であるギリシャの財政改革を巡って溝が埋まらず、合意に至らなったために、5月11日のユーロ圏財務相会合に決着がずれ込む見通しと伝えられています。

なお、来週は28日と29日にFOMCが行われ、市場が注目することとなります。

その他の市場ニュース


  • 日経が終値で2万円を回復したこと。

  • インドの金輸入が規制緩和などからも、今月は前年比89%増の100トンを超える勢いであることが伝えられたこと。

  • ブルームバーグが、貿易統計や国内生産や中国黄金教会の統計を基に、中国人民銀行が金準備を積み上げ、前回発表の2009年4月以降に3倍の3510トンへと増えている可能性があるというう観測が広がっていると伝えたこと。

ブリオンボールトニュース

主要米経済サイトのMarketWatchの「Gold futures rebound from April low (金先物が4月の低値から戻す)」の記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここでは、エィドリアンの「ブリオンボールトの投資家、特に欧州からの力強い買いが入っています。」というコメントが紹介され、ブリオンボールトの顧客が過去3ヶ月にネットで790キロの金を購入し、この購入量は2012年12月から2013年2月の3ヶ月以来の大規模なものであり、現在過去最大の33.5 キロの顧客の金地金を弊社で保管しているということも取り上げられています。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

 

今週英国では、2010年5月に株価が一時的に急降下した「フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)」を引き起こしたとして逮捕された、英国人トレーダーのナビンダー・サラオ容疑者のことが、広く主要メディア伝えられています。

この逮捕は、米当局の要請に基づいたもので、司法省によると、ナビンダー・サラオ容疑者は、先物取引で自動プログラムを使い、大量に見せかけの売注文を出 すことで価格の下落を誘うなど、数年に渡り相場を操縦していた疑いがあるとのこと。これによって得た利益は、約4000万ドル(約48億円)に達するとも 報道されています。

フラッシュクラッシュが起きた10年5月6日には、ダウ工業株30種平均が一時1000ドル以上下落し、1兆ドル近くの市場資産が失われたとされていま す。この際、サラオ容疑者は約2億ドル相当の売り圧力を与えて、この暴落の一因となったとされています。

この件についてエコノミスト誌では、サラオ容疑者が「フラッシュ・クラッシュ」の一因である可能性はあるかもしれな いが、なぜ彼がこの市場の一日の取引量の5分の1となる約2億ドル相当の売り注文を出すことが許されたのだろうかと問いかけ、金融規制当局にも責任があっ たのではないかともコメントしています。

今回の事件は、昨年話題となった、ベストセラー作家のマイケル・ルイス氏の「フラッシュ・ボーイズ(10億分の1秒の男たち)」でも取り上げられた、High-frequency trading (HFT:超高速取引)が絡んでいますが、このような金融の取引に関わる人々は投資銀行で働き、高収入を得て、豪邸に住んでいる人々というイメージがあります。

しかし、今回英国の多くのメディアがスポットライトを当てているのは、サラオ容疑者がロンドンの必ずしも富裕層が住む地域ではないHounslowの、一 見ぱっとしないセミデタッチハウスに両親と住みながら先の取引を行い、一般の人には想像もできない利益を得ていたとされている点です。

実際に米国司法省の要求通りに米国に引き渡された場合、22の罪状で訴えられており、それぞれの罪状に10年から25年、そして100万ドル(約1億円)の罰金が課される可能性があるとのこと。

サラオ容疑者は、米国への引き渡しには同意しないと伝えられていますが、この事件の結果には、HFTに関する規制も絡み、多くの人々が注目することになるでしょう。


お知らせ

先月よりご紹介をしてきました、5月30日に行われる毎年恒例の金投資に関する様々な情報が提供される「ゴールドフェスティバ ル2015」が、今週定員一杯となったとのことです。

当日私は、先日よりお知らせしているように、「トークセッション:世界の金、その現実を現地の方に直接聞きます。5ヵ国比較: 日本の金、世界のゴールド」に英国市場を代表し、パネリストとして登壇します。そこで、既にお申し込みをされて当日参加される場合は、是非会場でお声をお 掛けください。当日お会いできるのを楽しみにしています。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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