ニュースレター(4月1日)1213ドル イエレンFRB議長のハト派的コメントで上げ、良好な米雇用統計で下げる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1213ドルと、前週木曜日同価格から0.6%下げています。
今週月曜日は、イースターマンデーで欧米諸国が祝日の中、狭いレンジでの取引となりました。
イースター休暇明けの火曜日は、イエレンFRB議長がニューヨークで講演を行い、その内容がハト派的と解釈されたことから、即座にトロイオンスあたり10ドルほど上げ、その後も上げ幅を広げることとなりました。
水曜日には、市場注目の、金曜日発表の米雇用統計の先行指標であるADP全国雇用者数が発表され、結果は20万人と予想の19.4万人を上回りましたが、前回数値は21.4万人から20.5万人に下方修正されました。この発表直後に市場は大きな動きを見せませんでしたが、その後緩やかに下げることとなりました。
木曜日金相場は、大きなニュースのない中、翌日の雇用統計待ちで、前日の下げを戻しながらも、レンジ内での取引となりました。
本日金曜日は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が21.5万人と予想20.5万人を上回り、失業率は5.0%と前回と予想の4.9%を上回りました。このデータが発表後下落を始めた金相場ですが、その後発表されたISM製造業景況指数とロイター・ミシガン大学消費者信頼感指数も予想を上回ったことから、更に下げ幅を広げています。
その他の市場のニュース
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英国の貴金属リサーチ会社、トムソン・ロイターGFMS社とメタルフォーカスが2015年の金の需給レポートを発表。トムソン・ロイターGFMS社のレポートの概要は、「GFMS:最新2015年金需給レポート」でご覧いただけます。
ブリオンボールトニュース
今週は下記の主要メディアで弊社関連の記事が掲載されています。
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東洋経済オンライン「ポートフォリオに金という選択肢を」
この記事では、ファイナンシャルプラナーとして著名な伊藤亮太氏と、ブリオンジャパンのCEO平井政光氏が、対談形式で、日本では初めて24時間365日 利用可能な、小口から低い手数料で利用できるブリオンボールトサービスについて紹介し、世界の経済情勢が不安定な現在、リスクヘッジの目的からも、ポート フォリオに金を含む利点について解説しています。
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英国主要経済紙CityAM「マイナス金利が、2016年のゴールドラッシュを引き起こすのか?ドイツの金購入者が金価格を押し上げられるか?」
ここでは、世界の主要中央銀行が何らかのマイナス金利政策を導入し、年初から金価格が上昇していることに触れ、ドイツの年間平均金需要が、金融危機以前の15トンから金融危機後100トンと急増していることを紹介しています。
そして、「金は買い時であるのか」という問いかけに、エィドリアンの「金は他の資産が悪い時に良いパフォーマンスを見せる。そして、人々の中央銀行への信頼が揺らいだ際に、更に良いパフォーマンスを見せる」というコメントを取り上げています。
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英国主要日刊紙テレグラフ「100キロ金貨の販売が開始される」
この金貨は、380万ポンド(6億1290万円相当)で販売されるとのことですが、その輸送費が17,400ポンド(280万円相当)とのことです。そし て、この金貨の実際の金の価値は270万ポンド(4億3548万円相当)と40%のプレミアムが乗っていることも紹介されています。
ここで、エィドリアンは、「戦争や自然災害や社会崩壊のような危機時には金を持ち歩いていても、意味をなさないケースが多い。このような場合は、安全な地域へまず逃れる必要があり、このような場所に既に資産が移されていれば理想だろう。」と述べ、ブリオンボールトの顧客の75%がスイスに金を保管している ことが紹介されています。
.今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国では、インド鉄鋼大手のタタ・スチール社が英国子会社の完全売却を含めたリストラを検討していると発表したことから、その関連のニュースが広く伝えられています。
タタ・スチール社は、約10年前120億ドル(約1兆3518億円)で同業の英国コーラス社を買収しました。しかし、世界的な供給過剰や製造コスト高、国内需要の弱さやポンドの変動などの問題から、英国子会社は日々百万ポンド(約1億6千万円)の損失を出していることからも、現状のままで運営し続けることは不可能という結論に至ったようです。
既にタタ・スチール社は、英国子会社の1200人の人員整理と、イングランド北東部のレッドカー工場の閉鎖を昨年行い、今年1月にも1050人の追加削減をしていました。しかし、英国最大の製鉄所のウェールズのポート・タルボット製鉄所には未だ4000人の従業員が働いており、英国全体では15000人の従業員と、その関連の産業が関わってくることから、それぞれの地域にとっても大きな痛手となることは避けられず、労働組合やその地域の国会議員等が政府に公的支援などの要請をするなど奔走しています。
本日の段階で、キャメロン首相は英国政府は鉄鋼業界で働く人々を守るために出来る限りのことをすると述べていますが、その努力が「成功する保証はない」と、警告とも言えるコメントを発しています。
また、このような重要な時期にオーストラリアを、娘を連れて公式訪問をしていたことを野党などに攻められていたビジネス・
国の基幹産業とも言える鉄鋼業界の弱体化や、地域の主要産業を失うことによる地域の衰退などの可能性に危機感を感じながらも、ロスメーキングの企業を税金で救うことはできない英国政府の、遅すぎるとも見えるこれからの出方に注目をしたいと思います。