金市場ニュース

ニュースレター(2023年1月6日)良好な米雇用統計を経て金は週間の上昇へ

 新年明けましておめでとうございます。

さて、私は現在日本に入っていますので、簡易的なニュースレターの配信となることをご了承ください。

週間市場ウォッチ

今週金曜日午前10時半の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1835ドルと、前週金曜日のLBMA価格のAM価格(午前10時半)からほぼ1.2%高と週間の上昇となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から2.15%安のトロイオンスあたり23.43ドルと週間の下落となっています。プラチナは本日午前10時半の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのAM価格から0.94%安のトロイオンスあたり1055ドルと週間の下落となっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムAM価格と比較して、本日午前10時半の弊社チャート上での価格は2.0%安のトロイオンスあたり1752ドルと週間の下落となっています。

2022年の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週金相場は、週初めには主要経済指標の悪化からもリセッションによる主要中央銀行の金融政策が引き締めから緩和へと2023年に転換する観測や、中国のコロナ規制緩和による貴金属需要増加などからも上昇で始まっていました。

しかし、水曜日のFOMC議事録のタカ派的内容と米ADP全国雇用者数と新規失業者数が良好であったことで、先の観測が一気に後退し、上げ幅を削っていました。

本日は市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数と失業率は雇用の強さを示したものの、平均時給が予想を下回りピークアウトした観測からも貴金属は全般上昇に転じています。

ちなみに、近い将来のリセッションを意味する、米長短金利の逆転(逆イールド)が今週0.7%とほぼ3週ぶりの大きさとなっています。これも、FRB金融引き締めから緩和へ転換する観測の背景になっていることからも、そのチャートをお届けしましょう。

米2年ものと10年もの国債の利回りの差 出典元 セントルイス連銀

この金利差は1980年来の大きさであることが分かります。また、チャート上の灰色の部分はリセッションが起きた期間で、金利差が逆転した後に起きていることもまた見ることができます。

今週の金相場の動きと背景について

今週火曜日金相場は、欧米はお正月休みを終えた初日にトロイオンスあたり1849ドルへと6ヶ月ぶりの高さへ上昇後、1838ドルへと上げ幅を多少失って終えていました。

当初の上昇は、前年末の基調を受け継いだもので、中国のコロナ規制緩和による需要期待もありましたが、今後の主要国のリセッションへの懸念、それによる株価の下げ、今年の政策金利のピークアウトとドルの下げ期待などがあった模様です。

しかし、同日円高によるドルインデックスの下げはロンドン午後に上昇へ転換し、利益確定もあり上げ幅を失っていました。

火曜日金相場は、ロンドン時間夕方発表のFOMC議事録の発表を待つ中で、ドルインデックスと長期金利が下げ、一時トロイオンスあたり1865ドルと6月半ば以来の高さをつけた後に、FOMC議事録発表後に上げ幅を多少失って1855ドルで終えていました。

ドルインデックスが弱含んでいたのは、同日発表されたユーロ圏の消費者物価指数が予想を下回り、前日のドイツの消費者物価指数も予想を下回ったことからも、インフレピーク観測と利上げ減速観測の広がりなどでユーロが強含んだことで相対的にドルが下げていました。

その後発表されたFOMCは「2023年中の利下げを想定する参加者は一人もいなかった」などとタカ派的内容となっていました。

木曜日金相場は、ドルと長期金利が若干上昇する中で、ロンドン時間午前中にトロイオンスあたり1845ドルまで前日終値から下げて推移していました。

その後発表された米雇用統計の先行指標とも見られているADP全国雇用者数が予想の15万人を上回る23.5万人であったこと、そして新規失業保険申請件数もまた予想を下回る良好なものであったことから、FRBのさらなる利上げと長期的な利上げ観測が広がり、1834ドルまで下げて終えていました。

本日金曜日金相場は、市場注目の米雇用統計の発表を受けて、トロイオンスあたり1849ドルへと上昇して推移しています。

米雇用統計は、非農業部門雇用者変化数が22.3万人と予想の20万人を上回り、失業率は3.5%と予想と前回の3.7%を下回っていました。しかし、平均時給は、前月比0.3%と予想の0.4%を下回り、前年同月比で4.6%と予想の5.0%も下回っていました。

そこで、賃金インフレのピークアウトの観測から、FRBの金融引締が緩和へ転換する期待が広がっている模様です。

一週間のドル建て金相場のチャート 出典元 ブリオンボールト

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、前週火曜日12月27日に、中国がコロナ規制を緩和させるというニュースもあり、ドルと長期金利が下げる中で、全ての貴金属でネットロングポジションを増加させていたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、15%増の209トンと4週連続で増加して6月初旬の高さとなっていたこと。しかし、ロングは若干減少していたことからも、ショートカバーであったこと。建玉は前週から4.5%減。

  • コメックス銀の先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、前週比0.6%増の4695トンと3週連続で4月19日以来の高さ。しかし、銀もロングは減少していたことから、ショートカバー。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、ネットロングで3.7%増の28.3トン。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットショートであったものの、23%減で4.4トン。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で0.9トン(0.09%)減で917トンと、4週間ぶりに週間の減少の傾向。2022年は年間で57.2トン減(5.9%)で919トンと年間で減少傾向。2021年は年間で195トン(17.8%)減。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で1.35トン(0.3%)増で450トンと、18週ぶりに週間の増加傾向。2022年は2021年は36トン(7%)減。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに週間で46トン(0.32%)減で14,494トンで、6週連続の週間の減少傾向。2022年通年で1937トン(12.2%)減で14,574トン。2021年は年間で867トン(4.2%)減。

  • 金銀比価は、今週76を割る水準で始まったものの、今日は78を超える金割安傾向。2022年平均は83.39と前年の71.83からは増加していたこと。5年平均は82.24。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金と差であるプラチナディスカウントは、752ドルと777ドルの間で推移。2022年平均は839.64。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるプラチナディスカウントは、今週水曜日に656ドルと2019年9月以来の低さであったものの、本日は723ドルと上昇。2022年の平均は1153ドル。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。2021年の平均は1305ドル。5年平均は918.27。

  • 上海黄金交易所(SGE)のロンドン金価格との差は、今週人民元建て価格が昨年3月以来の高さへ上昇したことからも14.71ドルと前週の15.34ドルを下回る。2022年の平均は11.03ドルと、前年の4.94ドルを大きく上回る。(ロンドン価格と上海価格の差:プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週から金は72%増、銀は72%増、プラチナが10%減、パラジウムは18%増と金と銀に関しては、それぞれ11月半ばと12月初旬以来の高さへ増加して年末モードから抜け出していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週はFOMC議事録、米ADP全国雇用者数、米雇用統計と重要指標が続き市場が動きましたが、来週も米消費者物価指数が木曜日に発表されて市場は注目することとなります。

その他、木曜日の新規失業保険申請件数、金曜日のミシガン大学消費者態度指数などが重要となります。

詳細は主要経済指標(2023年1月9日~13日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週は日本に入っていますので、お休みさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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