金市場ニュース

ニュースレター(2021年9月3日)米雇用統計の悪化で金は一月ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1825.6ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.51%高と4週連続で上昇して1月ぶりの高さとなっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり24.06ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.91%高と2週連続の上昇でほぼ1月ぶりの高さとなっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では1009ドルと1.83%高で2週連続の上昇となっています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週金、銀、プラチナは本日の米雇用統計を待つ中で狭いレンジでの取引となっていましたが、発表された非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回る6ヶ月ぶりの低い数値となったことで、ドルが下げる中で全ての貴金属価格は大きく上昇をすることとなりました。

そのために、前月の非農業部門雇用者数が予想を大きく上回ったことで、米中銀FRBの早期の金融緩和縮小と利上げ観測が広がり急落した際の下げ幅を金と銀は取り戻し、ロンドン夕方の価格では前週終値比金は0.7%高、銀はほぼ3%高と上昇しています。それに対し、プラチナは前回雇用統計後の下げ幅は取り戻して上昇していたことから2週ぶりの高さであるものの2%弱の大幅な上昇となっています。

ちなみに、本日金相場は日本円建てでもgあたり6,447円と7月30日以来の高さとなっています。ご参考までに過去5年間の日本円建て金価格チャートを下記に添付します。日本円建てでは、昨年8月6日に7,039円の最高値を付けて、今年5月に今年最高値の6,774円を付け、本日は8月初旬の低値5,983円から7.8%上昇していることになります。

過去5年間の日本円建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト

日々の金相場の動きと背景について

月曜日英国は祝日で薄商いの中で、金相場は利益確定の売りもあり、前週の上げ幅を多少削って1810ドルで終えていました。

火曜日金相場はロンドン昼過ぎに長期金利が上昇する中で、トロイオンスあたり1802ドルまで一時下げた後に、長期金利が下げに転じたことで下げ幅を削って1814ドルで終えていました。

同日の動きは、欧州中銀のメンバーのRobert Holzmann氏が早期の金融緩和縮小をすべきと述べたことで、ユーロが対主要通貨で強含み、相対的にドルが弱含み、米長期金利も下げることとなりました。

また、同日発表されたユーロ圏の消費者物価指数が10年ぶりの高い水準であったことも、欧州中銀の利上げ観測を高めることとなりました。

水曜日金相場は、ドルが多少ながら弱含む中で、トロイオンスあたり1820ドルへ上昇し、その後1813ドルで終えていました。

同日は金曜日に発表される米雇用統計の先行指標とされているADP全国雇用者数が発表されて、予想の61.3万人を下回る37.4万人であったことから、来月発表されて数ヶ月で開始されると予想されている量的緩和縮小の時期が先延ばされる観測を広げ、ドルが弱含んだことに金は反応することとなりました。

木曜日金相場は翌日発表の米雇用統計を待つ中で、狭いレンジでの取引ながら、前日比緩やかに下げてロンドン時間トロイオンスあたり1809ドルで終えていました。

同日は米新規失業保険申請件数が発表されて、前週から1万4千件減少の34万件であったことで、前日のADP全国雇用者数が予想を下回った事による金曜日の雇用統計悪化、そして経済回復遅延懸念が後退したことからでした。

金曜日金相場は、ロンドン時間昼過ぎに発表される米雇用統計を待つ中で狭い幅での取引となっていましたが、発表後予想を大幅に下回る非農業部門雇用者数でドルが下げて金はトロイオンスあたり1829ドルと一月ぶりの高さへ20ドルほど一時上昇するなど、大きく反応することとなりました。

この雇用統計は非農業部門雇用者数が23.5万人と予想の75万人と前回の94.3万人(修正値105.3万人)のを大きく下回り6ヶ月ぶりの低さで、失業率は5.2%と予想と同水準、前回5.4%を下回っていました。

しかし、平均時給は前年同月比4.3%、前月比0.6%と、それぞれ予想の4.0%と0.4%を上回り、米長期金利は1.3%を超えて上昇していることからも、直近のレジスタンスの1830ドルを超えることができず、金の頭を押えているようです。

ドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト

その他の市場のニュ―ス

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週24日価格が8月初旬の急落の調整もあり上昇する中で金と銀で増加し、プラチナはネットショートを減少させていたこと。
  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、24%増の294トンと増加し、前々週の52%減少後2週連続で増加していたこと。また、建玉は2週連続で増加し4週ぶりの高さに増加していたこと。
  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比4.3%増の1583トンと2週ぶりの増加となっていたこと。
  • コメックスのプラチナ先物・オプションのポジションは、4週連続でネットショートであったものの30%減の5.8トンとなっていたこと。
  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比66%減で2.9トンと6週中5週減少していたこと。
  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で3.2トン(0.32%)減少し998.5トンと、2020年4月9日以来の低さで、週間では5週連続の減少傾向となっていること。
  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、2週ぶりに昨日減少し、週間で0.1トン(0.02%)減で495.6トンと、週間での下げとなっていること。
  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で125トン(0.74%)増で17,104トンと2週ぶりの週間の上げの傾向となっていること。
  • 金銀比価は、今週75台でほぼ安定して推移していたこと。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消:過去5年の平均は80、過去10年は72。)
  • 上海黄金交易所(SGE)の価格はロンドン価格に対し、プレミアム(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)ではあるものの、週間平均は2.46ドルと前週の3.83ドルから下げていたこと。
  • コメックスの金、銀、プラチナの先物の取引量は、今週米雇用統計を前に価格が狭い幅での動きであったことから、金、銀、プラチナ全てで前週を15%、45%、0.4%下回って低い取引量となっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は本日の雇用統計待ちの市場で、来週月曜日が米国のレイバー・デーの祝日でポジション整理も進んでいましたが、木曜日にECBが政策金利を発表し重要イベントとなり、引き続き主要中央銀行の金融政策に影響を与える指標へ市場は注目することとなります。

それは、水曜日の米地区連銀経済報告、木曜日の中国の消費者物価及び生産物価指数、米新規失業保険申請件数、金曜日の米国卸売物価指数等となります。

詳細は主要経済指標(2021年9月6日~10日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では引き続きアフガニスタン関連ニュースが大きく伝えられていますが、本日は英国のワクチンアドバイザリー機関(The Joint committee on Vaccination and Immunisation:JCVI)が、健康な12歳から15歳の子供達へのワクチン接種を奨励しないとしたことがトップニュースで伝えられているのでご紹介しましょう。

英国におけるこの年齢層の子供達の300万人中でも、強度の神経障害、免疫不全疾患、ダウン症、そしてが先のような障害や疾患を持つ大人と同居している15万人の子供達は、すでにワクチン接種が認められてます。

それに加えて、その他のCovid-19感染が致命的となる疾患を持つ20万人の子供達もワクチン接種ができることとなっています。

今回JVCIが健康な子供達へのワクチン接種を奨励しなかったのは、ファイザー社とビオンテック社とモデルナ社のワクチンで極めて稀ながら副反応で心筋炎等の心臓の炎症を発症するケースがあるためとのこと。

そして、この年齢の子供達がCovid-19で重症化することも稀であることから、JCVIはこれらのリスクとのバランスを考慮して、ワクチン接種を健康の観点からは奨励しないとのことです。

しかしながら、子供達がCovid-19感染で学校を休む、またそのために休校しなければならないなどの学業への影響、そしてこの年齢層が感染源となって感染を広める可能性も考慮すべきとして、政府の方針としてはワクチン接種を奨励する可能性はあるようです。

英国では本日も4万人を超える感染者数を出し、死亡者も121人と高止まりをしています。昨日は、何らかの疾患を持っている人々への3回目のワクチン接種の可能性についても伝えられており、英国はほぼコロナ関連規制は解かれていますが、まだしばらくは新型コロナウィルス、そしてワクチン接種と共に生きる生活が続くことになるようです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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