金市場ニュース

ニュースレター(2019年2月15日)米中貿易協議継続、米政府機関閉鎖回避の中で金は堅調

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1316.89ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.2%上げています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.70ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.5%下げています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上で793.08ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.7%下げています。

今週は、市場注目の北京の米中貿易協議と米政府機関閉鎖回避のための米議会での予算案合意については、貿易協議は進展がある中で来週継続となり、予算案ヘはトランプ大統領が署名しクリアしたものの、米中の経済指標の悪化から世界経済の停滞の懸念もあり、金相場は堅調に推移することとなりました。それでは、今週の市場の動きを一日毎に追ってみましょう。

月曜日金相場はドルインデックスが6営業日連続で数週間ぶりの高さへ上昇する中で、トロイオンスあたり1306ドルまで一時下げるなど、1307ドルの終値では0.7%下げていました。

また、同日発表された英国の第4四半期のGDPが予想を下回ったことでポンドが下げる中で、ポンド建て金相場も0.6%下げ、先週末も「黄色ベスト運動」が13週連続でフランスで行われる中で、ユーロ建て金相場も先週約22か月ぶりの高値を付けた終値から0.6%下げていました。

火曜日金相場は、ドルインデックスが前日の今年一番の高さからは下げていたものの、引き続き97を若干下回る高さを維持する中、トロイオンスあたり1314ドルまで一時上昇後に1309ドルで終えていました。

このドル高は、米与野党が米連邦政府の新たな予算案で前夜基本合意したことで政府機関の閉鎖回避観測が高まっていること、また米中貿易協議が前進しているという見方も広がっていることからでした。

水曜日金相場はドルインデックスが引き続き高止まりする中、一時トロイオンスあたり1317ドルまで上昇したものの、前日同様に1307ルで終えていました。

同日の上げは、発表された米消費者物価指数がインフレが鎮静化していることを示したことで、FRBの利上げがないという観測が広がったことからのようですが、その後の下げは米政府機関の再閉鎖回避と米中貿易協議の交渉の進展への観測が強まったことからでした。

特にニューヨーク時間午後に米中貿易協議で中国を訪れているライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官が習近平主席と会談予定と伝えられたことが株価を上げ金を押し下げた要因と伝えられていました。

また、米政府閉鎖回避観測の広まりについては、ウォールストリートジャーナル紙が同日トランプ大統領が米与野党が基本合意した予算案に署名する見通しとと報じたことと伝えられ、先の流れを進めることとなりました。

そして、また、同日発表の英国消費者物価指数は予想を下回り、ユーロ圏鉱工業生産もまた金融危機以来のペースで下げていたことからも、これらの通貨が下げることでドル高を相対的に支えることともなりました。

木曜日金相場は、ドルインデックスがやはり97を超えて高止まりする中で、トロイオンスあたり1303ドルまで一時下げたものの、米国の政府一部閉鎖で遅れていた同日発表の12月の小売売上高が9年ぶりの低いものとなっていたことから、トロイオンスあたり1314ドルへと戻し1312ドルで終えていました。

先のデータが発表された後に株価も下げていましたが、その後このデータが全てのオンラインセールのデータなどを含んでいない必ずしも正確なものではない可能性も指摘されたようで、株価が戻す中で金はその上げ幅を多少失うこととなりました。

本日金曜日金相場は、ドルインデックスが下げる気配を示さない中でもトロイオンスあたり1319ドルまで上昇した後、ロンドン夕方に1317ドル前後を推移しています。

上昇の要因は本日発表の中国の消費者物価指数と生産者価格インデックスが前年比共に予想を下回っていたことから、中国や世界経済の低迷観測が広がったことが要因の模様です。

しかし、本日までの北京での米中貿易協議が来週もワシントンで継続する方針と伝わったことで、楽観的な見方が広がり米国株が上昇するなどリスクオンとなり、金は上げ幅を削ることとなったようです。

なお、トランプ大統領は昨夜政府機関一部閉鎖を回避すべく、共和党と民主党が互いに譲歩し合意した予算案に署名しましたが、議会の承認を経ずにメキシコとの国境の壁を建設するために、「非常事態」を宣言する方針を決めたと伝えられ、すでに民主党の上下両院のトップが非難しています。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は2月に入り10営業日8営業日減少し、796トンと先月の2017年9月以来の月間の増加量であった36.2トン中4分の3の27トンを失っていたこと。

  • スペインの中道左派のサンチェス政権の2019年予算案が水曜日下院で否決されて、4月28日に総選挙が行われることが本日発表されたこと。

  • イタリアの与党「同盟」の有力議員が、同国は欧州連合(EU)を離脱するべきだと再び主張したこと。

  • 日本円建て金相場が、ドル高円安が6週間ぶりの安値まで進んだこともあり、水曜日昨年1月末以来の高値のグラムあたり4694円まで一時付けたこと。

  • イタリアのポピュリスト政権が財政赤字穴埋めに中央銀行が保有する世界第4位規模の金準備の一部を活用することを検討してるとブルームバーグが取り上げたこと。

  • 中国の人民銀行が12月の10トン未満に続き、先月も11.8トン金準備を増加させて1864トンとしていたこと。昨年12月に金準備を増加させたのは2016年10月以来。

  • 英国のEU離脱関係では、火曜日メイ首相がEUから譲歩を引き出せていないことから、更なる交渉のために26日まで必要とし、今週13日に予定されていた議会採決を27日に伸ばすことを議会に要請したこと。

  • 月曜日に米中貿易協議が始まる中で、米海軍の駆逐戦2隻が南シナ海を航行したことに対し、中国が非難したこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週も引き続き昨夜非常事態宣言を出した米国のメキシコ国境の壁を巡る動き、そして本日終了した米中貿易協議後の3月1日の協議期限を60日間延長するかなどに市場は注目することとなります。

また先以外の主要経済指標では、水曜日のFOMC議事要旨が重要指標となりますが、その他火曜日の英国の失業保険申請件数と失業率、ドイツとユーロ圏のZEW景況感調査、水曜日のユーロ圏消費者信頼感、木曜日のドイツの消費者物価指数、ドイツとユーロ圏と米国のPMI、米国の耐久財受注とフィラデルフィア連銀製造業景気指数、金曜日のドイツ第4四半期GDP、ユーロ圏消費者物価指数、ドラギECB総裁発言等となります。

ブリオンボールトニュース

スコッチウイスキーの昨年の輸出量が8%増の47億ポンドと史上最高となり、米国とインドとメキシコへの輸出量が急増しているというファイナンシャルタイムズの記事で、弊社のグループ会社ウイスキー・インベスト・ダイレクトの創設者ルーパート・パトリックのコメントが取り上げられています。

ここでルーパートは、「ウイスキーを飲む世界の人々は、知識を高めており、より高級なウイスキーをそれに見合う価格を払って購入することを良しとする傾向が広まっています。」と述べています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

 ロンドン便り

今週英国では過激派組織「イスラム国」をサポートするために2015年に友人二人とシリアに渡った英国人の少女が、19歳となり英国に戻ることを希望しているというニュースが、ブレグジット関連と共にトップニュースで伝えられているのでご紹介しましょう。

この少女はシャミマ・ビガムさんで、ここでも以前お伝えしましたが、当時15歳でロンドン市内の学校に通っていた友人2人と共に、シリアに入国したまま消息がつかめていませんでした。

その後ビガムさんはシリアへ入って間もなくイスラム国の戦闘員と結婚し、2人の子供を出産したものの、2人とも死亡し、現在は3人目の子供を妊娠して「イスラム国支配地域にとどまった場合、生まれてくる子供が2人の子供のように死んでしまうのが恐ろしかった」とのことからシリアの難民キャンプへ避難したとのこと。

ちなみに、2015年にやはりシリアに入ったビガムさんの友人二人のうち、一人は既に死亡し、もう一人の安否はつかめていないとのことです。

本日は、サジド・ジャビド内務大臣が英タイムズ紙のインタビューに対し「私からのメッセージは明確で、あなた(ビガムさん)が国外のテロリスト組織をサポートしたのであれば、あなたが英国へ帰国することを拒否することに躊躇しない」と述べたことが伝えられています。そして、もし帰国した場合は起訴される可能性があるともコメントしています。

ビガムさんはシリアへ渡ったことを後悔していないと述べているとのことからも、英国政府としてはイスラム国に洗脳された人々が英国へ戻ってくることによる弊害を懸念しなければならないということなのでしょう。

しかし、昨夜のBBCの旗艦番組で時事問題を討論する番組「Question Time」で離脱派として有名な保守党のジェイコブ・リー=モグ氏の意見が心に響きましたので追加ここでご紹介しましょう。

彼は先の懸念は十分に理解するとした上で、「ビガムさんがシリアに渡った時は15歳で、その年齢でイスラム国の戦闘員と結婚をしています。このようなことが、英国で起きたならば、児童虐待とされるでしょう。」と述べ、たとえ今19歳と英国では成人とみなされる年齢で、当時自分の意志でシリアに渡ったとしても、15歳という年齢からも洗脳されていた可能性があること、そして結婚が許されていない年齢で結婚をするという児童虐待が起きたことを英国政府が防げなかった責任は考慮すべきで、英国へ受け入れて人道的に柔軟に対応すべきと述べていました。

また、国際法で2重国籍を保有していない人の国籍(ビガムさんの場合英国籍)を否定できないという法を順守する必要なども説明し、帰国を認めるべきと説いていました。

イスラム国の脅威は、この数年英国ではイスラム国をサポートする人々による数々のテロ事件が起きているために、英国の人々は十分理解しています。そのために議論に参加した一般の方々の中には帰国を許す必要はないという意見も見られましたが、パネルの保守党リース=モグ議員と労働党のリサ・ナンディ議員、ウィキペディアの共同創設者のジミー・ウェールズ氏など皆が、ビガムさんが英国へ戻ることを認めるべきと答えたことに英国の成熟度を改めて見たようにも思ったのでした。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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