ニュースレター(2018年3月16日)1310.10ドル:トランプ政権への懸念はサポートであるものの、今週のFOMCでの利上げ観測が広がる中下落
先週は一週間休暇をいただいていましたので、先週の金市場をまとめましたニュースレターを本日お届けします。
週間市場ウォッチ
先週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1310.10ドルと前週同価格から0.8%下げていました。
先週月曜日金相場は、ロンドン午前中は前週金曜日の良好な非農業部門雇用者数よりも鈍化した平均時給が注目されFRBの利上げペースの鈍化観測から上昇していた上げ幅を緩やかに失ったものの、その後ドルが弱含む中でその下げを戻しトロイオンスあたり1323ドルまで上昇することとなりました。
しかし、先週の注目指標の米国消費者物価指数が翌日発表されることからも、その頭は重く抑えられていました。
火曜日金相場は、市場注目の米国消費者物価指数が予想どおり前月比0.2%であったものの、前月の0.5%より縮小したことから、FRBによる利上げ加速への懸念が薄れ、ドルインデックスが弱含む中トロイオンスあたり1326ドルまで上昇したものの、ドルインデックスが一転上昇したことで、その上げ幅を多少失って終えることとなりました。
なお、ロンドン時間昼過ぎにトランプ米大統領がティラーソン国務長官の解任を公表したことが伝えられていましたが、辞任はある程度予想されていたとのことで、同日の相場への反応は限られていました。
水曜日金相場は、ロンドン早朝にトロイオンスあたり1329ドルまで上昇した後、1324ドル前後の狭いレンジでの取引となりました。
午前中の上げは、前日夕方にトランプ米大統領が中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国製品に最大600億ドル相当の追加関税を検討していると伝わったことから、アジア株式市場が下げる中でドルも弱含んでいたことからでした。
また、ロンドン午後に発表された米小売売上高も前月比-0.1%と予想の0.3%を下回ったことも米株式を押し下げ、金をサポートしていました。
しかし、3月21日にFOMCの政策金利発表を控えており、利上げ観測もあることから頭の思い動きとなっていました。
木曜日金相場は、ドルインデックスが強含む中でトロイオンスあたり1317ドルへと一時下げ先週一番の10ドルの下げを見せることとなりました。
この動きは、同日トランプ大統領が国家経済会議(NEC)委員長に指名する中国に対し強行姿勢を唱える経済評論家のラリー・クドロー氏が、ドル高容認を示唆したこと、そして「貴金属を売却しドルを買うべき」というコメントからとブルームバーグが伝えていました。
なお、貿易政策で対中強硬姿勢を強めるトランプ政権ですが、同日は、ロシアの情報機関を含む5団体と個人19人に、2016年の米大統領選でのサイバー攻撃、2017年6月の世界規模のサイバー攻撃に関与したことなどから経済制裁を科すと発表していました。
金曜日の金相場は、トロイオンスあたり1313ドルとLBMA金価格においては週間で0.8%の下げとなっていました。
これは、ドルが2週間ぶりの高さへ強含んでいたことからですが、この背景は同日発表された米鉱工業生産とミシガン大学消費者信頼感指数が共に予想を上回り、今週のFOMCでの利上げ観測が広がっていることからでした。ちなみに、同日のFEDWatchでは今週の利上げは94.4%が見込んでいました。
しかし、トランプ政権のコーン国家経済会議(NEC)委員長やティラーソン国務長官など政権幹部の離職が相次ぎ、15日夜にはマクマスター大統領補佐官の解任観測が浮上し、16日にはトランプ大統領とケリー大統領首席補佐官の不仲も報じられていると伝えられていたことから、政権運営が不安定になることや、トランプ政権が通商・外交で強硬姿勢を強めるとの警戒感などは金のサポートとはなったようです。
その他の市場のニュ―ス
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金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は先週一週間で6.5トン増加し、840トンとなっていたこと。この一週間の増加量は3週間ぶりの高さ。 -
ロシアの飛行機が空港から離陸する際に貨物室の扉が外れ、滑走路に3億7800万ドル(400億円)相当の金のインゴットが散乱したことがモスクワ・タイムズで伝えられていたこと。 -
コメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、3月6日火曜日の段階では2.65%と多少ながら増加し、503トンとなっていたこと。なお、先週火曜日の13日は再び9.98%減少し453トンと、今年一番の低さとなっていたこと。 -
コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のポジションは、3月6日火曜日の段階では4週連続でネットショートでしたが、そのネットショートポジションは1685トンと減少していたこと。そして3月13日火曜日においては、再びネットショートポジションを2518トンへと増加させ5週連続でネットショートと、2015年半ば以来の長期のネットショート期間となっていること。 -
コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、3月6日火曜日には23.79%下げ32トンとなっていましたが、13日火曜日もまた19.08%下げて26トンと今年1月9日以来の低さへと下げていたこと。 -
コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションも3月6日火曜日に14.88%下げて43トンとなっていましたが、13日火曜日も9.67%減少し39トンと2017年1月3日以来の低さとなっていたこと。
ブリオンボールトニュース
先週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
先週は休暇をいただいていましたので、ロンドン便りはお休みをさせていただきます。