ニュースレター(2018年2月23日)1327.95ドル:FOMC議事録でより速い利上げペース観測が広がり金は下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1327.95ドルと前週同価格から1.8%下落しています。これは、先週金曜日のLBMA・PM価格が4年ぶりの高い水準となっていたことからも、今年最大の週間の下げ幅となります。
月曜日金相場は、中国市場が春節(旧正月)で休場で、米国もプレジデントデーで祝日である中、トロイオンスあたり1350ドルを挟んで狭いレンジで動くこととなりました。
火曜日金相場は、ドルが強含む中トロイオンスあたり1330ドルと先週水曜日の米消費者物価指数発表後の上げ幅を失う15ドルほど下げることとなりました。
同日ドルが強含んだのは翌日発表される前回のFOMCの議事録でより早いペースの利上げが示唆されている可能性からとのことでした。そのため、米長期金利も同日は再び2.9%を一時超える高い水準へと上昇していました。
また、今週予定されていた米財務省の2580億ドルという大量入札を控えて、需給逼迫の懸念からの金利上昇も起きていた模様でした。
水曜日金相場は、FOMCの議事録を待つ中、前日大きく下げたトロイオンスあたり1330ドル前後の狭いレンジで推移していました。
同日も米長期金利は2.9%程で高止まりし、ドルインデックスも90を割る高い水準で推移していました。また、米株価も過去8日のうち7日上昇するなどFOMCを控えて上値は重いものの堅調に推移していました。
そして注目のFOMC議事録発表後は、コンピューターにプログラムされていたアルゴリズム(人工知能)が内容をハト派的と一旦判断し、株価と共に金相場はトロイオンスあたり10ドルほど上昇をしました。しかしその後議事録内容の解釈が進む中で、当局者が経済成長や物価見通しへの自信を深めているという判断となり、年内利上げペースが上がるという観測が広がり、ドルインデックスが90を超えて強含み、長期金利が2.95%近くまで上昇する中で、株価と金相場は上げ幅を失い下げることとなりました。
またFOMC議事録発表後、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がブルームバーグのインタビューで、政策金利の「さらなる漸進的な引き上げ」を見込んでいることを示唆したことも、先の動きを進める要因となった模様です。
木曜日金相場は、前夜FOMC議事録発表後下げた水準から、ドルが弱含む中で緩やかに上昇してトロイオンスあたり1330ドルまで戻すこととなりました。
同日ドルインデックスは90を割り多少ながら下げ、長期金利も2.9%台と高水準であるもの若干下げていました。
長期金利の高止まりは、トランプ政権のインフラ投資や税制改革などによる米国財政の悪化や保護主義への懸念が要因とも分析されており、そのために、本来長期金利の高さはその国の通貨を強めるにもかかわらずドル安となっている模様です。
本日金曜日の金相場は、狭いレンジでの取引となりました。今週のFOMC議事録の発表で大きく動いた市場が落ち着きを取り戻す中で、ドルインデックスは90を割る水準で推移し、米長期金利も2.90%を割ったものの高い水準となっていることからも、金にとっては頭の重い市場環境となっているようです。
なお、来週火曜日にはパウエル新FRB議長の議会証言が予定されていることから、市場の注目はここで利上げペースが示唆されるのかに移っている模様です。
その他の市場のニュ―ス
- 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が今週木曜日までに3.2トン増加して827トンとなっていたこと。
- ベネズエラが埋蔵原油を裏付けとしたペトロという仮想通貨を発行すると発表したこと。
- 30年ぶりの税制改革に伴う資金繰りなどのために、今週米政府が2580億ドル相当もの国債増発を行ったこと。
- 先週末に発表されたコメックスの金・銀・プラチナ・パラジウムの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に、前週に続き全て減少していたこと。
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コメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションにおいては、6.12%減の558トンと今年一番の低い水準となっていたこと。
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コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日に今年初めてネガティブの、-1234トンとなっていたこと。
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コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングも、13.53%減の40トンと2週連続の下げとなっていたこと。
ブリオンボールトニュース
弊社へ資本参加をしているロスチャイルドのフィンテック企業へ投資するファンド会社Augmentum Fintechが、IPOで1億ポンドを募ることが英国主要日刊紙イブニングスタンダードで取り上げられ、同社が投資をした弊社ブリオンボールトを含む5つの企業の評価額が3330万ポンド(約50億円)となっていると紹介していました。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
また、金投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週も英国では冬季オリンピック関連ニュースが日々大きく伝えられています。健闘を続けていた英国カーリング女子チームは、残念ながら本日スウェーデンに準決勝で負けてしまったので、24日に日本と3位決定戦を戦うことになるとのこと。やはり日本チームに頑張ってもらいたいところですが、両チームの健闘を祈りたいと思います。 そのような中、今週は英国を拠点とする国際NGO団体が不祥事で大きな批判を浴びて、日々トップニュースで伝えられていますのでお伝えしましょう。 大きく問題となっているチャリティー団体はオックスファム(OXFAM)で、1942年にオックスフォード大学の教育関係者が中心に立ち上げた「オックスフォード飢餓救済委員会(Oxford Committee for Famine Relief)」として始まり、貧困と不正を根絶するための持続的な支援活動をしている団体です。 今回の問題は、2010年のハイチ大地震の復興支援活動で派遣された男性職員数人が、この施設内で未成年者を含む売春に関わり、4人が解雇され3人が辞職していたことを英紙タイムズ紙が今月9日に報道したために発覚し、チャリティー団体として著名で古くから多くの人々にサポートされている団体であることからも、英国中にショックウェーブが走ったのでした。 その後、オックスファムが組織的に対応が遅れたことや事実隠蔽の疑いや、ハイチ以外の支援国でのセクハラや性的虐待などの疑いも浮上し、この団体の大使役を務めていた英国女優のミニー・ドライバー氏は14日に辞任を発表し、今週20日の段階で既に7000人の寄付者が寄付登録を抹消したことも伝えられています。 英国政府はこのチャリティー団体に年間で3170ポンド(約47億円)の助成金を支払っているために、オックスファムがこれらの疑惑に対処し、問題を正さない限りは、新たな助成金申請は行われることはないことも発表しています。 そして、このような問題はオックスファムにとどまらず、英タイムズ紙によると、子供支援の国際NGO団体の「セイブ・ザ・チルドレン」、パリを拠点とする国際医療支援団体の「国境なき医師団」などのチャリティー団体から120件を超える性的不品行疑惑が報告され、そのうちの多くは警察に通報されているとのも明らかとなっています。 このロンドン便りでも何度も英国の慈善団体について取り上げさせていただいていますが、古くから慈善活動を行うことが英国の人々には浸透しており、多くの慈善団体が人々の信頼とサポートを受けて活発に活動しています。しかし、今回のニュースは、英国のこの伝統に傷をつけ、慈善団体への信頼を揺らぐものとなってしまったようです。 地道に活動を続けているチャリティー団体や人々の慈善活動への理解とサポートが、今回のニュースで失われることがないことを祈るばかりです。 |
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