ニュースレター(2018年2月16日)1352.10ドル:米長期金利が4年ぶりの高さへ上昇する中ドル安から金は上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1352.10ドルと、前週同価格から2.9%上昇しています。
週明け月曜日金相場は、日本市場が祝日の中、トロイオンスあたり1320ドルを挟み狭いレンジで取引が行われることとなりました。
同日は米株式市場が前週の2年ぶりの下げを見せた動きから落ち着きを取り戻す中、米長期金利は4年ぶりの高さの2.86%を推移していましたが、今週は市場注目の米国消費者物価指数が水曜日に発表される予定であったことからも、金市場は様子見の動きとなりました。
火曜日金相場は、ドルインデックスが90を割って一週間ぶりの低さへと下げる中、終値ベースでトロイオンスあたり1332ドルへと上昇することとなりました。
同日は日本円が対ドル強まり、昨年9月以来の107円台となり、1ドル107円後半を付けていました。
これは、先週の株式市場の急落への懸念が取れない中、日経平均株価が同日下げていたことからも、安全資産とされる円が買われていたとのことです。また、前日トランプ米大統領が日本や韓国などとの貿易赤字に不満を示し、制裁措置を示唆したことも円買いを後押ししたともされていました。
しかし翌日の米国の消費者物価指数の発表を前に、良い数字は利上げ観測を広げ金にとってはネガティブであることからも、金の上値も重くなっていました。
水曜日は市場注目の米消費者物価指数の発表され、予想1.9%を上回る2.1%であったことから、FRBによる利上げ加速の懸念で金相場はトロイオンスあたり10ドル下げましたが、その後30分ほどで戻し、さらに上昇してトロイオンスあたり1350ドルを超え、一日の上げ幅としては昨年8月以来の高い水準となりました。
これは、発表後上昇したドルインデックスが90を再び割り下げたことが要因となりますが、米株価が揃って上昇し、米長期金利も上昇して2.90%を上回っていること等を考慮すると力強いものとなりました。
このドル安、長期金利上昇の背景は、完全雇用状態でトランプ政権が新たに景気刺激策とも言える減税策やインフラ投資を打ち出していることへの懸念とも分析されています。
木曜日金相場は、前日の高い水準をほぼ保持し、トロイオンスあたり1350ドル前後を推移することとなりました。
同日も前日同様に世界株式は堅調に推移し、米長期金利も2.90と高止まりしていました。しかし恐怖指数と呼ばれるVIXは20を割って下げており、投資家心理は改善してきている模様でした。
本日金曜日は、今週の上げ基調を受け継ぎ4週ぶりの高値のトロイオンスあたり1361ドルを付けた後、ロンドン昼過ぎに1354ドル前後を推移しています。
本日は中国の春節で日本以外のアジア市場が休場となっていますが、月曜日はそれに加えて米国もプレジデンツデーの祝日で休場となることから、今週の上げもあり、ドルが一週間ぶりに強含み、米長期金利が多少ながら下げる中で、ロンドン午後には調整の下げと見られる動きも多少ながらでています。
その他の市場のニュ―ス
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金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が、先週20.6トン失った後、今週は少し落ち着きを取り戻し、木曜日までに0.6トンと少ないながらも増加していたこと。 -
金曜日に日本円が対ドル105円台半ばまで上昇したこと。 -
木曜日に南アフリカのズマ大統領が辞任し、ランドが15年2月以来の高さに上昇したこと。 -
先週末に発表されたコメックス先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、株式市場が大きく下げた翌日の先週火曜日に、金、銀、プラチナ、パラジウム全てで減少していたこと。 -
コメックス金先物・オプションのネットロングポジションは、先週火曜日に10.80%減の595トンと、8週間ぶりに減少していたこと。 -
コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に86.8%減少し542トンと、昨年12月26日以来の低い水準となっいたこと。 -
コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも、先週火曜日には6.12%減少し47トンとなっていたこと。これは、7週間ぶりの減少。
ブリオンボールトニュース
今週は弊社のグループ会社でスコッチウイスキーのインディペンデントボトラーでブレンダーの「ジェームズ・イーディー」が多くの主要メディアで取り上げられました。
日経ビジネス「英EU離脱決定、スコッチ潤す」
ここでは、「ジェームズ・イーディー」を1854年に創業した老舗と紹介し、創業者の玄孫にあたるルーパ―ト・パトリックが80年ぶりにオリジナルレセピに忠実に「トレードマークX」を再現し、英国で高い人気を獲得し、日本への輸出も始めたと取り上げています。
この記事では、スコッチ産業がスコッチ業者が相次いで開業し、英国からのウイスキーの輸出も10年前に比べて額で60%、量で190%と、かつてない盛り上がりを見せていることをレポートし、その背景として、英国のEU離脱を上げ、通貨ポンドが下落したことから、スコッチの輸出競争力が高まったこととしています。
スコットランド主要紙ヘラルドスコットランド「1850年代のウイスキーが創業者の玄孫によって再現され、スーパーマーケットとの取引を勝ち取る」
弊社のグループ会社ジェームズ・イーディーの「トレードマークX」が英国高級スーパーマーケットのWaitroseで取り扱いが始まることが、「トレードマークX」が1850年代に遡ることができるオリジナルレセピに忠実に再現されたことと共にこの記事で取り上げられました。
また、「トレードマークX」は、この度世界でも最も権威のあると見られているウイスキーアワードの一つの2018 World Whisky Awardsで金メダルをいただきました。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週は英国でも冬季オリンピックがBBCでほぼ一日中報道されており、日本選手はもちろん各国選手の健闘に心躍らされています。
日本は本日の英国時間正午に銀メダル4個と銅メダル3個と、メダルラッシュもありメダルランキングでは13位と上位に食い込んでいますが、夏季オリンピックに強い英国も、冬季オリンピックでのメダル獲得数は最高で前回のソチ大会の4個でしたので、五日目を終えてメダル獲得がないことを少し心配していましたが、昨日スケルトンで銅メダルを獲得したことが本日ニュースで伝えられていました。
英国はスキーができる山はスコットランド以外には人工スキー場以外にはなく、雪も少なくスキーやウィンタースポーツをするためには海外へ行くことになります。
今回スケルトンで銅メダルを獲得したドム・パーソン氏も、大学で20歳の時にスケルトンに出会って始めたとのこと。陸上の400mのランナーであったとのことですので、運動神経は良かったのでしょうが、その後3ヶ月で2008年にヨーロッパカップでデビューし、ワールドカップの過去最高位は2015-16年の5位だったとのことです。
そこで、今回の銅メダルは彼にとっては快挙ですが、英国男子スケルトンではメダル獲得は初めてとのこと。
パーソン氏は現在30歳で、今も英国でも有名なバース大学でメカニカルエンジニア学部でターボディーゼルエンジンを博士課程で研究しているとのことですが、そのためにスケルトンで重要であるエアロダイナミックスに関しては知識があるとも英国の主要紙は伝えています。
そして、スケルトンのソリを製造し販売する会社も元スケルトン世界チャンピオンのKristan Bromley氏と共同経営しているスポーツ以外にも才能のある人物であるとのこと。
英国チームにとって稀なメダルを獲得したことで一躍主要メディアのスポットライトを浴びているパーソン氏ですが、今年世界ランキング12位でありながら、オリンピックで僅差(0.11秒差)でも銅メダルを獲得した彼の精神力と底力を心から称えたいと思います。