金市場ニュース

ニュースレター(2017年9月29日)1283.10ドル:トランプ政権の税制改革への期待、米利上げ観測の広がりでドル高となり金は下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1283.10ドルと前週同価格から0.9%下落しています。

週明け月曜日は、前日開票されたドイツ連邦議会選挙で、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟が、第一党を確保したものの議席を失い、これまで連立していたドイツ社会民主党が大敗したことで連立を行わないことを表明したことから、新たな連立を模索することとなり、ユーロが弱含み、ユーロ建て金相場が週明け上昇して始まることとなりました。

そして、ロンドン時間午後に北朝鮮外相が、「トランプ氏の発言は宣戦布告に相当する」、そして自衛目的で「北朝鮮には米戦略爆撃機を撃墜する権利がある」とコメントしたこと等が伝えられ、緊張が高まる中で米株価が下げ、ドル建て金相場がトロイオンスあたり1300ドルを超えて上昇することとなりました。

なお、週末に安倍首相が28日衆院解散をする可能性が伝えられていたことから、週明け円も弱含んで始まりましたが、北朝鮮関係で安全資産の買いが入った模様でその下げ幅を取り戻すこととなりました。

火曜日金相場は北朝鮮情勢への懸念が、マティス米国防長官の「外交領域での関与を続けさせたい」というコメントなどからも多少後退する中、安全資産需要の減少から緩やかに下げることとなりました。

この間、ドルインデックスは5週間ぶりの水準へ上げ、前日下げた長期金利も上昇することとなりました。なお、ユーロは週末のドイツの選挙結果を受けて5週間ぶりの水準へ下げていました。

また、同日のイエレンFRB議長のスピーチでは、FOMC時と同様に、「緩和政策の長期化は金融の安定を損ないかねない」と金融引締めを正当化するコメントが出ており、これらも金を押し下げる要因となったようです。

水曜日金相場はドルが強含む中、7月以来初めて50日移動平均線を割って下げることとなりました。この要因としては、①同日発表されたトランプ大統領の大規模な税制改革への期待②前夜のイエレンFRB議長のスピーチでのタカ派的スタンス③米耐久財受注2ヶ月ぶりに増加となっていたことなどとなります。

これを受けてドルインデックスは6週間ぶりの高さとなり、長期金利も2ヶ月ぶりの高さ、そして米株価が上昇したことから、金は押し下げられる事となりました。

木曜日金相場は、前日の終値から調整と思われる上げを見せていましたが、今月の一年ぶりの高値からは6%下げ、トロイオンスあたり1285ドルを推移することとなりました。

この間銀相場は、3週間前からは8%下げてトロイオンスあたり16.80ドルを推移し、前日パラジウムに16年ぶりに価格を逆転されたプラチナは、9週間ぶりの低さのトロイオンスあたり920ドルとなっていました。

なお、前日6週間ぶりの高さになったドルインデックスは同日は緩やかに下げることとなりました。これは、前日のトランプ政権の税制改革への期待感がその詳細が不足していることや実行性などからも多少後退ししていたことからでした。

本日金曜日は、同日発表された個人消費支出(PCE)価格指数が予想を下回ったことなどからドルが弱含んでいましたがその後上昇しており、金相場は押し下げられています。

なお、本日は月末、四半期末であることからも、ポジション調整の取引が行われれいる模様です。

その他の市場のニュース


  • 金価格が今週火曜日から下げている中、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアは、その残高を今週に入り8.6トン増加させ、864トンと今年6月の高い水準となっていたこと。

  • 先週末に発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、FOMCの結果が発表される前日の先週火曜日に、既に9週間ぶりに、1年ぶりの高い水準から8%減少し、754トンとなっていたこと。

  • 銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも、先週火曜日はFOMCの発表を待つ中多少ながら銀価格は上昇していましたが、8週間ぶりに10%減少していたこと。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

週は英国では英国のEU離脱(Brexit)に向けた第4回交渉会合の進展、労働党の年次党大会などが広く伝えられていますが、その他に今週行われていたInvictus Gameや、この競技大会を設立し支援しているヘンリー王子についても伝えられていますので、今週はこの話題をご紹介しましょう。

Invictus Gameとはパラリンピックのように、怪我や病気でハンディを負った軍隊で働いた人々がスポーツを通じて自分自身を取り戻すことを支援する競技大会です。

このInvictusとはラテン語で「負けざるもの達」とのこと。ヘンリー王子自身もアフガニスタン前線へ2度従軍し10年間陸軍で勤めた後に2015年に除隊していますが、その際に、彼は負傷した兵士のリハビリを補助するボランティア活動を行うともコメントしていました。

Invictus Gameは2014年に始まり、3度目の今年はカナダのトロントで今月行われていました。

そこで、この地を訪れているヘンリー王子について伝える記事が主要日刊紙やタブロイドの一面を飾っていますが、昨日はヘンリー王子がバレーボールを観戦中に、その隣で観戦していた女の子と仲良くなりすっかり打ち解けている姿が写真動画とともに紹介されていました。

ヘンリー王子のガールフレンドで女優のメーガン・マークル氏との公式の場での初めてのツーショットは数日前に紹介されていましたが、ウィリアム王子やキャサリン妃同様に王室の新しい世代で、少しやんちゃで親しみやすいヘンリー王子への英国の人々の興味は尽きることはないようです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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