ニュースレター(2017年12月1日)1275.50ドル:米税制改革法案可決の期待で株価とドルが上昇する中金は下落、しかしロシアゲート懸念浮上で上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1275.50ドルと前週同価格から1.4%下落しています。
月曜日金相場は、6週間ぶりに一時トロイオンスあたり1300ドルを試したものの超えることなく、1295ドル前後を推移することとなりました。
同日はロンドン午前中に欧州株価が下げドルが9月以来の低さ近くまで下げて始まりましたが、ロンドン午後に発表された米新築住宅販売件数が予想を上回り、2007年10月ぶりの高水準となったことでドルが一転上昇する中で下げることとなりました。
火曜日金相場は、S&P500種株価指数を含む主要3指数がそろって過去最高値を上回る中、狭いレンジでの取引となりました。
同日は時期FRB議長のパウエル理事の議会での公聴会が行われ、「12月利上げの論拠は強まっている」「金融規制は十分に厳しい」などとほぼ市場の予測どおりに述べ、ドルが強含み、株価を押し上げていました。
そして、ロンドン時間夕方にに北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことが伝えられてましたが、市場への影響は限定的となりました。
水曜日金相場は、ドルが強含み株価が上昇する中、トロイオンスあたり10ドルを超えて大きく下落することとなりました。
このきっかけは、同日発表された米GDPが3.3%と予想を上回り、2014年以来の速いペースとなったことからですが、その他、前夜上院で税制改革の共和党案が僅差ながらも通過し、上院本会議で30日にも採決にかけられる見通しとなったこと、前日のパウエル理事同様に、同日のイエレンFRB議長の議会証言でもまた「政策金利は徐々に中立に近づけることが重要」と述べたこと等が要因長期金利が上昇し、それに反応する形で大きな売りが入ったとのことです。
木曜日金相場は、米株価が史上最高値を付ける中、米長期金利が上昇し、前日の下げ基調を受け継ぎ、トロイオンスあたり1275ドルまで緩やかに下落することとなりました。
同日は、市場注目の米個人支出(PCE)コア価格指数、個人所得と支出、新規失業保険申請件数、シカゴ購買部協会景気指数等が発表され、すべて予想を上回る良好なものであったことも金を押し下げました。また、マケイン米上院議員が、税制改革法案への支持を表明したことで、税制改革法案可決への期待の高まりから、ダウ工業株30種とS&P総合500種が終値ベースで史上最高値を付けたことも金にとってはネガティブな要因となりました。
本日金曜日は、税制改革法案に反対してきたジョンソン上院議員も賛成に回ったと伝わり、法案が本日通過する期待が高まる中、米株価とドルが上昇し、米長期金利が高い水準を保つ中、狭いレンジでの取引ながら昨日の終値から下げていました。
しかし、ロンドン時間午後4時過ぎに、前米大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリン氏が、ロシア大使とのやりとりについて連邦捜査局(FBI)捜査官に虚偽の発言をしたとして有罪を認める中、ロシア接触はトランプ氏に指示されたと答弁したことが伝えられ、ドルが下げ金が上昇することとなりました。
その他の市場のニュース
- ビットコイン先物のCMEとCBOEでの取引を米規制当局が認可すると伝えられたこと。
- CMEは12月18日にビットコイン先物をローンチするとのこと。
- 水曜日ビットコインが11,000ドルを超えて史上最高値を付けたこと。これは年初から10倍ほどの上昇。
- ナスダックが2018年前半期にビットコインの先物を上場すると伝えられたこと。
- 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は、10月13日から8営業日全く変化がなかった後、今週に入り2営業日連続で計3.9トン減少していたこと。
- 通常週末に発表される先週火曜日のコメックスのデータは感謝祭の休暇の関係で月曜日夜に発表され、金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、2.18%と多少ながら減少していたこと。ただ、その他の業者も合わせる大口投機玉のポジションは多少ながら増加。
- 銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも先週火曜日に5.29%減少していたこと。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国は、ヘンリー王子と米女優のメーガン・マークル氏の婚約と話題で持ちきりとなっています。
このニュースは今週水曜日に発表されましたが、本日はヘンリー王子とマークル氏の婚約後の初めての公式行事で、世界エイズデーイベントを主催しているノッティンガムのチャリティー団体を訪問していることが生中継で伝えられています。
ヘンリー王子の母親ダイアナ妃は、様々なチャリティー団体をサポートしていましたが、1987年に新設されたエイズ病棟を訪れて、手袋を着用せずにHIV陽性患者と握手をし、当時「HIV・エイズは触れただけで感染する」という人々の考えを覆すこととなど、当時25歳だったダイアナ妃が残したレガシーについては今日もニュースなどで伝えられていました。
マークル氏へへンリー王子が贈った婚約指輪の3つのダイヤモンドのうち2つはダイアナ妃のものであったとのこと。ダイアナ妃がサポートしていたチャリティー活動をお二人の最初の公式行事としたこと等、ヘンリー王子のダイアナ妃への想いが感じらるものとなりました。
なお、英国メディアはこぞって今回のニュースをポジティブに伝えていますが、ニューズウィーク誌などの米国のメディアでは、アフリカ系黒人の母親と白人の父親のを持つマークル氏を「黒人プリンセス」と呼ぶなど、色々と荒さがし的記事も出ているようです。今のところ、英国の主要メディアではマークル氏の肌の色や彼女の離婚歴をネガティブに取り上げてはいないようです。
その背景には、ヘンリー王子の父親チャールズ皇太子も再婚のカミラ・コーンウォール侯爵夫人と再婚していること、また、エリザベス女王の父親ジョージ6世が国王となったのは、兄のエドワード8世がアメリカ人の離婚を2度経験しているウォリス・シンプソン夫人と結婚をするために退位したからという経緯もあり、英国民の許容度もできているのでしょう。
若い頃には仮装パーティーでナチスの軍服を着たり、ラスベガスのホテルで羽目を外している写真がメディアで取り上げられることもありましたが、アフガニスタンに従軍した後に除隊してからは、負傷した元兵士を支援するチャリティー団体を立ち上げて力を注いでいることや、その親しみやすい人柄などからも、彼への英国の人々の支持は高まっていました。そして何より13歳で母親を亡くし、葬儀で彼女の棺の後ろを小さなヘンリー王子がとぼとぼと歩く様子は、英国の人々の心に今も残っており、おちゃめな時期を超えて幸せを見つけたヘンリー王子への人々のまなざしはとても暖かいように思います。
来年の5月に予定されているお二人の結婚式はきっと国を挙げてのお祝いとなることでしょう。