ニュースレター(2017年11月3日)1267.20ドル:主要イベントを終え、ドル高株高で一ヶ月振りの低さへ下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1267.20ドルと前週同価格から0.3%下げています。
週明け月曜日金相場は、トランプ陣営の元選対会長がロシア疑惑で起訴されたことが伝えられたことで一時1278ドルまで上昇することとなりました。
なお、元選対会長のマナフォート氏は、米国への謀略や資金洗浄(マネーロンダリング)など12の罪状で、同氏の元ビジネスパートナーのリチャード・ゲーツ氏と共に起訴されていました。
火曜日金相場は、ドルと株価が上昇する中、トロイオンスあたり1270ドルを割って下げることとなりました。
ドルが強含んだのは、翌日のFRBの金融政策発表を前に行われた日本銀行の政策金利発表で、金融政策は8対1で現状維持とされ、17年度の物価上昇率は1.1%上昇から0.8%上昇に下方修正されたことなどから、円が弱含みドルが相対的に上昇したことからです。また、同日発表された米消費者信頼感指数が17年ぶりの高さとなったこともドルを押し上げることとなりました。
そして、トランプ大統領が同日「税制改革、クリスマスまでの実施が目標」と述べたことが伝えられていたことからも、税制改革への期待も高まっていました。
水曜日金相場はアジア時間に他の貴金属と共に上昇し、トロイオンスあたり1280ドルをつけた後、FOMCを待つ中狭いレンジでの取引となっていました。
この間金曜日の雇用統計の先行指標と見られているADP全国雇用者数は予想の20万人を上回り23.5万人で金を押し下げましたが、その後のISM製造業景況指数が58.7と予想の59.5を下回り、その下げを取り戻しつつありました。
そのような中行われた注目のFOMCの政策金利発表では、金利は1.25%で据え置かれました。金融政策声明では、経済活動はハリケーンにもかかわらず着実に拡大とし12月の利上げを示唆するものとなりました。しかし、インフレ(食品とエネルギーを除く)は引き続き軟調ともあり、金相場は発表直後上昇し、その後FRBの次期議長が、パウエル理事の可能性が高いと伝えられ、時間外取引で1280ドルを超えて上昇することとなりました。
木曜日は市場注目のイングランド銀行の金融政策発表が行われ、予想通り0.5%へと10年ぶりに利上げが行われました。しかしこれはすでに価格に織り込まれていたこと、また決定が7対2であり、今後の利上げペースも緩やかなものとのカーニー総裁のコメントでポンドが下げ、ポンド建て金相場が2週間ぶりの高さへ上昇することとなりました。
ドル建て金相場はドルと米株価が下げる中、トロイオンスあたり1283ドルへと上昇後、1278ドルあたりを推移することとなりました。
ドルと株価が下げたのはトランプ政権の税制改革案の要旨が発表され、その内容を市場が消化する中で、この改革が十分ではない、また実際に改革が行われるのかなどの懸念も含め下げた模様です。そして、同日NY時間午後3時にFRBの次期議長がパウエル理事と発表されましたが、この人事は予想通りであったことからも市場の反応は薄いものとなりました。
本日金曜日金相場は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は26.1万人と31万人の予想を下回り、前回の数値は-33000人から18000人に上方修正されていました。そして、失業率は4.1%と前回と予想の4.2%を下回り、平均時給は前年比2.4%と前回修正値の2.8%を下回る、期待を上回る数値と下回る数値のミックスの結果となりました。
この発表を受けて金相場は多少ながら上昇しましたが、LBMA金価格が決まるロンドン時間午後3時を過ぎたところで、ドルが強含みトロイオンスあたり1270ドルを割って大きく下げることとなりました。
この動きは、米ISM非製造業景況指数が予想を上回り2015年8月以来の高い水準となったことでドルが強含み、またアップル社の決算が予想を上回り株価が上昇し、会社の時価総額が一時9000億ドルを超え世界で最も高価な会社の位置を固めるなど、米株式を引き上げたことも要因である模様です。
その他の市場のニュース
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先週末に発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に1.12%と多少ながら減少し、6週連続の減少となっていたこと。これによりネットロングポジションは過去11週間で最も低い水準。 -
それに対しコメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、2%と少ないながら増加し、2週連続の増加となっていたこと。これによりネットロングポジションは過去5週間で最も高い水準。 -
今週水曜日にパラジウムが1000ドルを超えたこと。そして、銀相場もトロイオンスあたり17ドルをお超えて2.7%と大きく上げたこと。 -
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週4.7トン減少し846トンと9月20日以来の低い水準となっていたこと。
ブリオンボールトニュース
先週は、弊社グループ会社のジェームズ・イーディーのオリジナルブレンドが多くのメディアで取り上げられていましたが、やはり弊社グループ会社のウイスキー・インベスト・ダイレクトも多くのメディアで取り上げられていました。
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日本経済新聞「広がる実物投資 車・ワイン・アンティークコイン」
この記事ではワインやクラシックカー等の実物投資に注目が集まっているとし、ウイスキー投資としてウイスキー・インベスト・ダイレクトを「15年創業の英ウイスキー・インベスト・ダイレクトは熟成中の原酒への投資仲介を始めた。同社によると、日本からの投資では価格やインフレ率の推移から算定した実績の平均利回りが約8%。」と紹介いただきました。
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ライブドアニュース「飲むもよし価値が上がるのを待つもよしウイスキー投資とは」
ここでは、2015年にスコッチウイスキーを投資対象としたことで、ウイスキー・インベスト・ダイレクトが注目されたと紹介し、株アナリストの「ウイスキー投資は、いわゆるオルタナティブ投資と呼ばれる実物運用です。ウイスキーはリーマンショックのときでも価値が下がらなかったので、分散効果によるリスクヘッジが期待できます」というコメントと共にそのビジネスモデルを詳細に渡り取り上げています。
この記事では、ウイスキー・インベスト・ダイレクトでは4500を超える口座が開設され、1200万ポンド(約18億円)以上が350万リットルのスコッチ・ウイスキーの原酒に投資されていると紹介されています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国では、ハリウッドのワインスタイン氏のセクハラ問題がきっかけとなり、英国政界へでもセクハラ問題が長年に渡って起こっていたことが明らかとなり、マイケル・ファロン英国防相がセクハラ問題で辞任し、ケビン・ホプキンズ労働党議員が党員資格を一時停止され、調査されていることが大きく取り上げられています。
この流れは、ワインスタイン氏の問題などもあり、英国首相府は先週国会議事堂の女性スタッフに対し、性的な嫌がらせ行為を受けた場合被害を警察に届け出ることを促す声明を出している中で起きていました。
そして、英国タブロイド紙サンが、このような被害を「ワッツアップ」というメッセージ交換スマホアプリで共有し、国会議事堂の女性スタッフが、特定の議員を避けるために情報を共有しているという報道がされたこともきっかけとなっていました。
その後、与党保守党や野党労働党の議員を問わず、セクハラ疑惑の報道が出ていた中、ファロン英国防相が突如辞任したことが昨日速報として伝えられたのでした。
ファロン氏の辞任の背景はすべてが明らかとはなっていませんが、辞任前日には、2002年の夕食会で女性記者の膝に手を繰り返し置き、記者にとがめられていたという指摘を、ファロン氏の報道担当が認めていたとのことです。
当事者の女性記者はインタビューで「「もしも彼が15年前に私の膝を触ったからと辞任したなら、宇宙史上も最もくだらない失職の理由なので、それが原因ではないことを願う」とコメントしたことが伝えられています。
国防相は辞職届に「ここ数日の間に複数の議員について様々な疑惑の指摘が表面化した。中には私の過去の行動に関するものも含まれる。指摘の多くは事実と異なる。しかし、自分が光栄にも代表させてもらっている英軍に要求する高い規範に、過去の自分が見合わなかったことがあることは、受け入れる」と書いています。
おそらく辞任理由は、先の件のみではなかったのだろうという憶測も伝えられていますが、メイ首相の閣内での強力なサポーターであったファロン氏を失うことは、メイ首相にとっても痛手であり、今後の政局にも影響を与えることとなりそうです。