金市場ニュース

ニュースレター(2017年10月20日)1281.20ドル:企業業績拡大や大幅な税制改革へ期待から記録を更新を続ける株高で金下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1281.20ドルと前週同価格から1.4%下げています。

週明け月曜日金相場は、日経が21年ぶりの高値など、アジア株が軒並み高値を付けたにもかかわらず、地政学リストなどもあり、ロンドン時間には1300ドルを超えて堅調に推移していました。しかし、ニューヨーク時間に、株式市場が上昇する中、利益確定の動きで下げ、またタカ派と見られている次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補の1人、スタンフォード大学のジョン・テーラー教授が先週のトランプ大統領との面談で好印象を与えたことも伝えられ、ジリジリと下落することとなりました。

この地政学リスクとは、同日から行われていた朝鮮半島沖の米韓の合同演習へ北朝鮮が反発していたこと、米国のイランへの強硬路線、イラク軍のクルド人支配地域への進軍、カタルーニャ独立絡みの動きでした。

火曜日金相場は、ドルが強含み、ダウ工業株30種平均が記録を更新する中、トロイオンスあたり1282ドルまで一時下げることとなりました。

水曜日金相場は、ダウ工業株30種平均は4日続伸し、終値で初めて2万3000ドルを上回り3日続けて最高値を更新する中、トロイオンスあたり1280ドルを割る水準まで下げることとなりました。

木曜日金相場は、ロンドン時間では株式市場が調整の下げを見せる中トロイオンスあたり1290ドルまで3日ぶりに上昇することとなりました。

この株価の下げは、米アップル社の新型「iPhone8」の減産観測や、ユニリーバやEbayなどの決算内容を嫌気したこと、カタルーニャ州の独立問題を巡る先行き不透明感、そして同日がブラックマンデーから30年目であることも高値を続けていた株価の調整要因とされていました。

また、同日発表された米新規失業保険申請件数とフィラデルフィア連銀製造業景気指数のデータはともに予想より堅調な経済状況を見せていたことも、発表直後には市場を動かしませんでしたが、新規失業保険申請件数が44年ぶりの低水準であったことが認識されるにつれニューヨーク時間に動かした模様です。

本日金曜日金相場は、前日米株価が終値では前日比でプラスとなるなど戻し、日経平均株価が14日続伸して終えるなど株高、そして2週間ぶりのドル高で、ロンドン時間昼過ぎに緩やかに下落しています。

このドル高と株価の上昇の背景は、ボルボやエリクソンなどの企業決算結果が予想を上回っていること、トランプ政権の大幅な税制改革への期待や、トランプ大統領が時期FRB議長としてハト派のパウエル理事に傾斜しているというニュースなどもあるようです。

なお、カタルーニャ独立に関しては、本日カタルーニャ側が独立の主張撤回を拒否し、スペインのラホイ首相は同州の自治を停止する手続きを進めることを指示したことが伝えられており、予断を許さない状況となっています。

その他の市場のニュース


  • ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のクリアリングメンバーでもあるスコシアバンクが金関連ビジネスを売却するとファイナンシャルタイムズが伝えていたこと。

  • 先週末に発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、4週続けて減少していたこと。しかしその減少率は2.82%とささやかなもので、資金運用業者とその他の業者を加えた大口投機玉は3週間ぶりに増加していたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週銀価格が2%上昇をしていた火曜日に、ほぼ前週と同水準となっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアは、今週は月曜日から昨日まで全く変動がなかったこと。

ブリオンボールトニュース

米主要経済サイトのMarket Watchが昨日ロンドン時間午後の金価格の上昇を解説している記事でブリオンボールトのリサーチダイレクターのエイドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

エイドリアンはここで、「株価とドルが下げ、債券価格が上昇している場合、金は通常通りの動きをする。記録的に低いボラティリティと記録的に高い株価の環境では、保険として少ない金を購入する緊急性は高まっている。しかし、今週のバルセロナでのロンドン貴金属市場協会(LBMA)年次会議参加者のコンセンサスは、S&Pの強気市場に変化が起こらない限り、この投資需要の低迷は続くということだ。」と述べています。

なお、弊社のグループ企業でスコッチウィスキーを販売しているジェームス・イーディが、今週70年ぶりにオリジナルブレンドを当時のレシピに忠実に再現し「トレードマークX」として販売を始めました。当時の「トレードマークX」は、1854年に販売が開始され、1877年に商標登録されていましたが、今回の新たな「トレードマークX」は、サントリーやニッカへのアドバイスも行ったことがあるマスターブレンダーのノーマン・マティソンによってブレンドされ、今週から英国では「Royal Mile Whiskies」と「Master of Malt」を含む英国内の多くの小売店でも販売が開始されています。なお日本での販売は、12月には開始されますので、もうしばらくお待ちください。

ジェームズ・イーディーは弊社のウィスキー部門の最高経営責任者ルーパート・パトリックの高祖父によって創設されたブランドで醸造会社でした。そこで、ルーパートは、このオリジナルを再現するため当時の台帳を国立醸造所公文書館で見つけ、すでに製造されていない貴重な原酒も貯蔵されている会社に頼み、譲り受けて作り上げています。この過程は下記のリンクでYouTubeビデオでもご覧いただけます。なお、ビデオは英語ですが、日本語字幕をご用意していますので、設定で字幕を日本語としてご覧ください。

ジェームズ・イーディー:エピソード 1

ジェームズ・イーディー:エピソード 2

ジェームズ・イーディー:エピソード 3

 

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も英国のトップニュースは、日々遅々と進まないメイ政権のEUとのEU離脱交渉に関してですが、今週は英国北部を通過したハリケーンオフェリアが北アイルランドで3名の犠牲者を出していましたが、英国では被害はなかったものの、16日月曜日に興味深い現象をもたらしたのでご紹介しましょう。

それは、ハリケーンオフェリアがサハラ砂漠の砂とイベリア半島で起きていたを山火事の灰などを運んできたことで、英国の空がオレンジ色になり、太陽が真っ赤な色となっていたことでした。これは、可視光の波長が短い紫や青色がこれらの空中の異物で遮られ、波長の長い赤色が見えていたことからとのことです。

この現象に驚いた多くの人々がツィッターでハッシュタグで#redsun(赤い空)や#ophelia(オフェリア)はもちろんですが、#apocalypse(黙示)として投稿をしていたとのことです。

EUとの離脱交渉の先行きが見えない英国への黙示ではなかったようですが、多くの人々が空を見上げた一日となりました。下記の写真はBBCサイトからのものです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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