金市場ニュース

ニュースレター(2016年9月16日)1308.35ドル 来週のFOMCを前にリスクオフのドル高が金を押し下げる

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1308.35ドルと、前週同価格から1.7%下げ、ほぼ3ヶ月ぶりの低い水準となっています。

月曜日金相場は、市場注目のブレイナードFRB理事の講演でハト派的スタンスに変わりのないことが確認され、9月利上げ観測が一気に後退し、上昇することとなりました。

この背景は、先週金曜日にはハト派とみなされていたボストン連銀のローゼングレン総裁が、利上げに前向きな発言をして利上げ観測が一気に高まったことから、同様 にハト派であるブレイナード理事の講演が注目されていたことからでした。また、FOMC参加者は金融政策などの考えをFOMCの7日前から公言ができなくなるために、ブレイナード理事の講演が来週20日と21日のFOMCを前に最後となっていたことも、市場の注目を高めていた要因でもありました。

火曜日金相場は前日の上げを維持できず大きく下落することとなりました。これは、長期金利が上昇する中で、リスクオフの動きで株安とドル高が起こり、金相場が押し下げられたためです。

水曜日金相場は、株式市場においては日経平均株価は下げたものの、欧米株式市場が、同日発表の中国の新規融資やM2マネーサプライが予想を上回ったことなどから落ち着きを取り戻す中、緩やかに上昇することとなりました。

前日大きく上昇した米長期金利は前日の6月以来の水準の1.728%からは下げ、1.686%辺りまで下がることとなりました。

木曜日、ロンドン午前中にイングランド銀行の政策金利発表が行われ、金利は全会一致で0.25%で据え置かれ、資産購入枠も全会一致で据え置かれました。しかし、更なる利下げの可能性が示唆されたことから、ポンドが弱含み、ポンド建て金相場は上昇することとなりました。

その後、ロンドン時間昼過ぎに発表された米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は12.8と予想の1.0と前回の2.0を大きく上回ったために、利上げ観測が広がり一時的にトロイオンスあたり11ドル程を下げる事となりました。しかし、同時に発表された米小売売上高は5ヶ月ぶりのマイナス数値の-0.3%と予想の-0.1%も下回るものであったことから、早い段階で戻したものの、その後は緩やかに押し下げられることとなりました。

本日金曜日は、市場注目の米消費者物価指数が発表され、食品・エネルギーを除くデータが、前年比2.3%と予想2.2%と前回2.2%を少ないながら上回り、2月の4年ぶりの高さと同レベルとなったことから、利上げ観測が広がり、株安と共に押し下げられています。

その他の市場のニュース


  • ローマ帝国時代の紀元56年頃のネロ皇帝を型どった貴重な金貨が、今年夏にエルサレムで発見されたことが伝えられたこと。

  • 先週末に発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日ISM非製造業が予想を下回り利上げ観測が後退した際に、9週間ぶりの高さへ増加してていたこと。

ブリオンボールトニュース

今週も日本と欧米のメディアでブリオンボールトサービスが取り上げられました。

弊社の日本における正規独占媒介代理店のブリオンジャパンCEOの平井氏と著名投資家のジム・ロジャーズ氏のインタビュー記事でブリオンボールトのサービスが取り上げられました。

ここで、ジム・ロジャーズ氏は「これまで購入した金は、一度も売却したことがないんだ。…私はいずれ子どもに譲ろうと思っているから。」と述べた上で「特 に金や銀への投資は有効だろう。日本で、そして世界で紙幣のバラマキ政策が取られているいま、現物資産を持つ意味は大きい。」と提言しています。

そして、「金現物のオンライン取引というのはなかなか素晴らしいアイディアだ。日本で誰もやらなかったのが不思議だよ。日本の投資家にとっても、Bullion Japanにとってもスマートな選択だね。」とブリオンボールトサービスについてコメントしています。

ここでは、金を含むコモディティが何故多様な資産を含むポートフォリオの中に必要なのかという記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここでエィドリアンは、「金は、他の資産が利益を上げていない時に良いパフォーマンスを見せます。しかし、中央銀行への人々の信頼が下がった際に最も良い パフォーマンスを見せるのです。」と述べ、「中央銀行が経済や市場を制御できることを見せるために非伝統的金融政策を導入することで、多くの人々を金へと 向かわせています。」と説明し、「金の機会費用は他の資産で得られるインフレ考慮後の実質利回りで、それが上昇傾向か下降傾向かということに左右されま す。」というコメントを取り上げています。

この記事では、2000年以降金が他の資産を収益率で上回っていること、そして今年年初からは26%増となっていることを紹介した上で、ブリオンボールトのデータを紹介しました。それは、過去16年間においては、金の収益率は465%とし、ハリファックスがまとめたデータの不動産の165%をも上回っているとし、英国株式は96%で、預金は55%と比較しました。

そして、エィドリアンのコメント、「2000年以降に株式市場が必ずしも順調ではなく、金利が下げ続けている中、金は最も収益を上げている資産です。」を取り上げました。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週の英国からのニュースとしては、今週13日から流通を始めた新しい5ポンド(約677円)札についてお届けしましょう。

13日は、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁が新5ポンド札を屋台のカレーの中に漬けて、その丈夫さをアピールする写真が主要メディアで配信されていました。

この新札は、紙幣ではなく合成樹脂製で、従来よりも汚れにくく、水に強く、偽造が難しいとのこと。そして、表のエリザベス女王の肖像は変わらないものの、裏面は社会運動家のエリザベス・フライ氏からチャーチル元首相に変更となっています。

この肖像画の下には、チャーチル元首相が第2次世界大戦中に首相任命後に議会で行なった有名なスピーチの中の「私は血と苦労、涙と汗以外に捧げるべきものを持たない。(I have nothing to offer but blood, toil, tears, and sweat.)」が記載されています。

そして、チャーチル元首相の肖像画の背景に描かれているビックベンが午後3時を指しているのは、このスピーチが行われた時間であるからとのこと。また、ノーベル文学賞も描かれているのは、チャーチル元首相が1953年に授賞したことから。

7000万ポンドを費やして開発されたという新5ポンド札ですが、現行の5ポンド札は既に3億2900万枚が市場に出ているために、全てを回収して入れ替わるには1年ほど必要とのことです。

来年には10ポンド札、2020年には20ポンド札もこの合成樹脂製へと移行するとのことですので、記念に英国から消えていく紙幣を今のうちにとっておくのも良いかもしれません。

ちなみに、来年5月以降は旧5ポンド札はお店では使えなくなり、イングランド銀行へ交換に行かなければならないようですので、お気をつけ下さい。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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