ニュースレター(12月22日)1131.35ドル イエレンFRB議長のコメントで下落、ドイツとトルコのテロの影響は限定的
今週のニュースレターは、私が明日から休暇をいただくことから、1日早くお届けします。そこで、来週はニュースレターはお休みをいただき、年初のニュースレターは簡易版を日本からお届けします。
週間市場ウォッチ
今週木曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1131.35ドルと、前週金曜日の同価格から0.02%の下げとほぼ同水準となっています。
週明け月曜日金相場は、前週FOMC後に急落した調整の買いが入り、多少上げることとなりました。
同日は、ロンドン午後にトルコアンカラでロシア大使がトルコ警察官に射殺される事件が発生し、その際に少ないながらも上昇しましたが、その後ロンドン時間遅くに行われたイエレンFRB議長のボルチモア大学でのスピーチで「米労働市場が10年ぶりの力強さ」と述べるなど、米経済への楽観的なコメントが伝えられその上げ幅を失うこととなりました。
火曜日金相場は、ドルが14年ぶりの水準上昇したことから、金はさらに大きく押し下げられることとなりました。
このドル高は、前日のイエレンFRB議長の雇用に関する前向きな発言が要因で、前日のトルコとドイツのテロ事件による安全資産としての金需要は限定的となりました。しかし、日本円とスイスフランクは安全資産として事件発生後は上昇していましたが、日本円は日銀の金融政策が維持されたことで対ドル1%下げることとなりました。
同日欧州株は、イタリア政府が資金難に陥っている銀行の救済についてイタリア議会に承認を得ることを前夜決めたことから上昇していました。
水曜日金相場は、欧米市場がクリスマス休暇に入る中、狭いレンジでの取引となっています。
なお、同日発表された米中古住宅販売件数は、3ヶ月連続で増加し、予想と前回を上回る2007年2月以来の高水準となりました。
また、イタリア議会は国内銀行の支援に向けて、債務上限の最大200億ユーロへの引き上げを承認しました。そのために、同日株価が16%急落し、取引が停止されていた国内3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナに、早ければ今週中にも公的資金が注入されると伝えられていました。
本日木曜日の金相場もクリスマス休暇モードで狭いレンジでの取引となっています。
本日発表された米耐久財受注と第3四半期GDPは、少ないながらも予想を上回ることとなりました。
その他の市場のニュース
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金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアはトランプ氏が大統領に選出されて以来残高を減らし続け、28営業日中22日減少もしくは変化なしで、水曜日の段階で824.5トン。これは2013年の金相場急落時以降では最も早いペースで、今年5月3日の水準へと下げていること。 -
先週末発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、トランプ氏当選後5週連続で減少し、この間61%減で今年2月初旬の水準まで下げていたこと。 -
ロシアが11月に31.1トン金準備を積みましたことをロイターが伝えていたこと。
ブリオンボールトニュース
弊社の年末年始の営業日に関してはこちらをご覧ください。
弊社のオンライン市場はクリスマス休暇中も24時間ご利用いただけますが、銀行の休業などから、資金送金や引き出しに通常より時間が掛かることをご理解ください。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
さて、冒頭にも書かせていただきましたが、私は明日から休暇をいただき、年末から日本へ入りますので、ロンドン便りはしばらくお休みをさせていただきます。そこで、本日は簡単に今年のニュースレターの傾向を年末特別版としてまとめてみました。
まず、ニュースレターは今年51回掲載させていただいています。その中で、週間ベースで金相場が上昇したのは25週で下落したのは26週となりました。
また、年初のLBMAの金価格はトロイオンスあたり1101.85ドルで、本日が1131.35ドルと、年間ベースでは現段階では2.6%の上昇となっています。
年初からの金相場を動かしたイベントを見てみると下記のようになっています。
月 |
イベント |
1月 |
中国リスクからの世界同時株安で金は上昇を始める |
2月 |
世界同時株安とFOMC議事録のハト派的コメントで上昇 |
3月 |
FOMCやドラギ欧州中銀のコメントで再び上昇した後、FRB関係者のタカ派的コメントで下げる |
4月 |
中国懸念が後退する中、日米のハト派的金融政策で金が再び上昇 |
5月 |
米FRBの利上げ観測が広がる中下落 |
6月 |
BREXITで金が急騰 |
7月 |
BREXIT懸念が後退する中、再び日米の中央銀行の金融政策維持で上昇 |
8月 |
ジャクソンホールでのイエレンFRB議長のタカ派的コメントで下落 |
9月 |
日米のの中央銀行の金融政策維持で上昇、トランプリスクが認識され始める |
10月 |
BREXIT懸念のポンド安ドル高で金が下げたものの、トランプリスクの高まりで上昇 |
11月 |
トランプラリーとFRBの利上げ観測で記録的なドル高となり金は下落 |
12月 |
FRBの利上げ見通しが予想を上回り長期金利の上昇と14年ぶりのドル高で下落 |
というように、今年は中国発の世界同時株安ではじまり、BREXIT、トランプリスク、トランプラリー、FRBの利上げが金相場を揺らしました。来年は、いよいよBREXITのためのリスボン条約50条が発動され、トランプ氏が大統領へと就任します。これらを含め、シリア問題や欧州内でのテロの不安も消えて無く、先々の不透明感が残っていますが、ここニュースレターでは、皆様にそれらによる金相場への影響を引き続きお伝えしてまいります。
最後になりましたが、弊社からの年末のご挨拶を下記のようにさせていただきます。