ニュースレター(11月4日)1302.80ドル:トランプリスクの高まり、BREXITの不透明感で金上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1302.80ドルと、前週同価格から2.3%上昇しています。
週明け月曜日は、この週に行われるFOMC、米雇用統計の発表等を前に狭いレンジでの取引となりました。
翌火曜日金相場はトロイオンスあたり1290ドルを超え、一月ぶりの高い水準へと上昇しました。
これは、先週金曜日に伝えられた、FBIがクリントン氏のメールを再捜査するということによる、トランプリスクの高まり、また、同日発表されたワシントン・ポストとABCテレビの世論調査で、トランプ氏がクリントン氏を支持率で1ポイントリードしていたことが発表されたことから、ドルが弱含んだことからでした。
水曜日金相場は一月ぶりにトロイオンスあたり1300ドルを越えることとなりました。
これは、FBIによってクリントン氏のメール問題が再捜査されると発表された28日から31日に実施された最新のワシントン・ポストとABCテレビの世論調査で、クリントン氏とトランプ氏の支持率が共に46%となったことが同日伝えられ、すでに上昇基調となっていた金相場は心理的節目の1300ドルも越えて更に上昇したことからでした。
なお、火曜日から行われていたFOMCの政策金利発表では、0.25-0.50%と金利が据え置かれました。 そして、声明の中では「利上げの論拠は引き続き強まった」とされ、エスター・L・ジョージ・カンサスシティー連銀総裁と ロレッタ・J・メスター・クリーブランド連銀総裁が利上げを主張したことが伝えられていました。これにより、金相場は押し下げられることとなりました。
木曜日は、市場においてはサプライズであった英国高等裁判所のBREXITのためのEUへの通告に議会の承認が必要という判断で金相場も動くこととなりました。
この発表で、残留派が強い英国議会であることからも、英国のEU離脱が少なくとも遅れる可能性などが浮上し、ポンドが対ドル上昇し、ポンド建て金相場は急落することとなりました。そして金相場は、前日までの上げの利益確定もあり下げていましたが、BREXITに絡む懸念と、米大統領選のトランプリスクの懸念もあり、その後上昇することとなりました。
米大統領選の世論調査の同日発表分はクリントン氏がトランプ氏を2ポイント上回っていました。
また、同日はイングランド銀行が政策金利を発表し、金利は据え置かれましたが、インフレ予想で目標の2%が来年第2四半期に達成されると予想したこともポンド高を進めることとなりました。
本日金曜日市場注目の米雇用統計は非農業部門雇用者数が16.1千人と予想の17.5万人と前回修正値の19.1万人を下回っていました。なお、前回数値は15.6万人から上方修正されています。また、失業率は4.9%と前回の5.0%から改善し予想通りとなりました。
これを受けて金相場は神経質な動きをしているものの、トロイオンスあたり3ドルほどの狭いレンジで推移しています。
なお、米大統領選の世論調査の本日発表分はクリントン氏がトランプ氏を3ポイント上回っています。
その他の市場のニュース
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先週末発表のコメックス先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に前週から10%増と4週間ぶりに増加していたこと。それに対し、コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に4週連続で下落し、今年2月9日以来の低い水準となっていたこと。
ブリオンボールトニュース
今週は、ブリオンボールトが毎月まとめている金投資家インデックスの10月の数値が発表されたため、下記のメディアで取り上げられています。
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金の情報を日本語で網羅しているゴールドニュース「米大統領選を前に米投資家が金購入進める」 -
米国主要経済サイト「ポートフォリオ・アドバイザー」で「米国投資家が大統領選を前に金投資へ向かった」
ここでは、先月金相場が4月以来の低い水準となる中、投資家の金投資へのセンチメントが3年半ぶりの高水準となったことが紹介され、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「米国投資家が来週の大統領選を前に価格が下落した金への投資を進めた。それに対し金融市場はBREXITの時のようにトランプリスクを軽く見ているようだ。」というコメントを取り上げています。
また今週は米大統領選を前にトランプリスクが浮上することで金が上昇していることもあり、主要メディアのインタビューをブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュは受けることとなりました。
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BBCラジオ5の早朝主要経済番組
ここでは、トランプリスクの高まりで金価格が年初以来の最高値近くへ上昇していることに触れ、エィドリアンは「トランプ氏が反政治家の票を集めているように、金は反米国ドルと言える。」と説明し、大統領選と金相場については「トランプ氏が大統領に選出されることで金価格が急騰するリスク規模は、クリントン氏が選出されることで下落するリスクよりもはるかに大きいと言えるだろう。」と答えています。
エィドリアンのインタビューは、来週水曜日までは、先のリンクでダウンロードし、38分まで早送りをしてお聞きいただけます。.
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CNBC「金と米大統領選について」
ここでもエィドリアンが今年の金の上昇の背景を解説し、直近の米国大統領選との関連についても説明しています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週の英国からのニュースは、本日私がこれから弊社のウィスキー投資会社関連のワークショップに出席するために、お休みさせていただきます。来週このワークショップの事などはここでお届けさせていただきます。