ニュースレター(1月13日)1190.35ドル トランプ次期大統領の記者会見でトランプリスクが再浮上し金上昇
週間市場ウォッチ
先週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1190.35ドルと前週同価格から1.2%上げていました。
週明け月曜日金相場は、英国株式市場を除く欧州株式市場が下げる中、緩やかに上昇することとなりました。その中でも、ポンド建て金相場は、前日日曜日にメイ英国首相が英国のEU離脱に関して、ハードBREXITを示唆するコメントをしたことからポンドが対ドル1%近く下げ、急上昇することとなりました。
翌火曜日金相場は株式市場が翌日のトランプ次期大統領の記者会見を前に警戒感などから神経質な動きをする中、6週間ぶりの水準へと上昇することとなりました。
水曜日金相場はトランプ次期大統領の記者会見前にトロイオンスあたり10ドルほど一時下げたものの、トランプ次期大統領の記者会見が始まるまでにその下げ幅を取り戻し、その後更に上昇することとなりました。
トランプ次期大統領はこの記者会見で、一部のニュースが伝えていたロシアがトランプ氏にとってマイナスとなる「不名誉な個人的、財務的情報」を入手したとの報道について「ばかげた行為だ」と批判するなど、次期大統領にふさわしくない対応やコメントも見られ、トランプリスクが再認識された模様でした。
木曜日金相場は前日の上昇基調を受け継ぎ、ドルが弱含み、長期金利が下げる中、トロイオンスあたり1200ドルを超えることとなりました。
これは、前日のトランプ次期大統領の記者会見において、期待されていた財政の拡大、貿易政策変更に関する発言がなかったことなどから、株式市場や米国債市場などで調整の売りがでたことが要因となりました。
金曜日金相場は、前日1200ドルを超える上昇を見せたことからも、株とドルが前日の下げから反発し上昇する中、調整からも緩やかに下落することとなりました。
その他の市場のニュース
- トランプ氏が大統領に選出されて以来、ほぼ2ヶ月間全く増加していなかった金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高が、9日にも8.6トン減少した後に、13日金曜日に初めて3トン増加したこと。
- 前々週末発表の1月3日のコメックスの金の先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは、引き続き前週比16%減少していたものの、前週末発表の1月10日の資金運用者のネットポジションは57%増加していたこと。
ブリオンボールトニュース
先月の金投資家の動向を表す弊社金投資家インデックスに関するプレスリリース「[金投資家インデックス]センチメントは2016年に4年ぶりの高さに」が、日本語で金の情報を網羅しているゴールドニュースサイトに掲載されました。
また、トランプ次期大統領の記者会見で経済刺激策等の詳細の計画が説明されなかったことを受けてドルが下げ金が1200ドルを超えたことを伝えるブルームバーグの記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
ここでエイドリアンは「トランプ次期大統領が、ドルと株式市場に良い影響を生み出すという見方が疑問視され始めたことから、金は上昇している。」と述べています。そして、ブリオンボールトにおける顧客の動向は、ほぼ購入のみが見られていると続けています。
ロンドン便り
先週は日本に入っていましたので、ロンドン便りは昨日広く英国メディアで伝えられていた、トランプ次期大統領のタイムズ紙のインタビューについてお届けしましょう。
昨日トランプ次期大統領が英タイムズ紙のインタビューで英国のEU離脱は「素晴らしいこと」と述べ、他のEU加盟国も英国に追随するとの見通しを示したことが大きく伝えられていました。また、英国との貿易協定については「迅速にかつ適切に実施される」よう尽力する考えを示し、オバマ大統領が英国がEU離脱を決める国民投票前に、英国がEUを離脱した際は「英国との貿易協定は既にある他国との協議を先行させるためにそれ以降行われる」としたこととは異なる見解を示したことも伝えられています。
明日はテリーザ・メイ英首相が、EU離脱についての演説を行うことになっています。既に、この演説内容をめぐり各社報道で、メイ首相が単一市場へのアクセスよりも、移民管理の強化に重点を置く「ハード・ブレグジット」を表明する見通しが広がり、英国ポンドは対ドルで下落しており、昨年の10月以来の安値も付けていました。
トランプ次期大統領が、英国のEU離脱に肯定的なコメントを出していることは、メイ首相率いる英国政府にとってはありがたい限りですが、これだけでは英国ポンド安は救えない模様で、明日のメイ首相の演説に注目が集まっています。