ディリーレポート(2019年8月19日)「強気筋が金相場を動かしている」ものの、中国とドイツの経済刺激策で1500ドルを割る
金相場はロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1500ドルを割ることとなりました。
これは、ドイツと中国の経済刺激策のニュースやトランプ大統領の米中貿易協議が続いているというニュースで世界株価が上昇していることが背景にありました。
金現物価格は、ドルインデックスが金曜日の2週間ぶりの高値を維持する中で、トロイオンスあたり1498ドルと先週終値から1.1%下げていました。
「経済刺激策が安全資産に反してドルを支え、市場は落ち着きを取り戻しています。しかし、これがどれぐらい続くのかは確かではありません。」と外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は述べています。
先週末に発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に2.5%と下げたものの、その規模は過去13年間で4番目に高いものとなっていました。
また、金の最大銘柄のSPDRゴールドトラストの残高は、3週連続で増加し、週間で0.4%増で843トンとなっていました。過去に金価格が先週のトロイオンスあたり1515ドルを推移していた2013年の春には、この残高は1158トンとなっていました。
「強気筋が2年ぶりに価格を動かしている。」とカナダのブリオンバンクのスコシアバンクのNicky Shiels氏は述べ、「新たなETFへの資金やショートカバーではないロングポジション」に注目しています。
「香港の抗議デモやイタリアの連立政権の崩壊やアルゼンチンの大統領予備選後の破綻リスクによる地政学や政治リスクを、すでに今年の夏に現れたこの価格を動かす根本の動きに大きな影響を与えることはありませんでした。」と続けています。
アジア株が上昇後に、欧州株はドイツ株が先週の6か月ぶりの低さから反発する中で月曜日に大きく上昇していました。
香港のハンセン株は、香港の中国の香港政府への干渉に対する抗議デモが11週目に入る中で2.2%上昇していました。
また、中国の上海総合指数もまた、中国人民銀行が土曜日に金利制度改革を公表し、米中貿易戦争で影響を受けている国内経済への刺激策への期待が高まる中で2.1%上昇していました。
日曜日には、ドイツの財務相が経済危機時に500憶ユーロ相当の追加支出が準備可能と述べたことからも、ドイツによる経済刺激策への期待も高まっていました。
今週は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が23日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで金融政策の課題について講演し、将来の利下げが示唆されることが期待されています。
トランプ大統領は中国との貿易協議は「非常にうまくやっている」と述べているものの、米国が中国の通信機器大手、ファーウェイとビジネスを行うことは望んでいないと表明していました。そして、香港の状況を米中貿易協議と初めて公式につなげ、もし香港の抗議デモが暴力鎮圧されたならば米中合意は難しくなるとも述べていました。