ディリーレポート(2019年8月14日)ドイツの景気後退と米英でイールドカーブが逆転した懸念で金は上昇
金価格が本日も1500ドルを超えて上昇しています。
ドイツの経済への懸念が、昨日のトランプ大統領の一部追加関税延期の市場のセンチメントを一転させ、また米英のイールドカーブの逆転もあり、金相場が本日もロンドン昼過ぎの段階で上昇しています。
現物金価格は、本日ドイツの第2四半期のGDPが-0.1%であったことが明らかになり、欧州一の経済大国の景気後退の懸念からも欧州株価が下げる中で、昨日終値から1.1%高のトロイオンスあたり1515ドルとなっていました。
金は昨日トロイオンスあたり1534ドルへと1.4%急騰していましたが、その後トランプ大統領が中国への追加関税の一部を今年12月15日まで延期したことを発表し、1486ドルへと3.1%急落していました。
本日ドイツの10年物国債利回りは、GDPデータがマイナスであったことが発表された後に-0.624%と市場最低へ下げ、今年に入りほぼ90ベーシスポイントの下げを見せていました。
ユーロ圏のGDPは、ドイツに引き下げられて、第2四半期に0.2%と前四半期の0.4%から半減していました。また鉱工業生産も3年ぶりの低さへと下げていました。
「ドイツのGDPの数値で悪いスタートとなってしまった。欧州市場に置いてhあ、昨日のトランプ大統領の追加関税遅延の限定的なポジティブな影響を打ち消してしまった。」とIGグループの市場アナリスト主任のChris Beauchamp氏が述べています。
トランプ大統領は昨日、9月1日から発動される、いまだ関税されていない中国製品のスマートフォンやラップトップなどへの10%の追加関税を、米国のクリスマス休暇への影響を考慮し延期することを発表していました。
「これはクリスマスシーズンのために行った。」と昨日ピッツバーグのイベントのためにニュージャージーを発つ際に述べていました。
中国の国務院副総理の劉鶴氏が、昨日米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官と電話会談したことを、中国商務省が明らかにし、今後2週間後に再び電話会談を行うことで一致したとのこと。
アジアの株価は先のニュースを受けて上昇していたものの、本日の中国の鉱工業生産と小売売上高が予想を下回る数値で、特に鉱工業生産は17年来の低さであったことからその上げ幅を削っていました。
このように、世界主要諸国の経済データが低迷していたことから、本日米英の2年物と10年物国債の利回りが逆転していました。
米国の10年債利回りは一時1.57%と、2016年9月以来の低水準となり、2年債に対するプレミアム(上乗せ利回り)は一時マイナス1.92ベーシスポイントとなっていました。 30年債利回りは過去最低を更新。英国では10年債利回りが2ベーシスポイント低下して0.475%、2年債は1ベーシスポイント上昇の0.478%を付けていました。
なお、今週市場を揺るがしていた香港の抗議デモは、昨晩も警察隊と激しく衝突をしていたものの、本日香港国際空港の出発便が再開されていました。しかし、中国国務院の香港・マカオ事務弁公室は14日、香港国際空港で13日夜に行われた抗議活動についてデモ隊を「暴徒」と呼び、「テロリズムに匹敵する行為」だとして「強く」非難していました。
香港空港管理局は14日、現地時間午後2時(日本時間同3時)から香港国際空港のターミナルビルを巡り「アクセス制限」を実施すると発表していました。
なお、昨日トランプ米大統領はツイッターで、米情報機関からの報告だとして香港との境界に中国の部隊が集まっていると注意を促していました。
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、昨日11.1トン減少し、今年4月1日以来の一日あたりの減少量で、839トンとなっていました。それに対し、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバートラストの残高は、1.7%増となっていました。
銀価格は、本日ロンドン時間昼過ぎに1.3%増のトロイオンスあたり17.20ドルとなっていました。ちなみに昨日は18か月ぶりの高さの17.51ドルを付けていました。
プラチナ価格は本日はトロイオンスあたり851ドルと多少下げていました。