金市場ニュース

スタンダードバンク四半期レポート

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、今週発表されたスタンダードバンク四半期レポートの金相場予想を解説しています。

スタンダードバンクから四半期レポートが出て、相場予想も出ているので今週はまずゴールドの予想を紹介しましょう。

 
 
 
「Gold」
 

長期的には今後5年間を考えるとゴールドは上昇すると考えます。しかしこれはこれから1年の間には上昇はみられそうにありません。米国債の利回りが上 がってきているからです。(↓チャート)短期的にはこの四半期はゴールドの頭は重たく、上昇場面は売りのチャンスだと考えます。第4四半期の予想平均価格 は1330ドル。

 
 
 

今年のこれまでゴールドの実需は、例外的と呼べるほど強いものでした。Standard Bank Gold Physical Flow Index(GPFI)(下チャート)を見るとここまで2013年の実需買いがいかに強かったかがよくわかります。今年のこれまでの中国のゴールド輸入はすでに1000トンを超えたと思われ、今後年末にかけてその勢いは弱まると思われますが、中国の買いは今後も続くかもしれないETFの売りを十分に吸収す ることができると思います。

 
 

しかしここ数週間、実需の現物買いは大きく減少しました。といっても異常に多かったレベルから、という意味ですが。短期的には、実需の買い無しでのゴー ルド価格の上昇を維持できるのか、それも1年以内に米国10年国債の利回りが4%に向かって上昇しているというこの状態においてはGold ETFの投資家はおそらく危うい心理状態となるでしょう。

過去を振り返ると9月という月はたいてい需要が回復してくる時期でした。しかし今年はどうも事情が違うようです。まず第一にインドルピーが弱く、ルピー建てのゴールドが史上最高値レベルにあること。(下チャート)
 
 

この高値でインドの需要がしぼむだけではなく、逆にスクラップの売り戻しが入ってくる可能性があります。今年はこれまで大きな売りはでていませんが今後 のルピーの動きによってはこれも変ってくるかもしれません。第二に5月から7月には安値で強烈な買いがインドからあったことと、現在のゴールドの関税を大 きく引き上げていることから、例年ある「季節的需要」は大きく減る可能性があります。

FRBの金融緩和縮小が12月もしくはひょっとしたら来年2月までずれ込む可能性があるということから、マーケットには新たなロングが参入しています が、これが続くというのには懐疑的です。というのは、金融緩和縮小が12月でも来年2月でも米国10年国債の利回りはこれから1年の間に同じようなレベル まで上昇すると思われるからです。

長期的にはGold ETFの売りは止まり、鉱山会社の生産コスト上昇の圧力もあり、ゴールド価格は上昇していくことを予想。加工用需要の増加もそれを助けると思われます。

以上。
 

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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