ショートカバーは炸裂したけれど
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、先週のFOMCで量的緩和継続が発表された直後の金価格の動きの背景に触れ短期的な市場分析をした上で、長期的な市場の動きを考える重要性についても提言しています。
なお、この記事は先週金曜日20日に同サイトに掲載されたものです。
ショートカバー(空売りの買戻し)が炸裂。FRBバーナンキ議長が量的緩和継続を発表するや、金価格は1300ドルから1360ドル台まで、わずか2時間ほどでジャンプアップしました。
9月19日、日本時間の早朝の出来事です。
これはつまり市場の予想が緩和ペース縮小に大きく傾いていたことの証しでしょう。でも、ここは冷静に見ておく必要があります。
今回、FRBバーナンキ議長から出た声明がもしも量的緩和継続でなく縮小であったなら、金価格は売り込まれたに違いないからです。
この点は記憶しておいた方が良いでしょう。
なぜなら、開始時期は不透明とはいえ、いづれ量的緩和の縮小は実行されるでしょうし、その時は確実に売られることになるからです。その可能性は高いと見ておくのが順当です。
先物で金価格の短期売買をしている人は、この先しばらく要注意だろうと思います。
一方、10年後、20年後の将来に備えてつまり長期資産としての金と付き合う人は、別の見方も押さえておきたいものです。
米国経済は緩やかながら回復し続けているという風に言われていますし、実際、経済指標は改善傾向にあります。
ただ、それは自立回復力によるものなのか、史上空前の量的緩和*1によるものなのか、どちらに多くを依存しているのか、正確なところはまだ誰にも分かりません。
米国の量的緩和規模は史上空前ですから、緩和縮小も撤退も、未知との遭遇になります。近い将来、縮小計画が発表されたとしても、着実に実行できるかどうかは別問題です。
さらにいえば、FRBが量的緩和と引き換えに大量に抱え込んだ*2米国債と住宅ローン証券を大過なく市場に放出していけるかどうか。まだ先には険しい道のりが残されています。
もちろん緩和縮小も経済回復も順調に進めば、長く垂れ込めていた暗雲が晴れるわけで、金は不要との認識が強くなると思われますが、果たして、そううまく運ぶものなのかどうか。
また欧米とは金に対する姿勢が根本的に異なる歴史的にも文化的にも金選考度の強いアジアや中東地域は値が下がれば買います。新興国の中央銀行も着実に買い続けそうです。
これから荒々しい航海が続きそうですが、冷静に付き合って行きたいものです。
本日は、ここまで。
*1:リーマンショック直前の供給量が8,757億ドル、5年後の2013年9月中旬の供給量が3兆5,068億ドル、すでに4倍以上に膨張している状態。
*2:つまり量的緩和を終了する頃には4兆ドル規模に膨らんでいる可能性がある
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